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安倍政権は再び、「憲法第9条」改憲に挑む(前編)

2012年12月21日(金)

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 もう1つ、自民党の案では「憲法9条改正案として、海外派兵を法律で決めよう」としていた。海外派兵とは、ある意味戦争です。現行憲法のもとでは、立法趣旨に照らして海外派兵をせずに何十年も来たにもかかわらず、その精神と未体験をかなぐり捨てて、イラクとアフガンに事実上、海外派兵をしてしまった。すなわち事実上の戦争参加でした。

 そういう、あらゆる意味で憲法の趣旨や歴史的認識を正しく理解していない政治家が、改憲論議をしているわけです。つまり、海外派兵のような国の存続にかかわる重大なことは、主権者国民の最高意思として国家に枠をはめておくべきものであるのに、憲法を正しく理解していない政治家が前文で国民に国を愛する義務を課すとか、海外派兵は法律で定めると語っている。だから、その時の相対的多数決いいかえれば政治の都合で何でも決めることができてしまう。

 この2点で、当時の安倍自民党は憲法改正を語る資格なしと言ったのである。もちろん、海外派兵は何が何でもやるなと言っているのではない。存在するルールは守られなければいかんということです。ルールを守らないやつにルールの改正を論じられるのは明らかにおかしい、笑ってしまう話です。海外派兵の是非と条件について別途論じられればいいと思っている。

金野:今の9条に対して、自衛隊の存在はもともと違憲か合憲かという議論があります。

どんな教養人でも9条と自衛隊について説明できない

小林:どんな教養人でも、日本国憲法の9条と自衛隊についてきちんと説明できないでしょう。日本人全体が憲法に関する教養がなさ過ぎるのです。田中直紀さんは防衛大臣という立場になったからぼろが出てしまっただけの話で、あの立場に立てば、だれでも同じ危険があると思います。つまり、そのくらい憲法、とりわけ9条に関する基礎知識が国民全体を通して正しく共有されていないのです。

 これは、戦後日本の東京大学を中心とした憲法学が、9条を、議論することなく、タブーだという形の御神体のようにあがめる人々だけをつくり、そういう人でないと大学の教授に登用しないというシステムをつくってしまったのです。

 ここで改めて憲法9条について説明すると、9条は、1項で戦争放棄を謳っている。それから、2項で、戦争放棄という目的から戦争の道具を持たない、すなわち戦力不保持と交戦権不保持を謳っている。そうすると、戦争をどぶに捨てた上で戦争の道具を持たない。よって戦争は起きない。永遠に平和だ、という理屈です。

 これは、はっきり言って空想です。例えば、ある人が「泥棒という概念を放棄します」と言っても、その人が大都市の人口が過密なところで、それなりに大きな家に住み、金のありそうなイメージの人で、「泥棒を放棄しましたから、うちはセコムをやめました。うちは鍵を掛けるのをやめました」と言ったら、喜んで不良外人が入ってくると思います。だから、「泥棒を放棄して、泥棒に対抗する手段を持たない」と宣言したからといって、泥棒に入られないとは限らない。むしろ泥棒からすれば、これほど狙いやすい家はないはずだ。憲法9条は、1項は戦争放棄、2項は戦争の手段放棄を謳っているが、実際には我が国には自衛隊がある。

コメント7件コメント/レビュー

不勉強でもありましたが、目からうろこでした。ただ、今の日本(の政治)にこんなことができるのか?と思ってしまいます。(2012/12/26)

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「安倍政権は再び、「憲法第9条」改憲に挑む(前編)」の著者

金野 索一

金野 索一(こんの・さくいち)

財団法人日本政策学校・代表理事 / 多摩大学経営大学院・客員教授

コロンビア大学大学院国際公共政策大学院修士課程修了。平成維新の会・政策スタッフ、政策学校・一新塾、起業家養成学校アタッカーズ・ビジネススクールの経営、公益財団法人東京コミュニティ財団評議員等を経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

不勉強でもありましたが、目からうろこでした。ただ、今の日本(の政治)にこんなことができるのか?と思ってしまいます。(2012/12/26)

あらま!な点を幾つか。「憲法は・・・政治家と公務員に対して、正しく振る舞わせるための指図書」なら納税義務は不要でしょう。それがあるなら愛してね義務があっても良いかも。他国では国を守る義務は普通に書かれていますよね。世界中で憲法の何たるかを理解していないようです。「どんな教養人でも9条と自衛隊について説明できない」のにご自分は説明をなさっていらっしゃいますが・・?「アメリカ軍がいたから大丈夫だった」実際に米軍がどう対応するかは別として、居てくれるだけで良かった。今はどうなんでしょうか?ちゃんと日本のために動いてくれるように普段のお付き合いも大事かと。「そういう切り分けを頭の中でやった」とありますが、第2項に「前項の目的を達するため」との文言を付けて、これで侵略戦争のための軍備は持てないが、自衛のための軍備は持てると解釈できるようにしたのでは?そう書いてあるからそう云う理解ができる訳で、単に頭の中だけのことではないかと。「読んでわかるような憲法でないといけない」のに「憲法の本質がわかっていない政権下での改憲には反対」では、100年清河を待つようなものでしょう。自衛戦争すら否定する人々が居るのです。共産党の改憲よりマシでしょうし・・・。「自衛の名で侵略戦争なんてする必要がない」禁輸されなければですかね。「外的条件として、国連決議」安保理では1国の拒否権で決議できません。朝鮮戦争でもソ連が欠席しなければ国連軍は成立しませんでした。そんなものを有り難がってもどうなのでしょうか?国際社会と友好国のどっちが大事?という観点もありますね。「ソ連というのはあくまでも追いはぎ強盗国家であり、中国というのはあくまでも欲望丸出しの太った犬みたいなものであり」なんですし・・・。「地下に潜って、ゲリラ戦」ゲリラの処遇も国際法で決まっていますよね。確かその場で殺して良いと。「アジアのリーダー国家としての役割を果たさなければならない」自分に集るハエも追えないのに?安保理が決めたこと以外はできないのに?「日本人もいい意味で自立」米国の軍事力にも頼らずにということでしょうか?それとも軍事力には頼るが他では自立と?そんなことがどうすればできるかをご教示下さい。(2012/12/25)

典型的な解釈改憲論ですな。「泥棒を放棄」したという喩えは、全く妥当しない。「泥棒」は積極的な他者に対する行為を行い、かつそれが不当であることを含意している。そんなものは、放棄するのではなく、社会的に禁止抑制されるべきものだ。意図的な論点のすり替えが過ぎる。正当防衛が刑法上違法性阻却自由として認められても、それは刑法の枠における個人の問題なのであって、自動的に国家に敷衍していい話ではない。こういう意図的解釈を行う憲法学者は、「どこまで許されるか」という視点で解釈を行うが、結果として「何を実現したいか」という積極的な憲法の存在意義を毀損している。(2012/12/21)

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