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今、改めて愛国心について考える

あなたは、米国に生まれていても日本を愛しますか?

2013年1月16日(水)

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 人は生まれる国を選ぶことができない。であるにもかかわらず、たまたま日本に生まれたというだけで、日本を愛さねばならないのか?たまたま米国に生まれた人は、米国に対して愛国心を抱かなければならないのか?

 米国で生まれ、第2次世界大戦を迎えた日系2世と、米国で生まれ日本で学び帰米した日系米国人は、愛国心をめぐって苦闘した。彼らを追いかけ、ドキュメンタリー映画「442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍」「二つの祖国で・日系陸軍情報部」をまとめた映画監督、すずきじゅんいち氏に話を聞いた。

(聞き手は森 永輔)

2012年12月8日、すずき監督の最新作「二つの祖国で・日系陸軍情報部」が封切りになりました。71年前に日本軍が真珠湾を攻撃し、日米が開戦したまさにその日でした。「二つの祖国で」は、日本語の情報を収集・分析する米軍のインテリジェンス部隊「MIS(Military Intelligence Service)」の活動を振り返るドキュメンタリーです。

 彼らが集めた情報の中で最も有名なのは、山本五十六・連合艦隊司令長官が視察に出るというもの。米軍はこの情報を元に同司令長官が乗った飛行機を撃墜しました。米軍は、山本司令長官を「天皇を除けば、山本ほど国民の士気を高めている人物はいない。彼がいなくなれば国民は一気に意気消沈するだろう」と見ていました。MISの活躍は目覚ましく「人間秘密兵器」との異名を冠せられました。

 「二つの祖国で」を観て、「愛国心とは何か」ということを考えさせられました。MISで中心となったのは「帰米」たちでした。彼らは、米国に移民した日本人夫婦の子として生まれた、遺伝的には100%の日本人です。両親をはじめ親戚はみな日本人。日本で教育を受けたので、日本語も日本文化も熟知しています。しかし、同時に、米国で生まれた米国人でもあります。そして、米国のために兵士として働いた。すずきさんにとって愛国心とは何でしょう?

すずき:愛国心ね。日本人が考える愛国心と、アメリカ人が考える愛国心は全然違う。両極端と言ってもよいほどです。米国に長く住んで、そのことが分かりました。

 アメリカは世界中の人が集まってできた人工の国なので、「国を愛する」ということを意識しないと国が成立しません。何をするにも国旗を掲げ、国家を歌わせる。日本的な基準で言うと、これほど極端な右翼国家はないですよね。

すずきじゅんいち(鈴木潤一)氏
映画監督、映画プロデューサー、シナリオライター。
1952年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業後、日活に助監督として入社。現在はフリーランスとして活動。過去30年の監督生活で24本の長編映画を監督、12本の映画をプロデュース、15本の映画のシナリオを執筆した。テレビドキュメンタリーなどにも活動の幅を広げている(写真:加藤 康、以下同)

 一方の日本は、ほとんど全員が日本人で、日本語しかしゃべらない人ばっかりだから、愛国心を強調しなくても国がもっている。世界的に見るとこれは非常に奇跡的なことだと思うんですよ。戦争を控えている国は、国を守るための術を考え、愛国心を持たざるを得ません。ところが日本は今まで幸運にも非常に平和でした。

 戦前の愛国心が軍国主義につながったことから、戦後の日本は愛国心を禁じたというか、なるべく触れないようになった。だから日本人は、国について考えることがない。日本という国にお世話になっていながら、オリンピックの時しか国というものを考えない。愛国心について考えるところまで届かないんですね。

 アメリカも極端ですが、日本も極端です。日本はもう少し、国とは何かとか、国を愛するとはどういうことなのか、ということを考えるべきじゃないかと思います。

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「今、改めて愛国心について考える」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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