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デフレからの脱却は無理なのです

水野和夫・埼玉大学大学院客員教授に聞く

2013年1月17日(木)

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 デフレからの脱却はできない――。金融緩和、財政政策、成長戦略の「3本の矢」で脱デフレを目指す「アベノミクス」が始動しても、その思いが揺らぐことはない。政権交代で政府を離れた水野和夫・埼玉大学大学院客員教授が見る日本経済が抱える問題の本質とは何か。

(聞き手は渡辺康仁)

国内外の経済の状況をどう見ていますか。

水野:まず先進国の状況からお話しします。2008年のリーマンショックに続いてユーロ圏諸国のソブリン(政府債務)問題が起こり、米欧各国は後遺症からいまだに抜け出せていません。日本がバブル崩壊後の「失われた20年」で抱えた問題を解決できないのと同じような状況に置かれています。

水野 和夫(みずの・かずお)氏
埼玉大学大学院客員教授。1953年生まれ。1980年早稲田大学大学院経済学修士。八千代証券に入り、その後は一貫して調査部門に所属。合併などで会社は国際証券、三菱証券、三菱UFJ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に変わった。2010年9月に退職し、民主党政権で内閣府の官房審議官(経済財政分析担当)に転じた。国家戦略室担当の内閣審議官も務めたが、政権交代で退いた。(撮影:清水盟貴)

 日米欧でバブル経済が発生した原因ははっきりしています。それは成長ができなくなったからです。日本は戦後の高度成長期が1973~74年頃に終わり、4~5%の中期成長に入りました。その後、80年代に入って成長率はさらに落ち込み、それを覆い隠すようにバブル経済が起きました。

 成長が難しくなった米国も、1995年以降、強いドル政策でバブルを起こしました。金融技術や証券化商品がそれに乗っかる形で2007~08年にピークを迎えたのです。欧州でも、特にドイツが成長できなくなったためにユーロという大きな枠組みを作って南欧諸国を取り込みました。国別で一番ポルシェが売れていたのはギリシャだそうです。強いユーロでポルシェを買ってバブル化していったのです。

 日米欧ともに成長ができなくなったからバブルに依存し、いずれも崩壊したのです。バブル崩壊の過程でデフレも起きました。私には成長戦略でバブルの後遺症から脱却しようというのは堂々巡りのように思えます。

歴代の政権は成長戦略を経済政策の柱としてきましたが、それは間違っていたということですか。

水野:成長戦略は失敗の運命にあると言えます。菅直人・元首相については様々な評価がありますが、首相時代の発言で一番良いと思うのは「成長戦略は十数本作ったが全部失敗している」というものです。成長戦略が解決策として正しいのであれば、十数本のうちどれかは当たっていないとおかしいのです。ことごとく外れているということは、成長では解決できない事態に先進国は直面していると考えたほうがいいのだろうと思います。

コメント78件コメント/レビュー

日経新聞は日本経済の傍観者なんだと言うことがよく分かる秀逸な記事ですねぇ。円が70円台になったのが経営者の失敗などとよく言えるものです。民主党が韓国経済を助けるために日本に負担を強いたのが今の経済の正体でしょう。(2013/01/24)

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「デフレからの脱却は無理なのです」の著者

渡辺 康仁

渡辺 康仁(わたなべ・やすひと)

日経ビジネス副編集長

1994年日本経済新聞社に入社。2002年から2004年まで日経ビジネス記者。日経新聞に戻り、編集局経済部などを経て2013年から日経ビジネス副編集長。アベノミクスの行方に関心を持つ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日経新聞は日本経済の傍観者なんだと言うことがよく分かる秀逸な記事ですねぇ。円が70円台になったのが経営者の失敗などとよく言えるものです。民主党が韓国経済を助けるために日本に負担を強いたのが今の経済の正体でしょう。(2013/01/24)

コメントを読んで、いまだにこれまでの経済体制下での無限成長(拡大?)の信奉者が多いことに驚きました。まあ日経ビジネスの読者の方々ですから、基本的には既存の社会・経済体制の中で、どちらかと言えば大きな既得権益を得ている、江戸時代で言えば武士階級に近い方々なのでしょう。(もちろん定職のない浪人などではなく、主君から一定の扶持を保証されている、士籍を持った武士です。)そうした読者属性を考えれば、多くの方が、既存の経済・社会の枠組みの中でしか物事を考えられず、またその枠組みが今後も持続することや、その中でこれまで自分が一生懸命努力して獲得された既得権益が守られることを望むのは、止むを得ないこととも思えます。しかし筆者が「近代システムは普遍的なものではありません。変えていかないといけないのです。」と言っている意味は、そこにはありません。我々の文明全体が大きな転換点にあるのですから、経済だけが変わらずに残るはずがありません。そうした変化に目を向けず、相変わらず、以前と同じ経済成長を求めている態度こそ、本当は「後ろ向き」であることに、多くの人が気付いてくれると良いと思いました。(2013/01/23)

これだけ投稿がある記事は珍しい。私見を述べれば、現在のデフレは、国家の効率を上げる投資事案を、今上げている部門、地域でなく、効率が低い地域に、部門にばら撒き、国家全体の効率を低下させたことが原因です。国内に成長する事案がないかといえば、沢山あります。これらに投じて再生するのです。雁字搦めに閉塞した弱い産業に金をばら撒いていることが問題なのです。いつの世も、反対する弱小産業をどうするかであり、強い産業を育てることです。たとえば、線維産業を潰すのに産業転換費として、3000億円もの巨額金で反対する産業を黙らせたように、思い切った巨額を投じることが必要です。あれだけの巨額を投じて、当時、単に黙らせただけでしたが、昨今、新技術で繊維産業は生き残っています。これは、産業として再生するには、技術開発に20年から30年位掛かるということです。 大きな投資は長期に及び、懐妊期間が長いから、投機に近いものですし、反対が多い。思い切って、海洋資源開発に20兆から30兆掛けたらいかがですか。(2013/01/23)

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