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「それでもナショナリズムの高まりは危険ではないですか?」

梅森直之・早稲田大学政治経済学術院教授に聞く(後編)

  • 小林 佳代

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2013年1月23日(水)

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 前回に現在の政治や社会の状況が1930年代に似ているという見方を明確に否定し、「今、我々が直面しているのは、全く新しい状況の中で発生した全く新しい危機」と強調した梅森直之・早稲田大学政治経済学術院教授。では、その新しい危機に対して、どう新たな解決策を見いだしていくべきなのか。

 今回は、特に尖閣諸島や竹島の問題で中国や韓国との関係が悪化し、それに伴って起きているナショナリティックな反応への対応を中心に、梅森教授の見解を引き続き紹介する。

 (聞き手は、中野目純一=日経ビジネス副編集長)

日本では昨年、中国との間で尖閣諸島、韓国との間で竹島の問題が深刻化し、関係が悪化しました。それに伴い、市民の間でもナショナリズムが高まる傾向が出てきています。こうした動きはどのように受け止めていますか。

梅森:現在ナショナリズムの高まりの具体例として多く上げられるのは、インターネット上の書き込みです。ネットの掲示板などには、かなり過激なことが書き込まれています。そこにある種の危険性を感じるというのは、確かに1つの見方だろうと思います。

 しかし、この現象には、もう1つの解釈を提示することも可能でしょう。それは、日本人が、中国や台湾や韓国というアジアの隣人に対して、もはや無関心ではいられなくなったという解釈です。

 ネットでナショナリスティックな書き込みをする人たちは、普段から中国や台湾や韓国のネットにもアンテナを張り、これらの国・地域の人々が日本に対して何を書き込んでいるかを見て、敏感に反応しています。日本において、これらの国・地域の一般の人々の感情や考え方に、そこまで深い関心を寄せる人々がかなりの厚みを持って出てきたというのは、恐らく初めての現象でしょう。これをプラスにとらえることもできると思います。

ただ、今、現実の日中関係や日韓関係も戦後、かつてないほど悪化していると言われています。

梅森:例えば、その場合、日韓関係が今より良かったとされる20年前、30年前、韓国の人々が日本に対して何を言っているかということに関心を持っていた人間が、果たしてどれほどいたでしょうか。

梅森直之(うめもり・なおゆき)氏
1962年広島県生まれ。85年早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院政治学研究科へ進む。2002年シカゴ大学政治学部博士課程修了。早稲田大学政治経済学部助教授などを経て、現在、同大学政治経済学術院教授。専門は日本政治思想史。主な著書に『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』(光文社新書)、『帝国を撃て―平民社100年国際シンポジウム』(論創社)など(写真:陶山 勉、以下同)

 確かに、今、韓国の政府や国民の日本に対する言動に反発して“嫌韓”という感情を抱く日本人が現れていることは事実です。そしてその現象をもって、しばしば「日韓関係が悪化している」と言われていますが、果たして本当にそう言えるのでしょうか。「嫌い」という感情は「好き」の反対ではありません。嫌いも好きも非常に強い感情、関心を持っていることの表れでもあります。嫌い、好きという感情の反対に当たるのは「無関心」です。

 かつて、ほとんどの日本人は韓国の動向に無関心でした。植民地として統治していたという歴史的な関係が影響しているうえに、経済力、民主化などの面でも両国には大きな差があったので、無視しようと思えば無視できたことも事実です。その場合、関心の持ち方は韓国から日本への一方通行で、日本から韓国に向くことはなかったわけです。

 どちらかが、どちらかを一方的に見て批判するという状況は、健全な関係ではありません。考えてみると、戦後の日米関係もまたまさにそういうものでした。戦後に日本は米国に対して批判も含めていろいろなことを言ってきました。それはかつての植民地が宗主国に抱く片思いの感情と似ています。ですが、ごく一部の知日派を除いて、一般の米国民が日本に対して関心を払うということはほとんどありませんでした。日本の経済力が向上するにつれて、米国の一般市民の関心も、徐々に高まっていったのです。

 今の日韓関係は一方通行ではありません。お互いがお互いのことを見て、批判したり反発したりしています。

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