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笹子トンネル事故は「維持管理は非主流」を変えるか

土木学会の小野武彦会長にインフラ老朽化問題を聞く

2013年1月21日(月)

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 昨年12月に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故は、高度成長期に整備された社会インフラの老朽化が深刻な状況になっていることを改めて浮き彫りにした。社会インフラの老朽化については、以前から言及されている。にもかかわらず、なかなか対策が進まないのはなぜか。土木学会の会長で清水建設元副社長の小野武彦氏に聞いた。

 (聞き手は小平 和良)

昨年12月、中央自動車道笹子トンネルで天井崩落事故が起こり、改めて社会インフラの老朽化の実態が浮き彫りになりました。

小野:笹子トンネルの事故はショックでした。建設から維持の時代と言われて、もう30年ほど経っています。みんな、その認識は持っていたんです。でも、ついね。予算の問題とか、各企業の利益の問題とかがあって…。

 私も(清水建設の)技術部長だった時に、これからは維持管理の時代ということで技術部にグループを作って、コンクリート構造物の維持管理、技術開発、調査、設計などに大々的に取り組みました。しかし、商売となるとなかなかね。

 どうしても維持管理に関わる仕事の受注額は小さいでしょ。それに、例えば清水建設に独自の技術があるからといって随意契約で特命発注することはないわけです。そのような発注制度の仕組みもあって、商売という意味では苦しかった。

 例えば、うち(清水建設)は阪神・淡路大震災で高速道路が大きな被害を受けた後に、橋脚などの補強に「かみ合わせ継手」というものを使う工法を開発して、これはかなり普及しました。また、トンネルの天井部分のコンクリート(覆工コンクリート)と背面の岩盤との間にできた隙間を埋めるために、新しい充填材を使った「アクアグラウト工法」もかなり使いました。これは国土交通省や旧日本道路公団、JR各社、自治体などで実績がありました。

小野武彦(おの・たけひこ)氏
土木学会会長、清水建設特別顧問。1944年4月生まれ。68年北海道大学工学部土木工学科卒、清水建設入社。2000年執行役員北海道支店長、2003年常務執行役員、2005年専務執行役員などを経て、2008年から2012年まで副社長を務める。2012年6月に同社特別顧問に就任(写真:都築雅人)

 けれども、こうした工事でも数億円ですよ。(ゼネコンのような規模の)企業の収益として見ると厳しい。建築の場合、ビルのメンテナンスなどが(事業の)柱になっていると言いますが、関連会社でやっているケースも多い。今のままではどうしても(維持管理は)主流にはなり得ないのです。

 国交省も維持管理が大切だと言いながら、やはり日が当たらない。阪神大震災以降、だいぶ意識されるようになったけれども、十分ではない。そうしたところにきて、先日の事故が起きました。

 あの事故が衝撃的だったのは、(工事関係者などではない)第三者が安心し、信頼しているところで起きた事故だということ。そういう意味で、東日本大震災の時と同じように、改めて我々に対して強い警鐘を鳴らしているのだと思います。そして、建設したものは必ず寿命があるんだということを、我々はもとより、国民の皆さんと共有しなくてはいけないのだと思います。

 土木学会では、今回の事故に限らず、これまで造ってきた社会インフラをどうするかという観点から、「社会インフラ維持管理検討タスクフォース」を立ち上げて、検討を始めたところです。

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「笹子トンネル事故は「維持管理は非主流」を変えるか」の著者

小平 和良

小平 和良(こだいら・かずよし)

日経ビジネス上海支局長

大学卒業後、通信社などでの勤務を経て2000年に日経BP社入社。自動車業界や金融業界を担当した後、2006年に日本経済新聞社消費産業部に出向。2009年に日経BP社に復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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