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2:原子力と、iPS細胞と、ハイデッガーと。

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2013年2月12日(火)

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知識人は死んだ。代わりにコメディアンがいる、アメリカの論壇。

坂本龍一(さかもと・りゅういち)
音楽家。1952年生まれ。78年「千のナイフ」でソロ・デビュー、同年YMO結成に参加。88年映画「ラスト・エンペラー」でアカデミー賞作曲賞を受賞。常に革新的なサウンドを追求する姿勢は世界的評価を得ている。2006年には新たな音楽コミュニティー「commmons」をエイベックスとともに設立。また、2007年一般社団法人「more trees」を設立し森林保全と植林活動を行なうなど90年代後半より環境問題などへ積極的に関わる。東日本大震災後、「こどもの音楽再生基金」などさまざまな被災者支援プロジェクトに関わるとともに、脱原発を訴える活動をおこなっている。主な作品に「B-2 UNIT」「音楽図鑑」「BEAUTY」「LIFE」「out of noise」、著書に『音楽は自由にする』、共著に『縄文聖地巡礼』、『いまだから読みたい本――3.11後の日本』、『NO NUKES 2012 ぼくらの未来ガイドブック』など。2013年1月から放送がはじまったNHK大河ドラマ「八重の桜」のテーマ曲を担当している。90年より米国、ニューヨーク州在住。
(撮影:大槻純一、以下同)

坂本:いまや、イタリアにもいかにもという左翼がだいぶいなくなっちゃったというなかで、フランスには、まだごりごりの左翼がけっこういますよね。ごりごりではあるけれども、そんな「ちゃんとした知識人」がいるというのは、いいと言うか、面白いとは思います。日本には、もうそういう人はほとんどいなくなっちゃったから。

國分:わかります、わかります。

坂本:昔の日本には、丸山眞男もいたし、花田清輝なんかもいたし、つい先日に亡くなっちゃったけれども吉本隆明さんでもいい、まぁちょっと怖い知識人がいたわけですよね。
 左翼じゃなくてもいいんですよ。たとえば小林秀雄なんかが生きていたら、やっぱり政治家といえどもちょっと言動に気をつけるところがあるはずなんです。それがもう、日本はもうボロボロです。政治家や経済人が存在を気にするような知の重鎮がいなくなっちゃった。フランスはまだ少し残っている。そういう人がいないと、政治家が知性というものに配慮をしなくなってしまう。

國分:そのせいもあって、フランスの政治家はインテリっぽく見せなきゃいけないという流れが非常に強くありました。それを多少なりとも壊したのが前の大統領のサルコジでしたね。インテリ風味ゼロ。2012年の大統領選ではその反動か、フランス人がバランスをとって、オランドという優秀だろうけれども没個性的な人物が大統領になっています。サルコジの前、シラク政権の際に首相を務めていたド・ビルパンなんてすごいインテリでした。ナポレオン伝を書いたような人でしたから。

坂本:今の日本の政治家には見当たらないタイプ。

國分功一郎(こくぶん・こういちろう)
哲学者。1974年生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。高崎経済大学経済学部准教授。哲学、特に17世紀の哲学者スピノザ、現代フランスの哲学者ジル・ドゥルーズを専門とする。2011年に博士論文『スピノザの方法』(みすず書房)を出版し、各所で話題となる。同年に出版した『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社)は「紀伊國屋じんぶん大賞2011」を受賞。鋭い問題意識と分かりやすい語り口で、思想書としては異例のベストセラーに。脱原発やデモ、政治についても新聞・雑誌・テレビにて積極的に発言。現在は地元東京都小平市の都道328号線問題に取り組む、行動派の哲学者。今年2013年はドゥルーズ論と保育論を出版の予定。

國分:日本では、政治家が知的に見せなきゃいけないという社会的要請がもはやまったくありませんから。政治家にプレッシャーを暗黙にかけられるような力を持った知識人も見当たらないですし。

坂本:いないですね。いなくなっちゃった。昔なら、それこそ先ほども話に出てきた三島由紀夫がいたし……。

國分:三島は大きいですね。

坂本:大きいですよ。それから、中上健次が早く死んでしまったというのも大きい。やっぱり中上が最後の怖い知識人という印象があった。彼は別に、政治家と直に話すわけではないけど、やっぱり彼がいるとうっかりはしゃべれないというような存在だったとは思うんです。そんな知的な「重し」になる人が、ほんとうに日本からはいなくなってしまった。

國分:アメリカにはいますか? そんな「重し」みたいな知識人。

坂本:アメリカにも見当たらないですね。ノーム・チョムスキーにしても、一握りの左翼系の学生や運動系の人が傾倒しているだけで、一部での尊敬はあるものの、アメリカの一般社会の中ではまったく存在感がないです、残念ながら。むしろ外国人である僕らの間での知名度のほうが高いんじゃないかな。

國分:アメリカでも2012年には大統領選がありましたが、知識人がある程度リーダーシップを取って選挙の雰囲気をつくったり、政治家が知識人の発言にぴりぴりしたり、なんてことはなかったのでしょうか?

坂本:うーん、あえていうならば、知識人じゃなくて、コメディアン。すごくリベラルで過激なコメディアンの存在が意外に大きいかもしれない。

國分:コメディアンか。誰ですか?

坂本:ジョン・スチュワートというひと。ジョン・スチュワートと、このジョン・スチュワートの番組「ザ・デイリー・ショー」に出ていたコメディアンのひとりでスティーブン・コルベールってひと、彼が独立して始めた「コルベール・レポート」。このふたつの「政治番組」の発信力がすごい。

 どちらもコメディ・セントラルというチャンネルでやっているんですが、「ザ・デイリー・ショー」が23時から30分間、続けて「コルベール・レポート」が23時30分から30分間って構成です。

 ニュース風の風刺番組でありながら、政治家にしてもオバマ大統領はじめ、すごい大物が出てくるんですね。

 面白いのは、ふたつの番組のバランスの取り方。ジョン・スチュワートのほうは完全にリベラル系の匂いがぷんぷんで、ニューヨークのダウンタウンのウエストビレッジに住んでいるような感じ。で、政治家に対してずばずば直言する

 一方、弟分の、次の番組のコルベールのほうは、一見共和党員のふりをしている。ふりをして褒め殺す。つまり、もう一段ねじれている番組づくり。

國分:そんな番組が2本連続して放映されているんですか。

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