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“寅さん”を、フランスの国民的飲料の広告に起用したわけ

電通CDC 高崎卓馬氏 第1回

2013年2月8日(金)

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 ネットの普及、長引くデフレ、変わっていく価値観。ジョブズのような“神様”がいれば話は早いが、たいていの企業のコトバは顧客になかなかうまく伝わらない時代になってきた。そんな状況を突破すべく電通が組成したのがコミュニケーション・デザイン・センター(CDC)。CDCのクリエイターに最先端の企業と顧客のコミュニケーションの方法論を聞く本シリーズ、第2シーズンは王道のテレビCMで活躍中の高崎卓馬氏が登場だ。高崎氏は昨年、「オランジーナ」(サントリー)の大ヒットを支えた、リチャード・ギアが寅さんに扮するCM(「オラジーナ・ムッシュはつらいよ」)を手がけた。「なぜ寅さんで、なぜギアだったのか」を教えていただこう。

前回までお話をうかがった電通CDCの岸勇希さんは、従来のマスメディア広告の枠を超え、新領域を開拓しているクリエーターでした。
 今回からお話をうかがう高崎卓馬さんは、テレビCMを主戦場としている、マスメディア主体のクリエーターです。その違いはあるのか、ないのか、そういうことも含めてお話を聞いていきたいと思います。早速ですが、高崎さんの最近のお仕事から、うかがえますでしょうか。

高崎卓馬(たかさき・たくま)
電通コミュニケーション・デザイン・センター所属。
エグゼクティブ・クリエーティブディレクター/CMプランナー。
1969年、福岡県生まれ。93年、早稲田大学法学部卒業後、電通に入社。
代表作に、サントリー「オラジーナ・ムッシュはつらいよ」、「オールフリー・これがいいのだ」、「金麦糖質70%OFF・そういえば、しあわせ」、「アセロラ・アセロラ体操」。JR東日本「新青森駅開業・MY FIRST AOMORI」「『行くぜ東北』キャンペーン」。インテル企業広告シリーズ、明治製菓「キシリッシュ・福山雅治シリーズ」、BEAMS「『恋をしましょう』キャンペーン」、東芝「REGZAキャンペーン」、公共広告機構(AC)「imagination/クジラ」など。
JAAAクリエーターオブザイヤー、TCCグランプリ、ACC、NYADC、カンヌ国際広告賞、ONE SHOW 、アドフェストグランプリ、など国内外の受賞多数。
映画「ホノカアボーイ」の脚本、プロデュース、ドラマ「蒼井優の4つの嘘」脚本、「上野樹里の5つの鞄」監督・脚本、小説『はるかかけら』(中央公論社)、ビジネス書籍『表現の技術』(朝日新聞出版)、『上野樹里とナニカをツクル旅』(上野樹里と共著・マガジンハウス)など、多領域に渡って活動中。(写真:中村 治、以下同)

高崎:具体的な広告の話をする前に、僕が仕事全般で大事にしていることを、お話させていただきますと、「いい数字」を生み出す広告かどうか、ビジネスとして強く機能するものかどうか、を最近ではすごく気にしています。

「ビジネスとして」の意味するところは何でしょうか。

高崎:単純に言うと「売り上げ」ですね。

そうですよね。

高崎:もちろんそれは、当たり前のことなのですが。でも、同じ数字でも「いい数字」と「よくない数字」があると思うんです。

 一つの商品の売れ方は、それを生み出している企業の他の商品にも影響を与えます。いい数字を出すためには、「今だけ、いい数字」を追っていてはだめなんです。今、いい売れ方をして、さらにその後、その商品が何年も残ることができる――そういった売り方を考えることが大事なんですね。そのために時々、広告表現の範囲を超えて、クライアントに意見を言わせていただくこともあります。

クリエーターの役割は広告表現だけではない、ということですか。

個性よりも日常性、の要望に戸惑う

高崎:表現のことから言いますと、その商品が持つ価値、空気、人との距離などを大切にして、それが世の中にちゃんと伝わるようにしたい、ということを強く意識しています。数年前まではそういう意識よりも、「広告でどれだけ個性をつけられるか」を考える傾向にあったのですが、2009年にサントリーさんの「アセロラ」を担当したときに、意識が変わりました。

アセロラの販売元だったニチレイが、清涼飲料事業をサントリーに売却して、サントリーがアセロラを新規に大きく売り出したタイミングですね。

高崎:サントリーという企業は、商品はどこかあか抜けていて、広告も面白いものが多く、広告に携わる人間にとっては、テンションが上がる会社なんです。簡単に言うと、サントリーの広告を担当させていただくことは、クリエーターにとってものすごいチャンスだ、と。

 でも、アセロラのオリエンテーション(広告のための商品説明)を受けたとき、この商品は原点回帰をしていて、尖った印象とは逆の感じがありました。

「原点回帰」というのは、広告表現の個性よりも、より商品に近い日常性が大事にされている、ということですか。

高崎:そうです。あのサントリーの広告なんだから、と、僕はひそかに意気込んでいましたから、最初はとても戸惑いました。でも、広告だけが尖っていても、商品を置き去りにしていては、世の中との接点を持てないままになる。広告を企画する時は、その原点回帰な感じこそを、表現の核にしなければいけない、と考えました。

クリエーターは、そういう意識転換をスムーズに行えるものなんですか。

次ページに続く)

電通CDCとは?

高度化する企業の抱える課題を複合的に解決するため、様々なセクションから実績のあるスペシャリストを集め、2009年に電通内に設けられた。構成は、テレビなどマスメディア・ベースのクリエーティブチーム、デジタル・ベースのクリエーティブ・チーム、ストラテジー・ベースのクリエーティブチーム。それぞれの専門性によって分かれているが、プロジェクトごとに横断的にチームを組む。今回のインタビュー・シリーズでは「マスメディア・クリエーティブチーム」から古川裕也氏、澤本嘉光氏、高崎卓馬氏、「デジタル・クリエーティブチーム」から佐々木康晴氏、岸勇希氏、「ストラテジー・クリエーティブチーム」から林信貴氏、樋口景一氏に話を聞く。

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「“寅さん”を、フランスの国民的飲料の広告に起用したわけ」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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三品 和広 神戸大学教授