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リスク感性を磨き、常に最悪のシナリオを考えよ

亀井克之・関西大学社会安全学部教授に聞く

  • 峯村 創一

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2013年2月6日(水)

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 1月16日にアフリカのアルジェリア東部の天然ガス関連施設で起きた襲撃テロ。政府軍の突然の軍事作戦に伴って、日本人を含む多数の人質が犠牲となり、アフリカに進出している日本企業の関係者には衝撃が走った。この前代未聞の惨劇を受けて、アフリカをはじめとする新興国市場開拓の戦略やリスクマネジメントのあり方をどう見直すべきなのか──。BOP市場戦略や危機管理などの専門家の見解を聞く。
  今回は、日本リスクマネジメント学会の副理事長を務め、企業のリスクマネジメントに詳しい亀井克之・関西大学社会安全学部教授が、事件から日本企業がくみ取るべき教訓と、取り組まなければならない課題について論じる。

今回、アルジェリアに赴任しているプラント建設大手・日揮の関係者の中から、多数の日本人犠牲者が出てしまいました。

亀井:まさに最悪の事態が起きてしまったと言えます。テロ事件でいえば、2001年9月11日に米国で起きた同時多発テロ事件は本当に想像を絶する出来事でしたが、今回は「現実に起こり得る想定内では最悪」の事件だと言えます。

日揮のリスクマネジメントは十分だったのでしょうか。

亀井:詳細が分からないので何とも申し上げられませんが、私は海外に進出している日本の大手企業のほとんどは、海外でのリスクマネジメントを十分にやっておられると思います。しかし今回は、想定をはるかに凌駕することが起きてしまったわけです。

亀井 克之(かめい・かつゆき)氏
亀井 克之(かめい・かつゆき)氏
関西大学社会安全学部教授。日本リスクマネジメント学会副理事長・事務局長。1962年生まれ。90年大阪外国語大学大学院修士課程フランス語学専攻修了。関西大学大学院商学研究科博士課程を経て94年関西大学総合情報学部専任講師。同教授を経て2010年4月から現職。この間フランス政府給費留学生としてエクス・マルセイユ第三大学にて経営学DEA取得。博士(商学)。渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン ジャパン特別賞受賞。近著に『リスクマネジメントの基礎理論と事例』(関西大学出版部)がある。(写真:山田 哲也)

 例えば、海外渡航者に必須の情報源として、外務省の「海外安全ホームページ」があります。国・地域別に、治安情勢や犯罪、法律や文化、宗教などについての最新情報を掲載している、とても有用なサイトです。

 1月11日にフランスがマリで軍事行動を開始すると、同サイトでは1月15日付けで「仏軍のマリ派遣に伴う注意喚起」が発表されました。その中で、特にフランスとイスラム諸国への渡航・滞在者に対し、「イスラム過激派がフランスを含む欧米権益等をテロの標的とする可能性」があるという警告が発せられました。しかし、果たして、この時点でアルジェリア南東部のイナメナスにあるプラントに危険が迫っていると認識できたでしょうか。

 一方、この時点では、同サイトのイナメナスを含む地域の危険度は、4段階のうち最も低い「十分注意して下さい」となっていました。退避勧告でも、渡航の延期・検討でもなく、注意喚起にとどまっていたのです。残念ながら、こうした情報の下に、今回の事件は起きてしまいました。

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