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アナタが“漂流老人”になる日

田島康史・ベールヘルツ社長に介護現場最前線を聞く

2013年1月31日(木)

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 介護現場での事故・虐待事件が相次いで報告されている。1月12日には、大手飲食チェーンが運営する介護付き有料老人ホームで74歳の入居者が入浴時に水死していた事故が発覚。昨年12月には広島県の介護施設で介護福祉士が85歳の入居者に火を付け焼死させる衝撃的な事件が発生した。事故・事件が急増する背景に業界全体を覆う極端な人材不足があるのは間違いないが、大手企業も含め有効な解決策を十分に打ち出せていないのが実情だ。そんな中、独自の方法で経営の安定化や人手不足の解消、サービス水準の向上を図ろうとしている小さな介護事業者が千葉県松戸市にいる。代表に話を聞いた。

(聞き手は鈴木信行)

介護現場からの事故・事件報告が絶えない。業界で何が起きているのか。

田島康史(たじま・やすし)氏
1956年東京生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、中学校教師を経て、特別養護老人ホーム生活相談員に。2003年ベールヘルツ設立。訪問介護事業、居宅介護事業、居宅介護支援事業、通所介護事業を合わせて手がけ、松戸市南部における高齢者介護の一翼を担う。自らもアルツハイマー型認知症の父を介護した経験あり。(撮影:清水盟貴)

田島:まず老人ホームなど入居型サービスの現場で事故が増えているのは、明らかに人手不足が一因だ。介護業界の人材確保難は今に始まったことではないが、ここへきて一段と厳しくなっている。ハローワークや折り込みチラシ、知人の紹介などあらゆる手を尽くして人を集めようとしているが、多くの場合、ほとんど応募はなく、仮に採用してもすぐに退社してしまうのが実情。やむを得ず、高校を卒業したばかりの子に資格だけ取得させ、いきなり実践投入している施設も多いと聞く。

 現場の人材に加え、マネジメントクラスも枯渇している。コンプライアンス上、いずれの施設も形の上では管理体制を整えているが、ベテラン職員が退社してしまい、経験の浅い職員が見様見真似で現場の管理を統括している事例もある。

意図せぬ事故だけでなく、虐待事件まで増えているのはどういうことか。

田島:そこにも根本的には人材不足が影響している。この業界を志す人間は間違いなく思いやりがあって純粋な人たちだと思う。そういう人たちはどんなにストレスが溜まろうが、入居者を虐待することなど普通はありえない。ただ、残念なことに、あまりに人手不足が進んだ結果、そういう志を持たない人でも目をつぶって採用せざるを得ない事業所が増えている。例えば、他の業界からあぶれ、職を転々とし、本人も嫌々ながら介護業界に身を置こうとしている人。そういう人の場合、利用者あるいは同僚との間で問題を起こす可能性がないとは言い切れない。

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「アナタが“漂流老人”になる日」の著者

鈴木 信行

鈴木 信行(すずき・のぶゆき)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日本経済新聞産業部、日経エンタテインメント、日経ベンチャーを経て2011年1月から日経ビジネス副編集長。中小企業経営、製造業全般、事業承継、相続税制度、資産運用などが守備範囲。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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