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事件後も途上国市場の重要性は変わらない

岡田正大・慶応義塾大学大学院経営管理研究科准教授に聞く

  • 小林 佳代

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2013年1月31日(木)

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 1月16日にアフリカのアルジェリア東部の天然ガス関連施設で起きた襲撃テロ。政府軍の突然の軍事作戦に伴って、日本人を含む多数の人質が犠牲となり、アフリカ に進出している日本企業の関係者には衝撃が走った。この前代未聞の惨劇を受けて、アフリカをはじめとする新興国市場開拓の戦略やリスクマネジメントのあり方をどう見直すべきなのか──。新興国市場戦略や危機管理などの専門家の見解を聞く。
 今回は、経営戦略論を専攻し、「BOP(Base of the Pyramid)」と呼ばれる発展途上国の最貧層を対象としたビジネスに詳しい慶応義塾大学大学院経営管理研究科の岡田正大准教授に、事件を受けて、リスクを低減しながら、途上国や新興国でのビジネスを成功させるには何が必要かを論じてもらった。

アルジェリア人質事件ではプラント建設大手・日揮の関係者10人が犠牲になるという痛ましい結果となりました。事件は政情不安定な途上国、新興国のリスクを改めて実感させましたが、事件を受けて、途上国や新興国の市場に対し、日本企業は今後どう臨むべきだと考えますか。

岡田:本当に痛ましい、不幸な事件だったと思います。けれど、企業の立場から言えば、この事件が起きた後でも、途上国や新興国の市場を視野に入れた事業戦略の重要性は何ら変わりません。

岡田 正大(おかだ・まさひろ)氏
岡田 正大(おかだ・まさひろ)氏
包括的(BOP)ビジネス戦略研究フォーラム」を主宰。専門は経営戦略論。慶應ビジネススクール・グローバル競争力セミナー主管。経済産業省BOPビジネス支援センター運営協議会委員、同省新中間層獲得戦略研究会委員、同省アフリカビジネス研究会委員。1985年早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業し、本田技研工業入社。慶応義塾大学大学院で経営学修士(MBA)を取得。米アーサー・D・リトルの日本法人を経て、米ミューズ・アソシエイツ社フェロー。米オハイオ州立大学大学院でPh.D.(経営学)を取得。2007年から現職。(写真:陶山 勉、以下同)

 現在、いわゆる中間所得国(世界銀行の分類で1人当たりGDPが976~1万1905ドル)、低所得国(同976ドル未満)の年平均経済成長率は、2005年以降で概ね7%内外、一方、高所得国(1万1905ドル超)は2%内外です。新興国中間層での競争はどんどん激しくなっていますが、伸び盛りの国が多く、日本企業としては当然押さえておくべき市場です。途上国も同様の成長率を示しているわけで、戦略的に参画する必要があります。

 さてアルジェリアでの事件を受けて、一部の日本企業やシンクタンクの関係者から、「岡田さん、やっぱりアフリカは危ないですね」「途上国は怖いですね」といった内容のメールが何件か届きました。メディアで事件を見聞きする一般市民、もしくは途上国に関わりのない企業の一般社員の皮膚感覚レベルでは、そういう感想を持つのももっともだと思います。

 しかし、そのような途上国特有のリスクに直面し、経営判断をいかになすべきかは、全く別問題です。リスクのない国などありません。リスクが大きいからと、日本企業が途上国、新興国に出て行かなかった場合の機会損失は極めて大きい。日本経済の未来は、途上国、新興国への企業活動の拡張を抜きには語れません。

リスクは回避ではなくマネージするもの

リスクを取らなくてはリターンはないと。

岡田:それがビジネスの常道です。リスクは、回避するべきものではなく、取ったうえでマネージするべきものです。当たり前のことですが。日本企業の一部には、「リスクは悪者、リスクはとことん回避すべき」という保守的感覚が強い企業もあります。特に伝統的大企業に多い。日本の経済規模(GDP)に比べて、日本における全上場企業の株式時価総額の合計が先進国の中で相対的に低いのは、このあたりに原因があるのではないかと思います(例えば、2012年の時価総額/GDP比率が米国は1.28倍、イギリス1.40倍、フランス1.10倍に対し、日本は0.62倍、ドイツは0.44倍)。

 途上国、新興国に日本企業が出て行かなければ、中国、韓国、インド、中近東、シンガポール、欧米など、他国の企業が行くだけです。地政学的リスクの高い地域を避けていれば、ほかの多国籍企業の後塵を拝してしまいます。競争戦略の観点から言えば、出て行くしかありません。

コメント6件コメント/レビュー

インテリジェンス・リスクの回避に対する見解が甘い。真実にたいする考察をもっと出来なければ政経両面からの企業へのバックアップは不可能だろう。米英と連携しながらIRを回避しようとお考えのようだが、それこそ最もリスクを増大させる元凶であるという認識がない。イスラーム過激派は決して単なるテロ集団ではない。クルアーン(コーラン)には、「武器を持った侵略者には武器を持って排除せよ」つまり「目には目を」が当然とある。しかしインティファーダで見たように、ムスリム達には当時武器と言えるものは何もなかった。石礫で戦車に反抗するしかなかった。欧米がムスリム社会を見下すように、アフガンからアルジェまで縦横無尽に闊歩し、石油資源から日常生活まであらゆる面で支配し続けて来たことを忘れてはならない。私はよく難民キャンプを支援するためにアフガンからソマリア・リビア・そしてアルジェやチュニジアまでも出かけるが、日本人に対しては、欧米人とは異なった見方をしてくれていた。「アジアの一小国が、世界を相手に戦った唯一の国であり、戦争の末期にはゼロ戦に乗ってスイサイドアッタクをしかけた見事な国だった」「アメリカに原子爆弾まで落とされたのに、どうして今はアメリカに尻尾を振っているのか」。この2つは必ず日本人の評価として出て来た。日本の商社も外務省も(外国事情にとろい政府などは無視して)、米英とは別の人脈作りをし、ムスリム社会の根幹に食い込まなければ、本当のビジネスは今後展開しては行けないだろう。経済一辺倒の見方だけで中東から北アフリカへ進出する事は、どの様に武装して防御しようとしても、今回の様な事は起こる。リアルオプションなどとへっぴり腰な綺麗ごとを言っているような状況ではない。ムスリム社会の根元へ潜り込んで行き、真のリレーションシップを彼らと共有するのが唯一選択すべき道だろう。余程腰の据わった人材が必要だとは思うが。単に情報を吸収するだけではない。しっかりとした人間関係を築く事が、日本独自のビジネス戦略を展開する根幹であることは今日までの歴史が物語っている事をお忘れなく。(2013/01/31)

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インテリジェンス・リスクの回避に対する見解が甘い。真実にたいする考察をもっと出来なければ政経両面からの企業へのバックアップは不可能だろう。米英と連携しながらIRを回避しようとお考えのようだが、それこそ最もリスクを増大させる元凶であるという認識がない。イスラーム過激派は決して単なるテロ集団ではない。クルアーン(コーラン)には、「武器を持った侵略者には武器を持って排除せよ」つまり「目には目を」が当然とある。しかしインティファーダで見たように、ムスリム達には当時武器と言えるものは何もなかった。石礫で戦車に反抗するしかなかった。欧米がムスリム社会を見下すように、アフガンからアルジェまで縦横無尽に闊歩し、石油資源から日常生活まであらゆる面で支配し続けて来たことを忘れてはならない。私はよく難民キャンプを支援するためにアフガンからソマリア・リビア・そしてアルジェやチュニジアまでも出かけるが、日本人に対しては、欧米人とは異なった見方をしてくれていた。「アジアの一小国が、世界を相手に戦った唯一の国であり、戦争の末期にはゼロ戦に乗ってスイサイドアッタクをしかけた見事な国だった」「アメリカに原子爆弾まで落とされたのに、どうして今はアメリカに尻尾を振っているのか」。この2つは必ず日本人の評価として出て来た。日本の商社も外務省も(外国事情にとろい政府などは無視して)、米英とは別の人脈作りをし、ムスリム社会の根幹に食い込まなければ、本当のビジネスは今後展開しては行けないだろう。経済一辺倒の見方だけで中東から北アフリカへ進出する事は、どの様に武装して防御しようとしても、今回の様な事は起こる。リアルオプションなどとへっぴり腰な綺麗ごとを言っているような状況ではない。ムスリム社会の根元へ潜り込んで行き、真のリレーションシップを彼らと共有するのが唯一選択すべき道だろう。余程腰の据わった人材が必要だとは思うが。単に情報を吸収するだけではない。しっかりとした人間関係を築く事が、日本独自のビジネス戦略を展開する根幹であることは今日までの歴史が物語っている事をお忘れなく。(2013/01/31)

新興国が大事なのは誰でも分かっている話。リアルなんとかというアカデミックげな話はしているが、どのようにすれば安全性と収益性を確保できるかの詳細は一体どうなのか?いずれにせよ海外でのビジネスは従業員の身の安全が大前提のはず。それを全く無視したようなご発言(覚悟が必要のくだり)は厳に慎むべき。ご自身は今のアルジェリアのガスプラントで作業する度胸がおありというのか?外野からであれば誰でも何でも言える。単なる床屋談義の域を出ていない。加えて、後だしジャンケン的にテロの兆候が分かると仰っているが、それならばなぜ事件が起こる前に社会や政府、企業に対して声を大にして訴えなかったのか。甚だ疑問が残り、不愉快だと言わざるを得ない。(2013/01/31)

アルジェリアの事件の真相究明が第一。真相究明とは、外務省の対応を含むものであり、渡航危険区域に指定されていなかったのは何故か、専門チームで解析すべきであり、その結果を政府の責任で公表すべきである。(2013/01/31)

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