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“決意”を伝えるには、やはりマス広告と出稿量

電通CDC 高崎卓馬氏 第2回

2013年2月15日(金)

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(前回から読む

高崎さんは、2012年の大ヒット商品となったサントリーの「オランジーナ」のテレビCMを手がけられました。テレビCMは、リチャード・ギアがフランスの寅さんこと「TORA」に扮して話題になっている連作です。

高崎:前回、お話したように、そのアイディアは瞬発力的なもので、フランスの国民的炭酸飲料を、日本の国民的炭酸飲料に見えるようにするために、「国民的」という表現のコンセプトを見つけたところから来ています。

 ただ、そこには一つ問題があったんです。日本人の中でも、「寅さん」をきちんと知らない人、知らない世代が結構いたんですね。

それは悲しい。

高崎:薄くは知っているんだけど、よくは知らない、と。特に若い世代では、「男はつらいよ」の映画を観ていない人たちも結構いるんですよね。

 そのように、認知度にもいろいろなレベルがある話を、広告的に成立するように持っていくことが表現の役目でした。リアルにオレンジジュースを飲みそうな子供たちが、寅さんを知らないのだったら、そういう人でも面白いと思う広告じゃなきゃいけないし、寅さんを知っている人だったら余計に面白く感じられるものでなければなりません。

 まず、広告を作っていく上で、自分がクリアすべき条件を自分の中に設定して、あとは現実の交渉と制作に突き進んだわけですが、「フランスの国民的炭酸飲料」というフレーズが商品に備わっていたから、クリエーティブの根っこがブレずに済んだのだと思います

「決意」はマス広告から伝わる

発売元のサントリーが、当初計画の200万ケースを4倍の800万ケースに上方修正するほどオランジーナは売れましたが、広告を担当した高崎さんにしても「奇跡的」という感じだったんですか。

高崎卓馬(たかさき・たくま)
電通コミュニケーション・デザイン・センター所属。
エグゼクティブ・クリエーティブディレクター/CMプランナー。
1969年、福岡県生まれ。93年、早稲田大学法学部卒業後、電通に入社。
代表作に、サントリー「オラジーナ・ムッシュはつらいよ」、「オールフリー・これがいいのだ」、「金麦糖質70%OFF・そういえば、しあわせ」、「アセロラ・アセロラ体操」。JR東日本「新青森駅開業・MY FIRST AOMORI」「『行くぜ東北』キャンペーン」。インテル企業広告シリーズ、明治製菓「キシリッシュ・福山雅治シリーズ」、BEAMS「『恋をしましょう』キャンペーン」、東芝「REGZAキャンペーン」、公共広告機構(AC)「imagination/クジラ」など。
JAAAクリエーターオブザイヤー、TCCグランプリ、ACC、NYADC、カンヌ国際広告賞、ONE SHOW 、アドフェストグランプリ、など国内外の受賞多数。
映画「ホノカアボーイ」の脚本、プロデュース、ドラマ「蒼井優の4つの嘘」脚本、「上野樹里の5つの鞄」監督・脚本、小説『はるかかけら』(中央公論社)、ビジネス書籍『表現の技術』(朝日新聞出版)、『上野樹里とナニカをツクル旅』(上野樹里と共著・マガジンハウス)など、多領域に渡って活動中。(写真:中村 治、以下同)

高崎:失敗する要素は全部つぶして取り組んだので、失敗はしないだろうとは思っていました。でも、売れるって、事前に確信できたらいいですよね。現実はただもう、不安で不安で……。商品が背負った期待も、クライアントの方たちのいろいろな努力も全部わかるので、その不安を必死に消す努力をずっとしている、というのが僕の実感です。

クリエーティブの別名は、不安を必死に消す努力、ですか。

高崎:もっと根本的な部分で言うと、炭酸飲料のような商品は、流通と営業の関係がとても重要なんですね。

 商品を売るために、僕ら広告制作者は必死になりますが、その広告は一般消費者と同時に、流通に関わる人たちにも効かなきゃならない。広告は、メーカーにとって流通に対する営業の弾でもあるので、そこを僕らがちゃんと理解して、ちゃんと機能する広告を作らないと、最終的に売れる結果に結び付かないと思います。それは、売りたくなる広告を作る、ということだと思いますが。

コンビニなり、スーパーなりの店頭で、どれだけいい売り場を取ってもらえるかは、店舗や流通関係者の判断になりますよね。

高崎:店舗や流通関係者にとって、「この商品は今、キャンペーンに力を入れていて、CMも話題になっている」というのは、売るための大きな動機になります。

 その意味でいちばん必要なことは、クライアントが本気で売る、という決意なんです。決意を実際の数字に結び付ける時にいちばん効果的なのが、マスメディアを使った広告キャンペーンなんだと思います。

マスの広告は、決意の表明となって、数字につながる。

高崎:数字につながらないマス広告はだめだと思います。売るための広告が、いい表現を持っている、ということが、やっぱり理想です。

(次ページに続く)

電通CDCとは?

高度化する企業の抱える課題を複合的に解決するため、様々なセクションから実績のあるスペシャリストを集め、2009年に電通内に設けられた。構成は、テレビなどマスメディア・ベースのクリエーティブチーム、デジタル・ベースのクリエーティブ・チーム、ストラテジー・ベースのクリエーティブチーム。それぞれの専門性によって分かれているが、プロジェクトごとに横断的にチームを組む。今回のインタビュー・シリーズでは「マスメディア・クリエーティブチーム」から古川裕也氏、澤本嘉光氏、高崎卓馬氏、「デジタル・クリエーティブチーム」から佐々木康晴氏、岸勇希氏、「ストラテジー・クリエーティブチーム」から林信貴氏、樋口景一氏に話を聞く。

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「“決意”を伝えるには、やはりマス広告と出稿量」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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