(前回から読む)
高島:そもそも小山さんは九州新幹線開通を記念した、熊本県の認知向上キャンペーン「くまもとサプライズ」の企画者ですものね。キャンペーンのアイドルでもある、ゆるキャラの「くまモン」は2011年のゆるキャラグランプリの栄誉にも。というか、もはや「ゆる」じゃなくて「メジャー」キャラですね。

放送作家。脚本家。1964年6月23日熊本県天草市生まれ。日大芸術学部放送学科在籍中に放送作家としての活動を開始。「カノッサの屈辱」「東京ワンダーホテル」「ニューデザインパラダイス」など斬新なテレビ番組を数多く企画。「料理の鉄人」「トリセツ」は国際エミー賞に入賞した。2008年公開された「おくりびと」が初めての映画脚本となるが、この作品で第60回読売文学賞戯曲・シナリオ部門賞、第32回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第81回米アカデミー賞外国語部門賞獲得をはじめ、国内外で高い評価を受けた。
現在、作家以外の活動としては、以下の通り。東北芸術工科大学デザイン工学部企画構想学科長同大教授、観光庁観光アドバイザー、熊本県地域プロジェクトアドバイザー、下鴨茶寮 亭主、日光金谷ホテル顧問、マルシェ・ジャポン発起人、東京スマートドライバー発起人、等。(写真:丸毛透、以下同)
小山:水野学さんがデザインした「くまモン」のプロデュースのお手伝いをしたこともあって、今、しょっちゅう熊本に帰っているんですが、この前も、熊本県の仕事があって飛行機で向かったら、空港に県庁の方が迎えにいらしてですね、車に乗ると、ペットボトル飲料が置いてある。
手に取ったら、ペットボトルに巻いてあるフィルムに、くまモンがプリントされていた。だから、「え、くまモンのドリンク、発売するんですか?」って聞いたら、一緒に車に乗った県庁のひとが、にこにこして「サプライズです!」
高島:小山さんが驚く前に仕掛けた本人が自分で言っちゃあ……。
小山:「サプライズ」じゃない(笑)。まあ、キャンペーンの名が「くまもとサプライズ」ですからね。関係者みんなが「サプライズ」づいていて。
でも、その人の良さがいいんですよ、熊本県庁のひとたち。
「くまモン」ヒットの理由
高島:ですね。それにしても、ご当地キャラクターをヒットさせるのは、なかなか難しいと思うのですが、「くまモン」は見事に普及しましたね。
小山:「くまモン」プロジェクトは2010年3月がスタートですから、あとちょっとでデビューから3年になります。そういえば、県庁のくまモンの担当者が、これはほんとうにすごいサプライズを仕掛けてくれたんですよ。
くまモンがデビューして1年ほどたったころです。メディアにもずいぶん紹介されて認知度も向上しました。あるとき県庁に伺うと、担当者の成尾さんが、「1年間、ありがとうございました」と挨拶にいらしたんですね。で、僕に分厚い封筒を渡して、こうおっしゃるわけです。
「小山さんに、お礼のお手紙を書きました。長い手紙なので付箋をつけておきました。そこだけ読んでいただければけっこうです」
長い手紙?付箋?なんだそりゃ?
と思いながら、封筒を開けてみると……。「これ」が入ってた(と、現物を見せてくれる)。

高島:え、これ、新書じゃないですか!タイトルは『もしくま もし、しがない地方公務員集団「くまモンとおもろい仲間たち」が小山薫堂氏の「もったいない主義」他を読んだら』。『もしクマ』……『もしドラ』のパロディ?装丁が、たしかに小山さんの『もったいない主義』や『考えないヒント』とそっくりだ。あれ、幻冬舎新書?
小山:違うんですよ。これ、手作りなんで。よく似せて作ってあるんです。実は、封筒から出てきたのは、この手作り新書の原版、だったんです。手紙だと思って引っ張り出したら……びっくりしました。
高島:ホントのサプライズですね。
小山:ええ。県庁のくまモンプロジェクトの成尾さんたちが、くまモンプロジェクトのあらましを自らまとめて、新書のかたちで僕にプレゼントしてくれたんです。
高島:……ちょっと、ぐっときますね。
小山:はい。
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