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グーグルが社食をタダにする理由

熾烈な人材争奪戦の舞台裏、外村仁・エバーノート日本法人会長に聞く

2013年2月5日(火)

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 無料の社員食堂、床屋の出前に、車のオイル交換、果てはハイブリッド自動車のリース代補助まで――。米西海岸のハイテク企業における人材獲得競争にちょっとした異変が起きている。
 従来のストックオプションといった「お金」によるインセンティブだけではない、手厚い「福利厚生」を売りにするネット企業が増えている。先鞭をつけたのはグーグルだが、これに多くのネット企業が追随、福利厚生を競い合う構図が出来上がりつつある。
 共通するのは、お金では得られない、働くモチベーションをいかに喚起するかということ。無論、その背後には、企業側のしたたかな計算もある。実情をエバーノート日本法人会長・外村仁氏に聞いた。

(聞き手は蛯谷 敏=日経ビジネス)

米ネット企業の人材争奪戦が激しさを増しているそうですね。

外村 仁(ほかむら・ひとし)
外村 仁(ほかむら・ひとし)
米系経営コンサルティング会社を経て、米アップルでマーケティングを担当。ジョン・スカリーからスティーブ・ジョブズまで5年間で4人のCEOに仕える。欧州で経営学修士号を取得後に米シリコンバレーで起業、ストリーミング技術の会社を立ち上げ、売却。現在はエバーノート日本法人会長のほか、ファーストコンパスグループ共同代表、スタートアップ数社のアドバイザーやOpen Network Labの起業家アドバイザーなども務めている。『アップル 驚異のエクスペリエンス』(日経BP社)の解説も執筆した。
(写真:村田和聡、以下同)

外村: 米国全体は不景気なんですが、シリコンバレーだけは別世界といった様相で激しい人の奪い合いが起きています。

 特にソフトウエアのエンジニアはもう引っ張りだこ。本当に人が採れません。加えて、ソフトウエア業界の垣根が消滅しつつある点が挙げられます。従来ならコンピューターソフトとゲームソフトでは、採用する人材が違っていたんですが、今やゲームもiPhoneやAndroidで遊ぶ時代です。その影響もあって、エンジニアの取り合いが激しくなってきているわけですよね。

 そして、Webサービスやスマートフォンアプリを開発できるのは、比較的若い世代に集中している傾向があります。ほら、若い人って都市部に住みたいじゃないですか。好き好んで、田舎に住みたがる人は少ない。だから今、あまりカルチャーのないシリコンバレーは人気がないんですよ。どこに行ってもお店は大体、夜9時には閉まるし、買い物できる場所も、飲みに行く場所もあまりないですから。

 センスのいい店でショッピングができて、遅くなっても飲みに行ける素敵なバーがあって、ロックコンサートもオペラも楽しめるというのは、(シリコンバレーから車で1時間ほど北に位置する)都市部のサンフランシスコなんですよ。いきおい、若い人はそっちに住みたがるわけですよ。

 こうした背景もあって、最近の面白いスタートアップ企業って、サンフランシスコで多く出てくる傾向があって、(本来のシリコンバレーの)パロアルト、マウンテンビュー、サニーベールなどからはあまり生まれてこないですよね。

なるほど。

外村: それじゃ、シリコンバレーに拠点を置くネット企業はどうするか。実際にはあまり選択肢はないんです。自分がそういった人材の方に近づくか、来てもらえるように仕掛けるかです。

 前者の典型例は、遠隔地に拠点を置くサテライトオフィスです。例えば、エバーノートも、テキサス州のオースティンに拠点を置いています。あそこには、理工系の大学が結構あって、優秀な学生も多いんです。が、地元にはそういった人材を雇える企業が少ない。人材をシリコンバレーに呼んでくることもあるんですが、多いのは、オースティンで雇って、働いてもらうケースですね。うちだけでなく、他のネット企業もこういった動きを進めています。

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「グーグルが社食をタダにする理由」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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