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3Dプリンターは何でもできる“魔法の箱”じゃない

3Dコンサルタントの原雄司氏に日本ならではの活用法を聞く

2013年2月18日(月)

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 クリス・アンダーソン氏が執筆した『MAKERS~21世紀の産業革命が始まる』(NHK出版)によって3D(三次元)プリンターというデジタルツールが市民権を得た。3Dプリンターを使えば個人のアイデアを手軽に形にでき、誰でもがメーカーになるチャンスがある。一方で、3Dプリンターは日本の製造業にどのようなインパクトを与えるのか。3Dコンサルタントの異名を取るケイズデザインラボ社長の原雄司氏に聞いた。

(聞き手は木村 知史)

『MAKERS~21世紀の産業革命が始まる』が日本でもヒットしました。この書籍で大きく取り上げられた3Dプリンターは、知名度がかなりアップしたように感じます。ケイズデザインラボは、3Dプリンターを含むデジタルツールを販売されていますが、影響はありますか。

原雄司(はら・ゆうじ)氏
原雄司(はら・ゆうじ)氏
ケイズデザインラボ社長、3Dコンサルタント。大手通信機メーカーの試作現場に就職。その後、格闘家を続けながら3次元CAD/CAMメーカーに転職し、開発責任者、子会社社長、IR担当などを経験。切削RP(ラピッド・プロトタイピング)や「デジタルシボD3テクスチャー」などを考案。現在『アナログとデジタル融合で世界を変える!』を標榜し、ものづくりから、デザイン、アート、医療、エンターテインメントまで、様々な分野での3Dデジタル活用を推進中。(写真:的野弘路、以下同)

:お陰様で各種デジタルツールの引き合いも増えましたし、販売も好調です。マスコミにも多く取り上げられるようになりました。ただちょっと残念なのは、3Dプリンターが日本の産業に与える効果が、偏って解釈されていることです。すごく極端に言ってしまうと、3Dプリンターなら誰でも好きなものが作れる、そのモデルのデータをインターネットでEMSなどの少量生産でも請け負う業者に発注すれば世界中で販売できる、金型産業を含む日本のものづくりは窮地に追い込まれる、みたいな論調でしょうか。

 一部の製品では、もちろんそうなるかもしれません。3Dプリンターを使わなければできない形状の製品はありますし、また本当にマニアだけが使うような製品なら、個人で作って売ってもいいかもしれない。

 でも、それで日本のものづくりがひっくり返るかというと、そんなことはありえません。ひょっとすると3Dプリンターは“魔法の箱”のように何でも作れると思っている人がいるかもしれませんが、そうじゃないですよね。前提となる3Dデータが必要だし、使用できる材料だって限られている。また、複雑な形状が作れるといっても、製造ノウハウがなければ中途半端なものができあがってしまう可能性だってある。

誰でもがメーカーに簡単になれるかというと、そんなことはないわけですね。

:もちろん、個人が出したアイデアを最終的には製品として売るところまでにこぎつける、いわゆるアンダーソン氏がいうMAKERSも増えるでしょう。実際に、私の知り合いにも書籍の影響を受けて、会社を辞めて独立した人もいます。MAKERSを夢見ているわけですね。これは決して悪いことではありません。

 ただ、私が日本において3Dプリンターの活用方法として期待しているのは、そういったMAKERSの誘発にもつながるのですが、ものづくりを行ううえでのコミュニケーション・ツールとしての活用なのです。新しいアイデアなどができたら3Dプリンターでモックアップを制作。それを様々な人の意見を聞くためのコミュニケーション・ツールとして利用してほしいのです。

コメント6件コメント/レビュー

個人的にはCADのみにこだわると光明はないかも、と思います。◆私自身、以前は秋葉原にあった、とあるショールーム(?)で趣味的な立体出力をしました。が、その時使ったデータはCADではなく3DCGソフトで作ったモデルデータをその場で変換して使いました。◆趣味でCADいじる人はまだ少ないと思いますが、CGなら相対的には多い印象ですし、3Dに関してCGとCADの垣根は意外に低いというのは実感としてあります。◆なので、勉強は必要ですがこれからの「のびしろ」という意味では、プロアマ問わずCG系の人をどう取り込んでいくかが当面の課題かも知れません。ただ、このテの話はオタク的な何かと表裏一体な一面もあって、そういう部分が一般には受け入れにくく思われてしまう一因という気もしてはいますが…。(2013/02/24)

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「3Dプリンターは何でもできる“魔法の箱”じゃない」の著者

木村 知史

木村 知史(きむら・ともふみ)

日経ビジネスDigital編集長

日経メカニカル、日経ものづくり編集などを経て、2014年4月から日経ビジネスDigital編集長。アプリ開発やサイト運営をメインの業務とする一方で、製造業関連や中国関連の記事をサイトに執筆。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

個人的にはCADのみにこだわると光明はないかも、と思います。◆私自身、以前は秋葉原にあった、とあるショールーム(?)で趣味的な立体出力をしました。が、その時使ったデータはCADではなく3DCGソフトで作ったモデルデータをその場で変換して使いました。◆趣味でCADいじる人はまだ少ないと思いますが、CGなら相対的には多い印象ですし、3Dに関してCGとCADの垣根は意外に低いというのは実感としてあります。◆なので、勉強は必要ですがこれからの「のびしろ」という意味では、プロアマ問わずCG系の人をどう取り込んでいくかが当面の課題かも知れません。ただ、このテの話はオタク的な何かと表裏一体な一面もあって、そういう部分が一般には受け入れにくく思われてしまう一因という気もしてはいますが…。(2013/02/24)

現状は、まだ単価が高い+出力に時間がかかる+成型品に強度を出せない、とマイナス面が多いと感じますが、あくまで「見せる」ための用途であれば、3Dプリンタは高い可能性があると思います。単価が高い案件のプレゼン用に1つだけモデルを作るといった感じかな? 立体内部にも色をつけられるので、内部の応力分布を立体的に示すなんて用途にも使えます。住宅設計事務所が依頼主向けに住宅の姿を3D出力した例を見ましたが、なかなかきれいでした。◆以前、秋葉原にも3Dプリンタのショールームがあって、お邪魔した事があったのですが、とんでもない敷居の高さに辟易しました(出力例がアニメ系だったのが唯一の軟らかさ)。「ハイテク・パワハラ」という言葉があるのかどうかは存じませんが、私のような事務屋のど素人にも理解できる…少なくとも、分かった気分にさせてくれる…程度の説明をいただけると、ありがたいですね。(2013/02/19)

3D製作用の3DCADデータ製作は「作法」にうるさい。これがベテランの「上から目線」に見える態度につながるのだろう。■見た目が同じ形状のデータでも「作法」に沿っていないとデータ上はぐちゃぐちゃで、3Dプリンタ側のコンピュータが正常に作れなかったり、「印刷」が非効率で時間がすごくかかったり大量の材料の無駄を出したりする。■そういう質の悪いデータを作る素人を、「作法」をわきまえて効率的だったり材料の無駄の無い品質の高いデータを作れる玄人が軽んじる態度になるのはあるだろう。作法を弁えない人が小馬鹿にされるのはどこの世界でもあることだ。■技術的に解決しようと思えばできなくはないだろうが、それに価値を認めて金を出す素人などおらず、玄人は既に作法を身に着けているからそんな技術に必要性を感じない。(2013/02/18)

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