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日本企業の「ものづくりの病」を打破する方法

「行動観察」の専門家・松波晴人氏に聞く

2013年2月20日(水)

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 なぜ、日本から世界初の新製品、サービスが生まれにくくなってしまったのか。日本企業が陥っている「ものづくりの病」を打破する方法はあるのか。新しい価値を生む手法として注目されている「行動観察」に詳しい大阪ガス行動観察研究所所長の松波晴人氏に、日本企業復活の道筋を聞いた。

(聞き手は瀬川 明秀)

日本企業がイニシアティブをとれるヒット商品が出なくなったのはなぜでしょうか。特に家電、デジタル分野での存在感は薄れていくばかりです。

松波:世の中の変化のスピードがどんどん速くなっていること、そして社会が成熟化していることが背景にあります。ヒットを出すのに苦しんでいるのは、なにも日本企業ばかりではありません。例えば、アップルであっても失敗している商品が実に多いです。

松波晴人(まつなみ・はるひと) (写真:的野 弘路)
松波晴人(まつなみ・はるひと)
1966年大阪生まれ。2009年に大阪ガス株式会社行動観察研究所を設立、所長に就任。1990年神戸大学工学部環境計画学科卒業。92年同大大学院工学研究科修士課程修了。同年大阪ガス株式会社入社、基盤研究所に配属。以後2006年まで研究所所属。生理心理学、人間工学関係の研究活動に従事。2002年コーネル大学大学院にて修士号取得。2005年株式会社エルネットと契約し、行動観察ビジネスを開始。2006年和歌山大学より博士号(工学)取得。2008年エルネット技術顧問就任。2010年 明治大学サービス創新研究所の副所長に就任。著書に『ビジネスマンのための「行動観察」入門 』(講談社現代新書)、編著に『ヒット商品を生む 観察工学』(共立出版)。
(写真:的野 弘路)

あ、確かに、アップルの失敗した製品群を紹介するサイトもありますね。

松波:売れなかった製品がたくさんあります。アップルとて連戦連勝しているわけではない。ヒットが出にくくなっているのは、変化のスピードが速くなっている中で、過去に成功したやり方ではうまくいかなくなってきている、という側面があると思います。なので、従来の成功体験で得られた様々な概念を変更していく必要があります。しかし、こうした固定概念を変えていくのがかなり難しい。

なるほど。

松波:そこまでの問題になると、組織としてどう取り組むか、という話になってきます。あとは、先ほど述べた社会の成熟化です。

社会の成熟化とは。

松波:これまでの企業はメーカーにせよサービス業にせよ、消費者の声に応える形で成長してきました。「こんなことはできないか」「こんなことに困っている」などなど、消費者の直接的な声に応えることで付加価値が生まれ、そのまま企業の成長につながってきたのです。

 ところが、成熟社会に入り、「困りごと」が少なくなってきました。お客さまに尋ねても、小さな困りごとしか出てこない。下手をすると「別にこれといって困っていることはない」と言われることもある。お客さまの思っている課題と、それを解決する製品・サービスという、綺麗な関係が崩れてしまった。そうなると、これまで成功してきた方法と違うアプローチを取る必要があります。しかし、既に成熟した製品やサービスについて、過去に成功した方法論でやり続けてしまうと、小さな困りごとに対する小さな改善に終わってしまいます。得られるアウトプットの質が下がってしまうわけです。

調査のアウトプットの質が下がる、とは?

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「日本企業の「ものづくりの病」を打破する方法」の著者

瀬川 明秀

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ビジネスアソシエなどを経て、日経ビジネスオンライン開設後はオンライン編集がメインの業務。2012年からは日経BPビジョナリー経営研究所の研究員を兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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