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「発送電分離で電気料金が下がる」は幻想

伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリーの伊藤代表に電力改革を聞く

2013年3月5日(火)

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長年、課題とされながら進まなかった電力システムの抜本改革が動き出した。経済産業省の電力システム改革専門委員会が報告書をまとめたが、委員の一人である伊藤敏憲氏は「改革を万能と捉えるような過度の期待は禁物」という。

(聞き手は田村賢司)

家庭向けを含めた電力小売りの自由化や、電力会社の発電部門と送電部門を分ける発送電分離など、大規模な電力改革の見取り図がまとまった。

伊藤敏憲(いとう・としのり)氏
三重県生まれ。 1984年6月、大和証券経済研究所(現・大和総研)入社。以後、外資系証券を含め、石油、電力、ガスなどの産業の調査を担当。2012年1月独立し、伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリーを設立。代表取締役兼アナリスト。

伊藤:電力システムの改革は3つの段階を経て進めることとしている。まず最初は2015年の広域系統運用機関の設立。これは、電力需給及び(送配電網)系統の広域的な運用体制を整えることで、需給調整能力の向上と、広域で電源選択をしやすくするよう促すものだ。現在の体制では、電力会社は9社(本州、沖縄電力を含めると10社)それぞれが地域内の需要に合わせて発電を行う。

 基本的に地域内で需給調整を行うわけだが、それでもある地域で不足が生じた場合に融通する仕組みになっている。それを全国一体で見るようにより広域で需給調整を行う仕組みにしていく。

 元々、日本の電力会社は東西で周波数が異なるため、その間の電力のやりとりは、静岡市から日本海へ抜ける3カ所に設けられている周波数変換装置(FC)の能力、120万Kwに限られている。さらに、(同じ周波数である)北海道と本州の間も連系線の容量の範囲での融通になっている。

 この(融通量の限界の)状況は、FCや北本連系線の増強をするまで変わらないが、それでも東西それぞれの域内を広域運用する体制ができればかなり変えられるはず。ある電力会社管内で電力が不足しそうな時に、設備稼働に余裕のある近くの電力会社で発電して送るようにするといったことができるからだ。

 どのような仕組みにするかはこれからの議論だが、緊急時の対応力は今より強くなり、発電コストの低減、風力発電・太陽光発電の導入可能量の拡大なども見込める。

現状の仕組みでも改革はできる

第2段階は2016年をメドとする家庭向けの電力小売り自由化だが、その時には何が起きるのか。

伊藤:誤解してはいけないが、その段階ではまだ料金規制は残り、自由料金と規制料金から選択することになっている。原子力発電所が新しい安全基準を完全に満たし、かつ地元の合意が得られまで稼働できないとすると、電力需給がひっ迫する状態が長く続く可能性がある。そんな時にいきなり自由料金にすると、かえって料金が高騰する恐れもある。自由化すればなんでもよくなると思うのは間違いだ。

 しかし、新規参入は増えるだろう。例えば、コンビニエンスストアなどの運営会社が、加盟店向けに独自のメニューを用意するといった形の参入もありえる。一般の消費者にとって当面は、大きな料金変動は期待できないかもしれないが、それでも時間帯別料金など、よりきめ細かいサービスメニューを用意した小売り会社を選べるなど選択の自由が出てくるというメリットはあるはずだ。

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「「発送電分離で電気料金が下がる」は幻想」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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