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「未来世紀」の国が、いま一番広告が面白い

電通CDC 樋口景一氏 第2回

2013年3月15日(金)

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樋口さんは、もともと広告に興味があって広告会社に入られたのでしょうか。

樋口景一(ひぐち・けいいち)
電通CDCコミュニケーションデザイン・ディレクター/シニア・プランニング・ディレクター
1970年福岡生まれ。94年東京大学卒業、同年、電通に入社。IMCプランニングセンターを経て 2008年より現職。国内および海外において広告キャンペーンのディレクション、商品開発、コンテンツプロデュース、メディア企画開発を手掛ける。主な仕事にユニクロ「Tokyo Fashion Map」、グーグル/ユーチューブ「東日本営業中」、JR九州「祝!九州」、NHK「知らないって、ワクワク」など。カンヌ国際広告賞金賞、ロンドン国際広告賞金賞、アドフェスト銀賞、スパイクス銀賞、One Show銅賞など国内外の受賞多数。2008年より武蔵野美術大学非常勤講師。2011年クリオ賞インタラクティブ部門審査員、同年カンヌ国際広告賞メディア部門審査員、2013年NYフェスティバル審査員。著書に『発想の技術』(電通選書)。(写真:中村 治、以下同)

樋口:僕は、就職する前はニュージーランドとイギリスで演劇をやっていたりして、しょうもない人間なんですよ、もともと。いや、もともとって、今でもそうなんですけど(笑)。

ニュージーランドで、ですか?

樋口:はい。大学2年で休学して、最初にニュージーランドで現代劇をやりまして、そこで師事していたイギリス人の先生がロンドンに戻ることになって、僕も一緒にロンドンに行ったんです。

それは何年のことなんですか。

樋口:1991年、サッチャー政権後の、不景気で悲惨なロンドンでした。ロンドンでは80年代にパンクムーブメントが盛り上がった後、90年代になってもう一度、ファッションも音楽も演劇も全部壊そう、という動きがありました。僕はパンクバンドの「ポーグス(POGUES)」のファンなんですが、ポーグスもアイリッシュの伝統音楽をパンクの文脈で壊していくという音楽なんですよ。そういった、類型を一回壊すという解釈の仕方が、ものすごく好きなんです。

類型を一回、壊す。

樋口:ポーグスは聴いた方がいいですよ。日本の偉大なロックバンドだって、ポーグスの影響をむちゃくちゃ受けていますから。

演劇はその後、どうされたんですか。

樋口:ロンドンに渡る前までは、演劇で食うことしか考えてなかったんです。それでロンドンに行って「まあ、一通りやったな」ということで日本に戻ろうとしたんですが、1991年ぐらいの日本はまだバブルでしょう。ロンドンから友人に、「日本どう?」と聞くと、「もう、何でもオッケーよ」みたいな話だったんですね。

バブル最後の華が咲いていましたね(笑)。

樋口:バブルでみんなが浮かれているときに帰国したんですが、当然のように演劇は盛り上がっていなくて、周囲の反応は「何でそんなストイックなことするの?」。それで、大学に復学して勉強することにして、認知科学の論文を書いたんです。

業界に無知な方がいいことも多い

それも十分ストイックですよね。しかも、広告とは全然違うような。

樋口:僕は大学院に進むつもりだったんです。でも、その論文を読んでくださった方が、広告会社への就職を薦めてくれたんです。実はその時点で、日本にどんな広告会社があるのかも知らなくて、何も知らないまま広告業界に来ちゃったんです。

第1回でうかがったお話の最後につながりますが、その業界を半端に知らないことが、就活にしてもよかった、ということでしょうか。

樋口:就活に関していえば、結果的にそうだったんだと思います。車を考えるときは、ファッションも同時に考えないとブレイクスルーが来ないのと同じで、広告のことだけ知っていても、広告のブレイクスルーは来ない。その意味で、学生時代に演劇をやっていたり、認知科学を研究していたりしたことは、よかったのかもしれません。

 今の広告の現場に話を結び付けると、自動車業界があって、家電業界があって、というような、業態や業界を分けることは、あまり意味がなくなってきています。

高度な情報化社会では、たとえばグーグルと御社みたいに、業界の枠を超えてパイを奪い合うことが増えますよね。

樋口:業態や業界を超えた提携もある一方で、新規領域への進出ではバッティングする、というか。高度成長期には家電業界と自動車業界は仲良く共存共栄で来ましたが、電気自動車の登場で急にライバルになったりと、そういうことが起きている。そこで問われるのは、「車をどう売るか」ではなく、「一人の人間の空き時間をどれだけ引っ張ってこられるか」になってくるんです。

消費者が持つ「時間」とか「趣味」といった「資源」の奪い合いが始まっている。どうしたらいいんでしょう。

次ページに続く)

電通CDCとは?

高度化する企業の抱える課題を複合的に解決するため、様々なセクションから実績のあるスペシャリストを集め、2009年に電通内に設けられた。構成は、テレビなどマスメディア・ベースのクリエーティブチーム、デジタル・ベースのクリエーティブ・チーム、ストラテジー・ベースのクリエーティブチーム。それぞれの専門性によって分かれているが、プロジェクトごとに横断的にチームを組む。今回のインタビュー・シリーズでは「マスメディア・クリエーティブチーム」から古川裕也氏、澤本嘉光氏、高崎卓馬氏、「デジタル・クリエーティブチーム」から佐々木康晴氏、岸勇希氏、「ストラテジー・クリエーティブチーム」から林信貴氏、樋口景一氏に話を聞く。

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「「未来世紀」の国が、いま一番広告が面白い」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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