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21世紀型の新たな国際分業体制を提示せよ

菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミストに聞く

2013年3月12日(火)

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 安倍晋三政権は税制や規制などを見直して、日本を世界で一番企業活動がしやすい国にするという。ただ、菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミストは賃金水準を維持するためにも、国際分業をさらに進める必要があると訴える。

日銀は2%の物価目標を達成できると思いますか。

菅野:2%のインフレ目標はかなり高い水準に設定した印象です。日銀の1月の金融政策決定会合では審議委員の2人が、目標が高すぎると言って反対票を投じたぐらいです。私も達成はかなり困難と考えます。

(写真:都築雅人、以下同)

 日本が2%のインフレ目標を達成する場合を考えると、2つの状況があります。日米のインフレ格差から見た場合、これまでの約20年間、日米のインフレ格差は、米国が日本を2.5%ポイント上回る形で推移してきました。第1のケースは、今後、日本のインフレ率が2%になり、米国が4%強になるケース。第2は、日本が2%インフレになるものの、米国のインフレ率はさほど上昇せず2%台で推移するケースです。

 前者の場合、日本の2%インフレが持続する可能性は低い。米連邦準備理事会(FRB)のインフレ許容範囲の上限が2.5%だから、それを超えるとFRBは金融引き締めをしなくてはなりません。米国の景気が減速すると世界的に景気が悪化し、日本も例外ではなくなり、インフレ率が低下してしまいます。

 一方、第2のケースの実現もかなり難しいと思われます。日本は2008年にインフレ率が一時2%まで上昇しましたが、このときは原油価格の上昇が押し上げた面が大きい。2%のインフレが持続するのは、賃金がほぼ同程度上昇するときです。今後、企業収益が改善すれば賞与は増えるとみられますが、賃金にまで波及するにはかなりの時間を要するでしょう。賃金水準の高い製造業から賃金水準の低いサービス業へのシフトが進み、かつ非正規雇用比率が上昇傾向を辿る中では、賃金は構造的に上がりにくい面もあります。新興国の安い賃金との競争が続くことが基本的な背景です。日銀の金融緩和は今後、かなりの期間続くでしょう。

欧米との金融政策姿勢の違いで円安が進む

日銀が金融緩和を当分、やめられないとなると、どんな影響が出てきますか。

菅野:日本とは対照的に、欧米は近い将来、金融正常化に転じる可能性があります。米国では来年前半までには量的緩和が縮小、ないし終了して、来年後半にはFRBのバランスシートが縮小する時期に入ってくるでしょう。欧州では、期間3年の無制限供給資金(LTRO)の返済が始まり、欧州中央銀行(ECB)もバランスシートがもう縮小に入り始めています。そうなると、日本と欧米との金融政策姿勢の違いが明確になり、円安がより進む可能性が高まります。

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「21世紀型の新たな国際分業体制を提示せよ」の著者

松村 伸二

松村 伸二(まつむら・しんじ)

前日経ビジネス副編集長

日刊紙の日本経済新聞、リアルタイム速報の日経QUICKニュース(NQN)、テレビの日経CNBC、週刊誌の「日経ビジネス」と、日経グループの様々な媒体を渡り歩き、マーケット記事を中心に情報発信を続ける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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