アンチエイジングとは「美容」のことではありません

標準治療外のガン治療にも取り組む澤登雅一医師に聞く

 ここ数年、よく耳にするようになった「アンチエイジング」という言葉を聞いて、どんなイメージを抱くだろうか。恐らく、多くの人は美容や健康食品などを連想するのではないだろうか。東京都心のビルの1室にある「三番町ごきげんクリニック」(東京都千代田区)はアンチエイジングを専門とするクリニックだ。

 もっとも、美肌や痩身といった効果を期待する“患者”が受診に訪れるわけではない。澤登雅一院長が「健康の基盤を整え、より健康な状態でいられるようにすることが、本来のアンチエイジング」と強調するように、体の内面から健康状態を高めようとする人たちが受診に来る。

 もともとは日本赤十字社医療センターで血液のがん治療に携わっていた澤登院長だが、アンチエイジングの延長で再びがんの治療に取り組んでいる。大学などの研究機関と連携し、標準治療として認められていないガン治療法のエビデンス向上に取り組む澤登院長に、アンチエイジングとがん治療がどうつながるのかなどについて聞いた。(聞き手は西頭 恒明)

澤登先生は2005年、「アンチエイジング」をテーマに開院した「三番町ごきげんクリニック」の院長を務めていらっしゃいます。アンチエイジングと言うと、肌のしわやたるみの除去といった美容分野の印象が強いのですが、実際にどのような診療を行っているのですか。

澤登:確かに、美容とか健康食品などでもアンチエイジングという言葉がよく使われていますね。しかし、私はアンチエイジングを「健康の基盤」を整えることだと捉えています。

 通常の医療では、高血圧や肩こり、アレルギー、あるいはガンなど、具体的な症状や病気をどう治すかということに重きを置いていますが、私は健康な方がより健康な状態でいられるようにサポートすることに取り組んでいます。心も体も「ごきげん」な状態になってもらいたいという思いから、名前も三番町ごきげんクリニックと名づけました。

生活習慣によって、「生物学的年齢」に大きな違い

どのような方が来院しているんですか。

澤登:クリニックの開院当初は男性のクライアント(編集部注:来院する人は必ずしも病気を抱えているわけではないため、三番町ごきげんクリニックでは「患者」ではなく「クライアント」と呼ぶ)さんが7割を占めていましたが、現在は男女半々くらいです。女性の方も美容という意識ではなく、体の内側から健康になりたいという考えで来ていただいているようです。

 年齢的には40代から60代が中心です。やはり、健康に対する意識が高い人が多いですね。「健康に気をつけたいけれど、普段は忙しくてなかなか運動をする機会がない」といった理由でお越しになる方もいます。

澤登 雅一(さわのぼり・まさかず)氏
1967年東京生まれ。92年東京慈恵医科大学卒業後、血液内科医として、日本赤十字社医療センターにて勤務。2005年より三番町ごきげんクリニック院長。著書に『細胞から「毒」が逃げ出す生き方』(講談社)など。(写真:的野弘路、以下同)

 クリニックを訪れたクライアントさんにはまず、血液検査やアレルギー検査などを通じて、自身の「バイオロジカルエイジ(生物学的年齢)」を知っていただきます。バイオロジカルエイジは実年齢とは違い、生活習慣や過ごしてきた環境によって大きく左右されます。それがどのようなレベルにあるかを見極めるため、定期健診などで受ける通常の血液検査では調べないデータも測定しています。

 この検査結果を基に、それぞれのクライアントさんに合ったアンチエイジングプログラムを相談しながら組み立てます。具体的には、食事や運動に関する指導を行ったり、サプリメントや点滴を使ったりして、バイオロジカルエイジを若返らせていきます。私を含め、スタッフ全員がコーチングの資格を持っており、対話を通じてクライアントさんが自発的にプログラムに取り組めるように促しています。

点滴というのは、栄養剤を打ったりするんですか。

澤登:主に3つの点滴療法があります。1つは、水銀など体内に蓄積した有害金属を排出する「キレーション療法」。2つ目は免疫力や身体の抗酸化力を高める「高濃度ビタミン点滴」。3つ目の「ビタミンC大量点滴療法」は、ビタミンCを大量に点滴することで全身状態や栄養状態を上げるもので、ガンの治療の効果を高め、副作用を軽減する効果もあります。

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著者プロフィール

西頭 恒明

西頭 恒明

日経ビジネス副編集長

1989年4月日経BP社入社。「日経イベント」を経て、96年8月「日経ビジネス」編集部に異動。2008年10月日経ビジネス副編集長。2009年1月日経情報ストラテジー編集長。2012年1月より現職。

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