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「ソニーのカリスマ」に仕えるストレスにどう耐える?

河野透・NPO法人森林セラピーソサエティ事務局長に聞く

2013年3月29日(金)

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 河野透という名前を知っていれば、あなたは広告業界のベテランか、あるいは相当筋金入りかつひねくれた「ソニーファン」だ。きっと「タコの赤ちゃん」のCMもご存じだろう。イメージ宣伝一発で、ソニーの店頭シェアを跳ね上げた伝説のコマーシャル、放映されたのは1973年にもかかわらず、現在ですら難しい「他社との比較」という“毒”をさらりと入れている。それを弱冠28歳の時に作ったのが河野氏だ。

 当時はメーカーが主導で広告を作るのが当たり前だった。河野氏はソニー入社から宣伝・広告畑を歩み、あの「ウォークマン」の開発メンバーにもなった(「ウォークマン」は河野さんの命名)。2002年まで担当役員として、ソニーのCIを管掌、グローバル展開によってイメージが拡散していくリスクと戦いつづけた、「ソニー」ブランドのいわば現場責任者だ。その意味では河野氏はリアル「島耕作」かもしれない。「初芝」じゃなくて「ソラー」だけど…。

 かくいう私も、河野氏の名前は、昨年発売された『ソニーのふり見て、我がふり直せ。』で初めて知った。そして、自分が青春時代に乏しい小遣いやバイト代を、ソニーへの憧れにつぎ込んでしまった理由が、彼が一連の広告で作り上げたブランドイメージにあったことを、この歳になって知ったのだった。

ソニーのふり見て、我がふり直せ。ブランドで稼ぐ勘と感』著者の山口誠志氏による、河野透氏へのインタビュー。読みやすいうえに、それなりのソニーファン歴を持つ私が「げっ」と驚く逸話満載。山口氏は「ソニーになりたい、ではなく、ソニーのようなブランドを作りたい人向けに構成した」とのこと。

 この本はそれだけでも価値があったが、より深く気づかされるのは「社長(経営層)が持つブランドへの理解」の力の大きさであり、また、ひとりの勤め人として思いをはせたのは「いい製品、CMを作る会社のトップに仕えるのは、きっと大変だろうなあ…」という、我ながら情けない感慨だった。

(だって考えてみて下さい。あなた、全開バリバリ時代のスティーブ・ジョブズの下で働かされたら何日耐えられますか?)

 ジョブズでさえ憧れたかつてのソニー。河野氏ら社員たちをこきつかって、そのイメージを作り上げたのは、1970年代から「デザインと広告は製品の機能であり、値段に含まれる」と考えていたソニーの経営者、大賀典雄氏だった(1982~95年にソニー社長。その後会長、名誉会長を歴任し2006年から相談役、2011年4月23日没)。

 「ソニー」のロゴ、そしてデザインを確立した彼の製品・広告への情熱や、求めるレベルの高さは『ソニーの…』に詳述されている。そういうハイレベルなお話は書籍に譲り、今回は「カリスマ経営者に仕えるストレスはどんなものだったか、河野さんはどうやって対応してきたのか」「そのノウハウを、現代のストレス解消に応用できないか」を聞いてみたい。(Y)

*   *   *

 河野さんが「社長室で大賀さんに叱責されるたびに、うなだれる振りをして見つめていた」というクルマのオブジェ、無理を言ってお持ちいただきました。ノーズのデザインから推してBMWですね。

(写真:大槻 純一)
河野 透(こうの とおる)
NPO法人森林セラピーソサエティ事務局長、多摩美術大学造形表現学部デザイン科非常勤講師。1968年、多摩美術大学デザイン科卒、ソニー入社。1996~2002年コーポレートADセンター長、1996~2002年ソニーマーケティング常務・広告宣伝本部長。2002~2006年ソニーPCL副社長を勤めた後、ソニーを離れる。現在は、日本の豊かな森林資源を活用し、心身の健康に効果を生み出す、森林セラピーを通して地域の活性化に取り組む。(写真:陶山 勉)

河野:実車のモックアップというより、彼らのデザインビジョンですね。理想としているフォームというんですかね。

 添えられていた言葉が「すべての人に好かれる車は、誰1人熱狂させることができない」でしたか。

河野:モックに添えられていたというより、大賀さんが見つけてきたBMW創業者の言葉らしいですね。BMWには、それがずっと生きているのかな。車のバリエーションなんかを見ても、ほかの会社とちょっと違いますよね。

 昔ほどじゃないですが、超王道のメルセデス・ベンツは選びたくない人向けといいますか、どこかこうひねくれた感じが。

河野:そうですね。きわめて個人的な、パーソナルな興味というか、趣味性を追っかけていますよね。

 ただ最近はアウディのほうが勢いがいいようですけれど、と、だんだん話がずれてしまいますが。

河野:あ、アウディで思い出した。大賀さんはわりとデザイン、うるさいでしょう。

野田岩のうなぎと福寿司のちらしでメンバー招集

 わりと、って(笑)。

河野:だからもちろん、車についてもうるさい。そんな彼はいつも「世界の車のシェイプを最初に発表するのはアウディだ」と言っていましたよ、社長になる前、ずっと昔から。

 へえー。

河野:確かに例えば曲面のシェイプであるとか、今のこのフロントのグリルのちょっと出っ歯みたいなつくりとか、あれなんか最初みんなアウディですよね。

 ああ、アウディ80とか、つるつるしたデザインの先駆けもそうでした。

河野:そうそう。あの意匠なんかはその後ほとんどの車が導入した。だから意外というか、よくまあ見ているなというかね。当時、アウディは日本ではぜんぜん存在感なかったのにね。何にでもうるさいけど、特にデザインにはうるさい人でしたから。

 デザイン以外ではどうだったんですか。

河野:食い物もね。いいか悪いかは別として、いろいろ講釈をたれていましたね(笑)。

 例えば、「ウナギは野田岩」とかね。そういう講釈を、僕らもまだ若いころですが、夜、何か新しいことをやるときにメンバーをピックアップして、ああでもないこうでもないと議論させる席でもやるわけです。なぜかというと、大賀さんはミーティングの際には必ず、飯で釣るわけですよ(笑)。六本木の福寿司のちらしとかね。

 「あそこのウナギ、寿司が取ってあるぞ」と。

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「「ソニーのカリスマ」に仕えるストレスにどう耐える?」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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