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射撃管制用レーダーを「照射してない」とシラを切れるのか?

防衛省技術研究本部 元・射撃管制研究室長の外園博一総務部長に聞く

2013年4月19日(金)

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今年1月30日、中国の艦船が日本の護衛艦に向け「照射した」ことによって、にわかに注目を浴びることとなったキーワード、「射撃管制用レーダー」。その目的は、読んで字のごとく相手に狙いを定め、攻撃を加える態勢を整えること。しかし中国側は、いまだそのレーダーの照射自体を認めていない。テクノロジー勝負の高度な“電子戦”が日々繰り広げられている時代、3キロといわれる至近距離での照射について、“シラ”を切ることはできるのか。防衛省技術研究本部の元・射撃管制研究室長で、現・総務部長の外園博一氏に、射撃管制用レーダーの“正体”について聞いた。

(聞き手は森永輔、酒井康治)

外園博一(ほかぞの・ひろかず)
防衛省技術研究本部総務部長(工学博士・電気工学専攻)。1957年生まれ。80年慶応大学工学部電気工学科卒業、83年同大大学院理工学研究科電気工学専攻修士過程修了、92年同大大学院理工学研究科電気工学博士課程修了。81年4月防衛庁技術研究本部入省、同年8月同本部第3研究所、94年装備局開発計画課、96年同局航空機課誘導武器室等を経て、98年4月技術研究本部第3研究所射撃管制研究室長。その後、技術研究本部第2研究所センシングシステム研究室長、防衛省技術研究本部企画部企画課長、同省経理装備局システム装備課長、同局技術計画官、同省技術研究本部航空装備研究所システム研究部長等を経て、2011年8月現職。

中国の艦船から海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に向けて「射撃管制用レーダー」が照射されたという報道があり、緊張が走りました。中国側の主張は「照射していない」ということですが、その真偽を判断するには、「射撃管制用レーダー」がいかなるものなのか、その“正体”をもう少し詳しく知る必要があると思います。

外園博一部長(以下、外園):それではまず、「レーダー」がどういうものかについて説明しましょう。簡単に言うとレーダーというのは、指向性を持ったアンテナから電波を放射し、その方向にある物体から反射された電波をアンテナで受信することで、その物体までの方位と距離を測定する装置です。「Radio Detection and Ranging」を略して「Radar」と呼んでいます。測定できるのは方位と距離ですが、3次元で見るので高さも測れます。電波は光速で進みますから、行って返ってくる時間に光の速度をかけて2で割れば、目標物までの距離が分かります。方向は機械式の回転するアンテナであればその向きで、電子式のアンテナであれば電波を出した向きによって電気的に分かります。

軍用レーダーで使うのは「光波」と「電波」

いわば電波のキャッチボールみたいなものですね。そうなると、どんな「球」を投げるのか、つまり電波の種類がポイントとなってきます。

外園:ええ、その通りです。我々が軍用として扱うのは電波と光波の2種類です。どちらも電磁波ですが、それぞれ「波長」という波の長さによって分類されます。名前から分かるとおり、波長には長いものから短いものがあり、短い方は例えば赤外線や可視光のような光の領域になります。その電磁波を出す方式と受ける方式が、電波と光波では大きく違います。光の場合は蛍光灯やランプ、あるいはレーザーのような方式で発光させ、基本的に鏡やレンズで入ってくる光を集めます。一方、電波は送信装置を使って放射し、アンテナで受けます。このようにエンジニアリング的に構成が異なるので、我々は光波と電波を大別して考えています。

 そこで波長ですが、長いものは主に通信、そしてラジオ放送やテレビ放送といった用途に使われます。そして比較的波長が短くなってくると、レーダーのような用途にも使われるようになります。さらに電波を軍用に絞って見ていくと、一般的に使われるIEEE(米国電気電子学会)の呼称で、周波数ごとに「L帯(1G~2GHz)」「S帯(2G~4GHz)」「C帯(4G~8GHz)」「X帯(8G~12.5GHz)」「Ku帯(12.5G~18GHz)」「K帯(18G~26.5GHz)」「Ka帯(26.5G~40GHz)」というふうに分類されます。その中で、レーダーは主に「L」から「Ku」辺りの帯域を使用しています。

コメント4件コメント/レビュー

中国のシラを切る対応に、「射撃管制レーダーを照射しているかどうかは軍事専門家であれば、一目瞭然の話で、シラを切るだけ、国際信用を失うことになるだけだ」と、きちんとディベートすべき。それは、「言い返す」という様な低次の話ではなく、中国にこういったことを繰り返させないために、世界世論ひいては、海外に出ている中華民族の方に、中国政府の対応の真実を知らしめる必要があるから。特に中国の国民性は、「喧嘩をして初めて友達になれる」という意識がある。つまり、「喧嘩できる相手であると認める」ところから付き合いが始まるとの事。日本は、変に穏便にという「ムラ」意識がはたらき、それは国際関係において非常に判りにくい姿勢に映る。中国の国民性をよく理解し、その国民性を踏まえた、日本気質的には「そこまで言うか」という程のしっかりとした反論を示してゆく必要がある。救いは、面子を重んじる国は、道理も建前上は重んじるという点もあって、道理的に反論できなければ、アクションしない。いまの中国の行動たらしめているのは、日本が海外&中国にわかりにくい曖昧な対応を取っている結果の現れそのもの。(2013/04/24)

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「射撃管制用レーダーを「照射してない」とシラを切れるのか?」の著者

酒井康治

酒井康治(さかい・こうじ)

日本経済新聞社 電子報道部

にっけいでざいん、日経マルチメディア、デジタルARENA、日経トレンディネットを経て、2013年1月から日経ビジネス副編集長。日本経済や地球の未来のことより、いつも猫のことを考えながら仕事をしている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

中国のシラを切る対応に、「射撃管制レーダーを照射しているかどうかは軍事専門家であれば、一目瞭然の話で、シラを切るだけ、国際信用を失うことになるだけだ」と、きちんとディベートすべき。それは、「言い返す」という様な低次の話ではなく、中国にこういったことを繰り返させないために、世界世論ひいては、海外に出ている中華民族の方に、中国政府の対応の真実を知らしめる必要があるから。特に中国の国民性は、「喧嘩をして初めて友達になれる」という意識がある。つまり、「喧嘩できる相手であると認める」ところから付き合いが始まるとの事。日本は、変に穏便にという「ムラ」意識がはたらき、それは国際関係において非常に判りにくい姿勢に映る。中国の国民性をよく理解し、その国民性を踏まえた、日本気質的には「そこまで言うか」という程のしっかりとした反論を示してゆく必要がある。救いは、面子を重んじる国は、道理も建前上は重んじるという点もあって、道理的に反論できなければ、アクションしない。いまの中国の行動たらしめているのは、日本が海外&中国にわかりにくい曖昧な対応を取っている結果の現れそのもの。(2013/04/24)

 この記事の内容に就いては多言を要しません。非常に分かり易い(「目から鱗」とはこのことか)、且つ俗っぽさが全くないご説明だったので、己の浅い教養レベルを多少なりとも高めることができました。どうも有難うございました。 注記:今回は、技術分野に関する内容で、また記事に於いても政治的な事項に殆ど触れていませんので、小生がライフワークの一環としている“中国叩き”は控えます。(2013/04/20)

興味深い記事でしたが、ほとんどレーダーの解説になってしまいましたね。件のシナ軍艦は、目視可能な距離で砲塔は指向させず主砲管制用射撃指揮レーダーを照射してきました。挑発であると同時にいくらでもしらを切れる余地を残していました。北京は日本相手に「小さな戦争」をしたくてしょうがないのです。安いけんかは買わないことが肝要でしょう。(2013/04/19)

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三品 和広 神戸大学教授