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「機械との競争」に人は完敗している

エリック・ブリニョルフソンMIT教授に聞く【前編】

2013年4月18日(木)

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本でも触れていますが、歴史を振り返ると、ラッダイト運動*のような出来事がありましたね。

*1810年代、英国の紡績・織布業地帯で発生した機械破壊運動。機械の登場による失業を恐れた手工業者・労働者らが起こした

ブリニョルフソン:先にはっきりさせておきますが、我々はラッダイト運動家ではありません。彼らは技術の進化を遅らせることを望んでいました。一方、我々は技術の進化は素晴らしいもので、富をもたらすものだと確信しています。彼らとは意見が違うのです。

我々は「グレートデカップリング」を目にしてきた

 もちろんラッダイト運動家が完全に間違っていたわけではありません。テクノロジーが雇用を破壊するという点では正しかった。1800年代、運動家は職を失うのではないかと心配し、そして実際に職を失った。

 だが、覚えておかねばならないのは、技術は常に雇用を破壊するということです。そして常に雇用を創出する。問題はバランスなんです。

 200年前は、古い仕事が姿を消すのと同じような速さで新しい仕事が生まれました。それはここ最近、すなわち1990年代の終わりくらいまで続いてきた。

 ところが、その後、技術による雇用破壊は雇用創出よりも速く進んでしまった。それがこの10年の現象なんです。かつては生産性の伸びと同じように雇用も伸びてきたのですが、97年頃に雇用が置いていかれるようになった。そう、我々は「グレートデカップリング」を目にしてきたのです。

 「なぜ今まで議論されなかったか」との質問には、もう1つの答えを挙げましょう。私も含めて、たいていの経済学者は「生産性が上がるとすべて(の問題)を解決する」と考えてきました。だからやるべきことは生産性の向上だと思っていた。それは正しかったのです。ただし、97年までは。今や生産性の向上そのものが全員の利益を保証するものではなくなっており、新たな考え方が必要になっています。

「大デカップリング」をもたらしたデジタル技術にはどのような特徴があると考えていますか。

ブリニョルフソン:デジタル技術には3つの側面があります。

 1つは、指数関数的に発展するということ。人類の歴史に登場したどんな技術よりも速く進化します。蒸気機関よりも電気よりも速い。ご存じの「ムーアの法則」では、コンピューターの性能は18カ月で2倍になります。それは指数関数的なスピードです。

 過去10~15年の間に、デジタル技術の能力拡大を我々は目にしてきたはずです。そして人々はそれに追いついていけなくなっている。

 2つ目の側面は、デジタル技術は以前の技術よりも、より多くの人に影響を与えるということです。過去、農業ではいくつもの進化があり、より効率的な耕作を可能にしましたが、それは限られた集団に影響しただけでした。今日、コンピューターの発展は、ほとんどの働き手に影響を与えます。米国では全労働者の業務のうち約65%が(コンピューターを使った)情報処理に関わるものです。事務職、マネジャー、あるいは学校の先生、ジャーナリストやライターなど、幅広い仕事がそれに含まれる。過去よりも多くの人が影響を受けるということです。

コメント21件コメント/レビュー

アメリカだから、そう思うのかも。日本は違うと思いますよ。その技術開発にどれだけの人が、情熱と能力を注ぎ、責任感でもって達成してきたことか。技術で日本に負けたアメリカの、グチに聞こえますが。(2013/04/19)

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「「機械との競争」に人は完敗している」の著者

細田 孝宏

細田 孝宏(ほそだ・たかひろ)

日経ビジネス 副編集長

1995年早稲田大学卒業。日経BPに入社し、日経ビジネス編集に配属される。日経アーキテクチュア編集、日経ビジネス・ニューヨーク支局長などを経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

アメリカだから、そう思うのかも。日本は違うと思いますよ。その技術開発にどれだけの人が、情熱と能力を注ぎ、責任感でもって達成してきたことか。技術で日本に負けたアメリカの、グチに聞こえますが。(2013/04/19)

これまでの社会構造は、「努力しないものを経済的に罰する」、もしくは「その他大勢と同じ価値しか提供できないものを経済的に罰する」ようにできています。これは衣食住に安定を求めることさえ厳しい環境から抜け出すにあたって必要なことだったのだろうと思います。怠け者を養っている余裕はないということですね。この構造の欠点は、社会全体として生み出せる経済的価値がどんなに必要以上になろうとも、経済的価値を生み出す側に回るために他者と競争することをやめられないし、またはどれだけ少数の人間だけで必要な価値が生み出せるようになろうとも、価値を生み出す側に加われなかった人々に不幸をもたらしてしまうということです。ブリニュルフソン教授の提唱しているように、これから急速にデジタル技術が人間の雇用を奪っていくはずです。しかし過去の産業革命とは異なり、その技術の進化のスピードが圧倒的に速いため、人間の進化のスピードが追いつかない可能性があります。そろそろ足るを知って、技術に労働を任せ、人間は楽を享受する世の中を作るための準備を始めなければいけないのかもしれません。(2013/04/18)

テクノロジーの発展で少なくなったお仕事(工場周りとか)、増えたお仕事(IT関係、またはそれを駆使した事務職など)に対して、教育制度が追いつかなく、見合う人材を輩出できていないと考えれば納得がいきます。みながIT技術者になれるわけもないので。うーん。サービス職などに雇用が見出せればいいのですが。私たちは大変な時代に生きているのかもしれませんね。(2013/04/18)

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