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なぜイチゴジャムはあるのにバナナジャムはないのか

丸和油脂・伴野将元取締役営業副本部長に聞く

2013年5月23日(木)

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 効率化のため、流通業の販売現場で取扱商品の集約化が一段と進んでいる。食品スーパーやコンビニの中には、プライベートブランド(PB)商品が売り場をほぼ占拠し、大手メーカーの定番商品ですら扱わない店まで登場(「『カルビー ポテトチップス』のないコンビニ」参照)。どこに買い物に行っても代り映えしない品揃えに飽きてきた消費者も少なくないに違いない。

 そんな中、あえて多品種戦略を貫くマーガリン・スプレッドメーカーが丸和油脂だ。“パンに塗る物業界”でも多様性は失われており、最近はイチゴジャムやチョコクリーム程度しか見当たらない店も増えている。そんな中「あずきミルククリーム」「黒豆ココアクリーム」「ガーリック&マーガリン」など挑戦的な新商品を開発し市場に投入し続ける同社。伴野将元取締役営業副本部長に話を聞いた。

(聞き手は鈴木 信行)

まずは会社紹介からお願いしたい。

伴野:大正12年(1923年)創業の食品会社だ。当時、人造バターと呼ばれていたマーガリンの工場を今も本社を置く東京都品川区で操業し出発した。マーガリンメーカーとしては草分け的存在と言われている。

そんなに古くからマーガリンは日本の食卓に浸透していたのか。

伴野:今のように広く大衆に普及していたわけではなく、当初は富裕層など一部の人が対象だったらしい。その後、菓子会社やパン店向けの業務用マーガリンを中心に事業を拡大。現在は、東京本社のほか埼玉県春日部市、栃木県那須塩原市、滋賀県東近江市などに製造拠点を構え、マーガリンやスプレッドのほかマヨネーズ類、ドレッシング類の製造販売も手掛けている。従業員は340人ほどだ。

長年の超個人的疑問「なぜバナナクリームがない?」

それでは取材趣旨を説明させてほしい。私自身、朝食は長年パン主体で、自ずとジャムやスプレッド売り場にはよく足を運ぶのだが、店に行く度にかねて不思議に思うことがあった。「なぜイチゴジャムはあるのにバナナジャム、バナナクリームはないのか」という疑問だ。地域にもよるかもしれないが、かつて学校給食では、バナナクリームはイチゴジャム、ピーナッツ、マーガリンと並ぶ“パンに塗る物ローテーション”の一角だったはずだ。

伴野 将元(ばんの・のぶゆき)
1987年4月入社。2006年4月営業本部第一営業部部長。2010年7月営業本部執行役員東日本営業部統括。2012年7月営業本部取締役営業副本部長。座右の銘「今やらずしていつやる」。趣味はウォーキング、草野球、ゴルフ(撮影:清水盟貴)

※伴野取締役と共に取材協力してくれた方
井手本 正也氏
1984年4月入社。2003年4月生産本部那須工場工場長。2008年7月生産本部春日部工場工場長。2010年4月生産本部開発部部長。開発部長方針は市場に存在しない商品開発。趣味は家族旅行、散歩、読書

越路 文彦氏
1994年4月入社。2013年4月生産本部那須工場工場長。工場長方針はお客様第一、安心安全な商品作り。趣味は釣り、バイク

伴野:それは間違いない。当社は給食用マーガリン・スプレッドも手掛けているが、確かにバナナクリームも供給していた。

当時の給食の時間を思い出すと「マーガリンよりバナナクリームが楽しみ」と言う児童は結構いた記憶がある。自分もその1人で、バナナクリームは「社会人になったら大人買いしたいモノ」の1つだった。ところが大人になり買い物に行くとバナナクリームがなかなか見つからない。そんな時、出合ったのが、御社のスプレッドブランド「デキシーシリーズ」のバナナクリームだった。ある時期からカルディコーヒーファームに行けば高確率で購入できる事実を知り、以来、カルディに行ってはまとめ買いしてきた。

伴野:それは大変光栄だ。確かにバナナはレアかもしれない。

そこが不思議で仕方がない。かつては給食用にまでなっていたメジャーな国民的スプレッド「バナナクリーム」をなぜ日本の食品メーカーはどんどん作らないのか。そんな中、なぜ御社だけがバナナクリームを積極的に製造しているのか。その辺りを詳しく教えていただきたい。

伴野:………お話は分かった。バナナクリームの話はとりあえず置いておいて、まず当社が、個性的なスプレッドを手掛ける多品種メーカーであるのは事実だ。

カタログを見ても「あずきミルククリーム」「黒豆ココアクリーム」「じゃりじゃりとした新食感キャラメルクリーム」と変わった商品が並んでいる。

伴野:そうした商品構成は、当社の歴史と密接に関係している。

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「なぜイチゴジャムはあるのにバナナジャムはないのか」の著者

鈴木 信行

鈴木 信行(すずき・のぶゆき)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日本経済新聞産業部、日経エンタテインメント、日経ベンチャーを経て2011年1月から日経ビジネス副編集長。中小企業経営、製造業全般、事業承継、相続税制度、資産運用などが守備範囲。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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