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「事実上、日銀の独立性は先進国で一番低い」

異次元緩和と「日銀製バブル」の危うさ

2013年6月5日(水)

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 日本銀行の黒田東彦総裁は4月4日の金融政策決定会合において、従来とは「次元の違う金融緩和」を発表した。大きく円安に振れたことで株価なども顕著に上昇。従来は専門家の領域と見られていた金融政策が、これほど注目されたのは史上初めてのことだろう。

 安倍首相の打ち出したいわゆるアベノミクスの評価も含めて、これからの日本経済は順調に上昇軌道に乗っていくのか、失速するとすればリスクはどこにあるのか。実力派エコノミストの河野龍太郎氏と屈指の日銀ウォッチャー、加藤出氏という、どちらかといえば黒田日銀に懐疑的な気鋭の論客に、とことん語り合ってもらった。(聞き手は飯村かおり)

黒田総裁は、2%インフレ目標の2年程度での達成を目指し、日銀による長期国債の購入額を大幅に増加しました。こうした「異次元緩和」について、どのように評価しますか。

加藤:4月4日の日銀の「異次元緩和策」の基本的なコンセプトは、円安バブル、株式バブル、不動産バブルを起こして、国民のマインドにユーフォリア(酔狂)を発生させ、企業が値上げしても消費者はそれについていくという状況を生み出すことで、2年後の2%インフレを目指すということだと思います。

加藤出氏(写真:大槻純一、以下同)

 日銀幹部も明確に言及していますが、今の日本のフィリップス曲線(図)では、ものすごい成長が継続しない限り、インフレが早期に2%に到達することは困難です。フィリップス曲線を上方にシフトさせるには、国民、企業のマインドをジャンプさせる必要があります。そのために政府が市中で発行する長期国債の4分の3を日銀が買い取り、金融機関や投資家を国債市場から追い出して、彼らの資金運用が外国債券、株、不動産融資などにシフトすることを日銀は期待しています。

 もし日銀が外債購入オペというような「実弾」を打ちながら円安誘導を行う政策を採用したら、日本は国際社会から激しい批判を受けたでしょう。しかし、今回の政策は幸い日本国内のデフレ対策、景気浮揚策と解釈されたので、今のところは許容されています。ただし、実際はこの政策は、急激な円安を必要としています。海外からの批判を避けるには、説得力のある成長戦略を描いていく必要があります。

図:(短期の)フィッリプス曲線
(出所)池尾和人著『連続講義・デフレと経済政策――アベノミクスの経済分析』日経BP社、7月刊行予定)

「異次元緩和」で大荒れした国債利回り

 「異次元緩和策」によって円安・株高は起きましたが、4月前半、5月前半に国債の利回りは大荒れとなりました。日銀が従来の日銀券ルールを事実上破棄して、強烈な長期国債の購入を始めてから、債券市場では取引の流動性が大幅に低下しました。

 商いが薄い中で誰かがまとまった金額の国債を売ろうとすると、成り行き売り状態になりやすく、ボラティリティが激しくなります。金融機関のリスク管理上、ボラティリティが増大すると国債の安全度が低下することになるので、金利観としてはそろそろ購入してもいいはず、という水準に国債の利回りが上昇しても手が出しにくい状況が一時生まれました。

 アメリカの景気指標の改善、米連邦準備理事会(FRB)のQE3(注1)縮小観測、米長期金利上昇、それに伴う円安に引っ張られ、日本の10年金利が一瞬1%台に乗ったら、5月23日に日経平均が暴落しました。世界中の株価指数の中で日本だけが異様に突出して大きな下げ幅となりました。「日銀製バブル」の危うさが露呈した形となりました。

(注1)QE3:FRBが打ち出した金融緩和第3弾。景気刺激やインフレ率低下の阻止などを目的にバーナンキ議長が取った非伝統的な金融緩和策で、QE2、ツイストオペに続いて実施された。

 とはいえ、日銀が国債買いオペを柔軟に実施し始めたこと、株価急落で金利上昇観測が和らいだことから国債のボラティリティもいったん鎮静化してきています。FRBのQE3縮小開始はすぐではないでしょう。

 しかし、先行き、もしベン・バーナンキFRB議長(注2)が市場の期待のコントロールに失敗し、アメリカの長期金利が急上昇するようなことがあると、日本国債の金利はまた暴れ始める恐れがあります。

(注2)ベン・バーナンキ:アラン・グリーンスパンの後任として2006年2月に米連邦準備理事会議長に就任。大恐慌の研究者でもある。リーマンショック後の世界金融危機を大胆な金融緩和で切り抜けた。

コメント18件コメント/レビュー

反リフレ派に共通しているのは、したり顔でいまの金融政策を批判しながら、では日本経済の復活のためにどうすれば良いかと言う対案が全く無いことである。すなわち、単なる評論記事であって、何の価値もない。それなら昔懐かしい、近所のおばちゃんの井戸端会議のほうが未だマシである。最近、日経はこの反リフレ派の対談や記事(例の藻谷某など)が目につくが、どういう編集方針なのか、編集長の見識を疑う。日本有数の経済誌として矜持を示すなら、黒田総裁や、あるいは竹中平蔵氏の意見もちゃんと掲載すべき。比較すれば、リフレ派の主張は定量的且つ論理的であると分かるはず。猛省を促したい。(2013/06/05)

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「「事実上、日銀の独立性は先進国で一番低い」」の著者

河野 龍太郎

河野 龍太郎(こうの・りゅうたろう)

BNPパリバ証券チーフエコノミスト

1964年生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。87年住友銀行(現三井住友銀行)入行。大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)エコノミスト、第一生命経済研究所などを経て00年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

加藤 出

加藤 出(かとう・いずる)

東短リサーチ社長

1965年生まれ。88年4月東京短資入社。2013年より現職。国内外の短期金融市場の現場の視線から金融政策を分析している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

反リフレ派に共通しているのは、したり顔でいまの金融政策を批判しながら、では日本経済の復活のためにどうすれば良いかと言う対案が全く無いことである。すなわち、単なる評論記事であって、何の価値もない。それなら昔懐かしい、近所のおばちゃんの井戸端会議のほうが未だマシである。最近、日経はこの反リフレ派の対談や記事(例の藻谷某など)が目につくが、どういう編集方針なのか、編集長の見識を疑う。日本有数の経済誌として矜持を示すなら、黒田総裁や、あるいは竹中平蔵氏の意見もちゃんと掲載すべき。比較すれば、リフレ派の主張は定量的且つ論理的であると分かるはず。猛省を促したい。(2013/06/05)

プラシーボ効果が期待される程我々は「馬鹿にされている」わけです。日銀の緩和姿勢が悪かったとか、政治が悪いとか他人のせいにせず、自分で何かしたほうがよっぽど将来のためになります。(2013/06/05)

日本の金融政策が周回遅れという指摘は正しいと思われ、安倍総理も第1次安倍内閣のとき日銀がもう少し金融緩和継続していたろ良かったという反省から今回の'異次元’金融緩和政策に踏み切った。適時適切な金融緩和政策がなされてきていれば10年を超える停滞にならなかったと思われる。低迷脱出期待が高まっているとき、建設的評価を期待したい。’逐次投入’により'異次元’化せざるを得なかった分ご指摘のような困難さが生じる可能性もあると思われる。が、それは事前検討対処で解決できると思われる。元々デフレ脱却は’3本の矢’の総合力発揮が必要と位置づけている。黒田総裁もそれを理解したうえの政策でありこの関連の指摘は抜けている。(2013/06/05)

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