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「ホテル・カリフォルニア」的出口なき政策

世界的に「中央銀行バブル」が始まっている

2013年6月6日(木)

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 アメリカのロックバンド、イーグルスのヒット曲「ホテル・カリフォルニア」。その歌詞の中に、「好きなときにチェックアウトできるが、決して立ち去ることはできない」といった意味のフレーズがある。「ホテル・カリフォルニア」的金融政策――。アメリカでは出口政策の難しさに対する不安の声がFRB内部からも出ているという。

 2%のインフレ率が達成されたとき長期金利はどこまで上がるのか、その際、日本の金融機関はどのような影響を受けるのか。各国の中央銀行関係者は世界的な緩和競争とも言える現状をどう見ているのか。そして任期が見えているバーナンキFRB議長は「勝ち逃げ」なのか――。FRBなど各国の中央銀行関係者と頻繁に情報交換している河野龍太郎氏と加藤出氏とのお二人に、“大本営発表”からは見えない、金融緩和策のもう一つの顔について語ってもらった。(聞き手は飯村かおり)

前回から読む)

金融緩和政策の副作用についてお聞きしたいと思います。

河野:バブルは既に始まっているのではありませんか?

加藤:そうですね。

河野:私は昨年末からアセット・バブルは始まっていると言ってきました。そもそも、もっと以前から日本では、相当大きな金融緩和の弊害が出てきていると私は思っている。

河野龍太郎氏(写真:大槻純一、以下同)

 どういうことかというと、本来であれば金融機関の役割は、預金者の預金を成長分野に振り向け、有望な企業に資金を貸し出すことで収益を上げるというものです。ところが、中央銀行が非常に低い資本コストを可能にしていて、さらに国債購入政策で国債価格をサポートしている環境下では、金融機関はわざわざリスクを取って貸出先や成長分野を見いだすよりも、収益性はそれほど高くはないが、安全で価格もサポートされている国債を買った方がいい。このようなメカニズムが働いていて、おそらく一種のファイナンシャル・リプレッション(金融抑圧)(注1)が既に始まっていたのだろうと思います。

(注1)ファイナンシャル・リプレッション(金融抑圧):政府の実質債務と利払い負担を減らすため、公的関与を強め、長期金利を低く抑えるという政策。

 黒田総裁は「基本的に財政規律は国会と政府の責任である」と発言している。これは正しいですが、本来、金融市場に任せていれば、追加的に国債を発行するとき、市場が警告を発するという形で、長期金利の上昇が始まり、政治的な財政膨張圧力への歯止めになる。

 しかし、中央銀行が国債を大量に買うことによって、金利上昇をずっと回避してきた。だからこそ、これほど大きく公的債務が膨らんでいる。この問題は既に起こり、ずっと続いていると私は思います。

長期金利が上昇したときのシミュレーション

河野:中央銀行による大量の国債保有は、今後より大きな問題になってくる可能性があります。特に出口のときは、政治的プレッシャーというよりは、目の前の危機に対応せざるを得ないから、中央銀行は物価安定を犠牲にせざるを得ない、という状況に追い込まれるのではないでしょうか。

 最近、シミュレーションをしたのですが、2%のインフレ率が達成されると、日本の均衡実質金利は1%程度なので、自然体でいけば、長期金利は、少なくとも3%ぐらいにはなる。そこにリスクプレミアムが乗っかってくれば、4%か5%ぐらいという状況になるかもしれない。

 このとき3%ぐらいの長期金利であれば、大手金融機関、第1地銀、第2地銀は対応可能です。4%になると、第1地銀、第2地銀のような地域金融機関の一部で資本が不足し、金融システムの動揺が始まる可能性があります。長期金利が5%になってくると、一部のメガバンクも資本不足に直面し、金融システム危機は避けられないと思います。

 ただ、中小企業金融機関等と呼ばれる一部の金融機関については、大量の長期国債を保有しているため、長期金利が3%を超えてくると、経営問題が起きてくる。そのこと自体が金融システムを動揺させるわけではありませんが、政治力を持っているので、政府がそこに財政的なサポートをする可能性がある。

 そうしたゾンビ金融機関を延命させるという議論になると、金融市場では、いくらお金をつぎ込んでも足りないという話になり、際限のない財政資金の投入を懸念し、長期金利が上昇、金融システム不安の引き金を引く可能性があります。そうすると、日本銀行の一義的な目的は物価安定ですが、金融システムの安定も同様に目的でありますから、目の前に金融システム危機があるなら、長期金利の上昇を抑えるためにまたまた国債を買わざるを得ない、物価安定は当然、犠牲にせざるを得ないということになってしまいます。

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「「ホテル・カリフォルニア」的出口なき政策」の著者

河野 龍太郎

河野 龍太郎(こうの・りゅうたろう)

BNPパリバ証券チーフエコノミスト

1964年生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。87年住友銀行(現三井住友銀行)入行。大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)エコノミスト、第一生命経済研究所などを経て00年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

加藤 出

加藤 出(かとう・いずる)

東短リサーチ社長

1965年生まれ。88年4月東京短資入社。2013年より現職。国内外の短期金融市場の現場の視線から金融政策を分析している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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