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なぜ私たちは中央銀行制度をつくったのか

マネタイゼーションの誘惑をどう断ち切るか

2013年6月10日(月)

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 なぜ、中央銀行制度が作られたのか。第1次大戦後の日本、第2次大戦後のアメリカを見ても分かるように、民主主義制度のもとでは、中央銀行と政府とのせめぎ合いが起きるのは必然とも言える。今回は、歴史を振り返って中央銀行の独立性がなぜ必要なのかを考えるとともに、日本がこれまで行ってきたのは「為替レート・ターゲット的金融政策」であったこと、また、なぜそうならざるを得なかったのかについて話を進める。(聞き手は飯村かおり)

前回から読む)

前回まで、日銀の異次元緩和、FRBのQE3と、各国の緩和政策の“出口の見えない危うさ”について語っていただきました。この金融緩和はもうやめられないのでしょうか。

河野龍太郎氏(写真:大槻純一、以下同)

河野:やめられません。マネタイゼーションは社会的に出口が難しい。金融政策だけでは効果がないかもしれませんが、中央銀行ファイナンスによる積極財政、つまりマネタイゼーションには一時的にせよ効果があります。それは、国債発行によって政府が支出を拡大するからです。短期的なコストは金利が上がることですが、中央銀行が国債を購入することで金利を抑えているので、短期的にはコストがないように見えてしまう。

 これをやめようとすると景気が悪くなるので、やめられない。それで追加的に続けると、そのときの短期的なコストはないように見えるので、結局、公的債務が膨張を続けるということが、どこの国でも起こっているのです。だから、中央銀行制度(注1)そのものの根幹にかかわる議論になってきているのだと思います。

(注1)中央銀行制度:政府から独立した機関である中央銀行に金融政策を委ねるシステム。金融政策にはインフレ的な運営を求める政治的圧力がかかりやすいため、中央銀行の独立性を確保し、その中立的・専門的な判断に金融政策運営を任せることが適当との考え方が背景にある。

マネタイゼーションの誘惑

河野:なぜ私たちが19世紀から中央銀行制度をつくり始めたか、その理由を考えてみましょう。あえて中央銀行を政府とは別の組織にした理由は、マネタイゼーションを避けるためです。歴史的にもジョン・ロー(注2)の時代からいろいろ実例がありますが、結局、政府は公的債務の貨幣化をしたいわけです。有権者に増税をお願いするとか、歳出削減をお願いするというのは大変なので、マネタイゼーションの誘惑をなかなか断ち切れない。

(注2)ジョン・ロー:1671~1729。スコットランド出身の実業家、フランスの大蔵大臣。政府債務解消のため、王立銀行を設立して総裁に就任し、銀行券を発行してミシシッピー会社に増資、同社がフランス国債を購入するスキームを作り上げた。しかし、ミシシッピー会社に実態がないことが発覚すると株価は暴落、通貨に対する信認も失われてハイパーインフレが発生し、フランスの財政は最終的に破綻した。

 それを断ち切るために、私たちは中央銀行制度をつくったわけです。この対談の1回目で、一連の金融政策に関する動きから、加藤さんは世界の中央銀行の中で日銀の独立性が一番低いと言われました。確かに新興国並みの経済政策になってきているというのは同感です。ただ、程度の差はあれ、ほかの先進国もマネタイゼーションに向かっているとするなら、各国とも同じような問題に直面している。

 つまり、有権者に負担増を頼めないから、政治家は公的債務を増やしていく。公的債務が増えることは民主主義の病理だったわけです。さらに各国が潜在成長率の低下に直面し、公的債務がますます大きく膨らんでいる。それをどうコントロールするかですが、結局、マネタイゼーションの方向に向かっているのが実情です。中央銀行をつくったときの制度の根幹の理念が骨抜きになってきているのです。

 そもそもマネタイゼーションを避ける、通貨価値の崩壊を避けるためにつくった中央銀行制度それ自体が、現代民主主義の下で存続のリスクに直面している。最後はそのツケが国民に回ってくる。そういうことではないかと思います。

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「なぜ私たちは中央銀行制度をつくったのか」の著者

河野 龍太郎

河野 龍太郎(こうの・りゅうたろう)

BNPパリバ証券チーフエコノミスト

1964年生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。87年住友銀行(現三井住友銀行)入行。大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)エコノミスト、第一生命経済研究所などを経て00年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

加藤 出

加藤 出(かとう・いずる)

東短リサーチ社長

1965年生まれ。88年4月東京短資入社。2013年より現職。国内外の短期金融市場の現場の視線から金融政策を分析している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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