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「日ロエネルギー同盟」が生む4つのメリット

天然ガスと中国ヘッジの一挙両得

2013年6月19日(水)

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ロシアが資源開発プロジェクト「サハリン3」で生産する天然ガスをパイプライン経由で輸入し、首都圏まで運ぶ。これが震災後の日本のエネルギー問題と、シェール革命後のロシアの経済不振を救う大きな一手になる。さらに、軍事的に台頭する中国への牽制効果を発揮する――。そんな「日露エネルギー同盟」を提唱する藤和彦・世界平和研究所主任研究員に聞いた。

(聞き手は森 永輔)

「日ロエネルギー同盟」を提唱されています。これは、どのような構想ですか。

:ロシアがサハリンのガス田、「サハリン3」で生産する天然ガスを、日本がパイプラインを通じて輸入する、というものです。これによって4つのメリットが生まれます。

藤 和彦(ふじ・かずひこ)
世界平和研究所 主任研究員
1984年、早稲田大学法学部卒。経済産業省に入省。産業金融・通商政策・エネルギー・中小企業分野などに携わった後、2003年から内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンスを担当)。2011年より現職。(撮影:大槻純一、以下同)

 1つは日本のメリット――天然ガスを従来よりも低価格、かつ安定的に入手できるようになります。2つめはロシアのメリット――天然ガスの輸出を拡大することで経済を成長させることができます。3つめは、両国共通のメリット――中国の軍事的台頭をヘッジできることです。最後は、ロシアを起点とするエネルギー供給網が整備されることで、日本と中国、韓国との関係が深まり、東アジア地域全体の安定を高められることです。

たくさん、ありますね。日本のメリットについて詳しい説明をお願いします。

:東日本大震災後、ほとんどの原子力発電所が停止しています。このため総発電量に占める火力発電のウエイトが高まりました。2010年度には59.3%だったものが、2011年度には79.1%になっています 。これに伴って、火力発電のエネルギー源にする天然ガスの輸入量が増え、貿易赤字の原因になっています。2012年度の天然ガス輸入額は過去最大の6兆2000億円に達しました。購入数量も過去最大でした。

 アベノミクスが始まり円安が進むにつれ、この赤字はさらに拡大する懸念があります。昨秋に1ドル=70円台後半だった為替レートは、この5月には101円になりました。日露エネルギー同盟は、こうした事態の解消につながります。

 日本は四方を海に囲まれていることから、天然ガスのほとんどを液化した状態で輸入してきました。液化にはコストがかかる。また、産出国との間で、原油価格連動方式の長期契約を結んでいるため、世界で最も高い価格で天然ガスを購入しています。原油価格連動方式では、天然ガスの輸入価格が原油の価格に応じて決まります。シェール革命によって天然ガスのスポット価格が下がっているにもかかわらず、日本はその恩恵を受けることができずにいるのです。

パイプラインは安定供給と価格低下を生む

 パイプラインを使用することで、液化にかかるコストをなくすことができます。4000キロを分岐点として、それより距離が短ければ、液化して運ぶよりもパイプラインを利用した方がコストが低いと言われています。

パイプラインを利用することが「日露エネルギー同盟」の柱の1つになるわけですね。

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「「日ロエネルギー同盟」が生む4つのメリット」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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