
お2人はずいぶん以前からのお知り合いなのですか。
とり・みき(以下、とり):いや、もちろん作品は知っていて、マンガ関連のパーティとかで、ちらちらお会いして、挨拶したことはあったんだけど、ちゃんとお話をしたのは、去年の夏に「ダイナマイト関西VSギャグ漫画家大喜利バトル!!」でご一緒したころからですね。
ヤマザキマリ(以下、マリ):マンガ家のおおひなたごうさんが、ギャグマンガ家の大喜利というのをずっとやっていて、去年の夏に、そのギャグマンガ家と吉本の芸人さんとの大喜利合戦みたいなものを企画したんですよ。そこに結構、有名どころのギャグマンガ家が出られて。
とり:みうらじゅんさん、中川いさみさん、和田ラヂヲさん、上野顕太郎さんとか。
マリ:私はテレビも見ないし、お笑いも見ないから、ダイナマイト関西って何よ? そもそも大喜利って何よ? って感じだったんですけど。
とり:大喜利、やったことなかったんですか。
マリ:ないですよ。
とり:まあ、普通の人はないと思うけど。

マンガ家。1967年東京都出身。1981年、ヨーロッパの一人旅で知り合ったイタリア人の陶芸家に招聘され、1984年に単身でイタリアへ。フィレンツェの美術学校で油絵の勉強を始める。1997年より漫画家として活動。エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカを経て、現在は北イタリア・パドヴァ市在住。2010年、古代ローマ人浴場技術者が主人公の『テルマエ・ロマエ』で2010年度漫画大賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。最新刊は『スティーブ・ジョブズ』(講談社)。公式ホームページはこちら。
マリ:私はほかの女性作家3人と舞台に上がったんですが、そこに椿鬼奴とかがいて。
とり:プロの芸人さん相手に。
マリ:でも私は要領もよくわからないし、終わったらもうへろへろで、その後に「じゃあ、みなさん、打ち上げに行きましょう。行かれない人は手を挙げて」って、「行かれない」に手を上げたのが、私だけだった。
とり:マリ先生は楽しい打ち上げに来なかったんですよ。
マリ:締め切りがあって、行かれなかったの、私だけ。それに未練がずっとあって。

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春マンガ賞を受賞。劇場版アニメ「WXIII 機動警察パトレイバー」では脚本も担当。オジギビトと名づけた工事看板に関する著作や吹替に関するコラムも執筆(「吹替の帝王」サイトにて)。山下達郎オールタイムベストCD「OPUS」ではジャケットイラストを担当した。
とり:それが8月だったんですけど、その後、9月になって僕が、シチリアで開かれる日本のマンガフェスティバルに、ゲストで呼ばれることになったんですよ。それも最初は、吾妻ひでおさんが候補に挙がっていたそうなんですけれども、吾妻さんは、ご承知のようにアル中の治療中(秋にそのことを描いた新刊が出る予定)で、外国に出て行くのはNGということで。……それで、吾妻さんの代わりというと、たいてい僕のところに来る(笑)。
一同:「「なるほど」」
とり:吾妻さんが出られない企画とか、取材旅行中(笑)で描けない原稿とかは、みんな僕に来る、ということになっていて。
マリ:それで、とり先生から「シチリアだったら、どこを見たらいいですかね」という相談を受けたんですね、ツイッター経由で。
とり:そう、イタリアのことならヤマザキさんに聞けばまちがいない、と思って。
マリ:シチリアは私の第二の故郷、みたいな思い入れが私はすごくありまして。17歳でフィレンツェのアカデミア美術学院に留学したときから、一番仲のいい家族はシチリアの家族だったし、その後も何だかんだで非常に縁があって、今までに8回ぐらいは行っていますね。ナポリを見て死ね、じゃなくて、シチリアを見ないで死ぬな、って周りには言いまくっている。
とり:シチリアって、ギリシャ時代の古代遺跡とかがけっこう残っていたりするんですよね。ああいうのを見ていると、時間の観念がちょっとおかしくなる。

「バンドデシネ」(BD「ベーデー」)は「バンデシネ」と省略しないほうがよいかと思います。(2013/08/29)