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パリ出店は、日本料理の生き残りをかけた挑戦です

銀座 小十の奥田 透氏に聞く

  • 森田 聡子

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2013年8月9日(金)

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 富士山が世界文化遺産に登録されたのに続き、和食も世界無形文化遺産に登録される可能性があるという。喧伝される海外での和食ブームも背中を押す。歓迎ムードが盛り上がる中、「日本料理ひいては日本文化全体が、危機的状況にある」と警鐘を鳴らすのが、奥田透さんだ。銀座 小十の開店から10年を迎え、来月フランスのパリ8区に海外初出店を果たす奥田さんに、内外の日本料理界の現状や、パリ出店にいたる思いを伺った。

(聞き手は森田聡子)

海外で日本料理が人気です。国内では農林水産省を窓口に日本の食文化を世界無形文化遺産に登録しようという動きが加速し、年内にも登録される可能性があります。「和食ブーム」が叫ばれる中、奥田さんは逆に、日本料理の先行きを危惧していらっしゃるとか。

奥田:ええ、事態はかなり深刻だと考えています。

奥田 透(おくだ・とおる)氏 銀座 小十店主
1969年、静岡県生まれ。静岡の割烹旅館「喜久屋」、京都の「鮎の宿つたや」、徳島の料亭「青柳」などでの修業を経て、99年、静岡に「花見小路」を開く。2003年に「銀座 小十」で東京進出。同店はグルメ情報誌『ミシュランガイド東京』では創刊以来、三ツ星を守り続けている。著書に『東京でいちばん小さな三つ星料理店』(ポプラ社)など。(写真:後藤麻由香)

 一つ目は、料理人不足です。今、料理学校で日本料理を専攻する学生は1割程度しかいません。日本料理よりもイメージのいいフレンチやイタリアン、パティシエに人気が集中しているんです。現実問題、日本料理を修業して故郷に帰っても、地方は景気がよくないですから、客単価が5000円を超えるような店には、なかなかお客さんが来てくれません。このままだと、次代を担う料理人が出てこなくなります。

フレンチやイタリアンの世界では、近年、若手シェフの新店が続々出てきているのに、意外ですね。

奥田:そうなんです。

 二つ目は、食べる人も減ってきていること。今は畳の要らない時代です。洋風のダイニングッキッチンで、朝はパンとコーヒーで、夜も中華や洋食を食べる家庭が多い。料理するにも、和食は手間がかかります。ふろふき大根一つ作るのだって、大根の皮を剥いて面取りして30分下茹でして……と。それなら簡単に作れるラーメンやパスタのほうがいいや、ということになりますよね。私だってそう思うことがあります。外食するにしても、今の日本では、値段も敷居も一番高いのが日本料理店なんです。ファストフードとコンビニで育った平成生まれが35歳の働き盛りを迎える10年後くらいには、日本人が和食を必要としない時代がやって来るかもしれません。

確かに、今の若い世代は日本料理をあまり食べないというデータもあります。

奥田:そして三つ目は、上質な食材が確保できなくなっていること。例えばアマダイとか、ちょっといい魚をそろえるのもひと苦労です。要因はいくつかあって、まずはバブル期の乱獲が挙げられます。地球温暖化の影響も大きいですね。特にここ5年ほど、近海魚の漁場が北上しています。今や、中心はロシアですよ。加えて、東日本大震災の後は常磐沖の魚がなかなか出てこなくなりました。こういう状況が続くと、日本料理が作れなくなります。

 重要なのは、これが日本料理だけでなく日本文化の根幹に関わる問題だということです。

日本文化? どういう意味でしょうか?

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