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「クールジャパン=アニメ絵」という(ちょっと切ない)現実

『無能の人』『魁!!クロマティ高校』は海外でウケるか?

2013年9月3日(火)

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(前回から読む

前回の最後にお2人は、日本政府の「クールジャパン」について、それこそクールな態度でいらっしゃいましたが、実のところはどうなのでしょうか。

とり・みき
熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春マンガ賞を受賞。劇場版アニメ「WXIII 機動警察パトレイバー」では脚本も担当。オジギビトと名づけた工事看板に関する著作や吹替に関するコラムも執筆(「吹替の帝王」サイトにて)。山下達郎オールタイムベストCD「OPUS」ではジャケットイラストを担当した。(写真:大槻純一、以下同)

とり:一時は日本のマンガは、アメリカの市場では、過剰なくらいイケイケだったんですが、前回にお話しした通り、アメリカでは日本のマンガに興味を持つ層は、まだまだ限られているんです。そうした層の求めるマンガと、「日本で売れているから」と日本側が押すマンガとのギャップもあったりして、ちょっと需要と供給のバランスが崩れていて……。

 それで今では、日本の出版社がアメリカに設置したマンガ出版の窓口とかも、閉められてきているんですよね。

マリ:「ジャパニメーション」とか「クールジャパン」とか、お上は一生懸命持ち上げていたけど、マンガ家もアニメーターも冷めていましたよね。

とり:何を言っているんだ、あいつらは、と。だって、現場にはお金が全然回ってこないし。

マリ:そこが問題なんですよ。

とり:そもそも、何で日本のアニメやマンガが、外国のマニアに面白がられたかというと、最初は作りが超絶にドメスティックだったからという側面も大きい。

 ハリウッド映画のように、世界マーケットをリサーチして作る、みたいなことと対極の作り方で日本のマンガやアニメは描かれていたから評価されたのに、それを今さら、外国向けにちょっと考えて作ろうよ、と言われたって、そういう媚びたものはイヤだ、と日本においてさえマニアックと言われがちな作風の自分は、思ってしまいますけど(笑)。

マリ:例えば私は今年から、スティーブ・ジョブズの評伝マンガの連載を始めたのですが、「Mari Yamazaki」でエゴサーチすると、外国人のコメントが、うわっと出てくるんですよ。アメリカ、スペイン、イタリア、あとタイとか中国とか、何語かも判別できないようないろいろな国からなんですが、「なんで、こんな写実的な絵なの? これが日本のマンガ?」みたいな意見なのよね。

とり:へえ。

マリ:日本のマンガというものは、目が異常に大きくデフォルメされてなきゃいけないとか、アニメっぽいセクシーな女の子キャラが描かれていないといけないとか、私がとても描けないような感じの絵が固定観念としてあるのね。

とり:「なんだ、本物のジョブズと似ているじゃん」とか言われちゃって(笑)。

それはある意味、日本のクールジャパン戦略が浸透したということなんですか。

つげ義春をわかってほしくて

ヤマザキマリ(やまざき・まり)氏
マンガ家。1967年東京都出身。1981年、ヨーロッパの一人旅で知り合ったイタリア人の陶芸家に招聘され、1984年に単身でイタリアへ。フィレンツェの美術学校で油絵の勉強を始める。1997年より漫画家として活動。エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカを経て、現在は北イタリア・パドヴァ市在住。2010年、古代ローマ人浴場技術者が主人公の『テルマエ・ロマエ』で2010年度漫画大賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。最新刊は『スティーブ・ジョブズ』(講談社)。公式ホームページはこちら

とり:いや、それは戦略云々以前にウケたところですから。でも、日本のマンガやアニメの懐はもっと深いのに、大向こうにはそういう部分以外はあまり広がっていないジレンマがありますね。

 例えば外国のアニメオタクにも二系統あって、「ONE PIECE」みたいなメジャーな作品が好きな人と、押井守さんが作るような、ちょっとリアルで作家主義的な作品が好きな人とに分かれるんですね。どちらがいい悪いという話ではないけど。

マリ:私は留学先のフィレンツェにいたときに、同じアカデミアにいた芸大出身者から、花輪和一さんと、つげ義春さんと、一ノ関圭さんのマンガを教えてもらって、ものすごい衝撃を受けたんです。20歳ぐらいのときだったんですが、「マンガの世界って、こんなに奥が深いんだ。これはもっと掘り下げなきゃ」と思ったの。

とり:メジャー誌やアニメ系のマンガが奥深くないとは思いませんが、そういう独特の表現を開拓しようとしていたガロ系のマンガと出逢ってなければ、今のマンガ家・ヤマザキマリは、なかったかもしれませんね。

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「「クールジャパン=アニメ絵」という(ちょっと切ない)現実」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ヤマザキマリ

ヤマザキマリ(やまざき・まり)

漫画家

東京都出身。1984年にフィレンツェの美術学校で油絵を学び始める。1997年から漫画家として活動を開始。2010年、『テルマエ・ロマエ』で2010年度漫画大賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長