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“底上げ”人事は女性に失礼

DeNA創業者の南場智子氏が、「女性活用」を斬る

2013年8月26日(月)

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 空前の女性活用ブームが起こっている。

 2013年、安倍政権は今後の成長戦略の軸に女性の活用を掲げた。2020年までに、社会のあらゆる分野において指導的地位に占める女性の割合を30%程度まで引き上げる。そのためにはまず、全上場企業に対して、役員に1人は女性を登用すること。また今後は上場企業を対象に、管理職や役員に占める女性の割合を調査し、各企業の女性登用状況を公開すると公表している。

 これを受けて、経済界は突如、女性社員の昇格、昇進に乗り出した。「女性初」の役員を作る企業が増えたかと思えば、自社で立てた女性管理職比率の数値目標を公表する企業も相次ぐ。

 政府主導の女性活用ブームは、今後、職場にどんな影響を与えるのだろうか。日経ビジネス8月26日号「女性昇進バブル」では、現在実際の職場で巻き起こる混乱と、今後量産される女性管理職、女性役員が職場に与える影響を予測。あるべき「女性活用」のためにすべき施策を提言している。

 日経ビジネスオンラインでは、特集「女性昇進バブル」の連動連載をスタート。経営者や経済評論家、ジャーナリスト、コンサルタントなど、各界の大物女性が、今の「女性昇進バブル」を斬る。

 第1回は、ディー・エヌ・エー創業者の南場智子氏が語る。

経済界では、女性活用、女性昇進に力を入れる企業が増えています。

南場氏:それについては、もちろん大賛成です。市場の半分が女性で、財布を握っているのは半分以上が女性です。女性の心理を上手く掴む事業展開は必須ですから、そういう意味でも、事業の場にもっと女性が出てくればいいなと思っていました。

過去にも女性活用ブームは度々ありました。今回は、女性管理職や女性役員の比率をどこまで高めるかという目標数値を決めた点が今までと違うようです。

南場氏:最初に申しあげますと、私は自分自身が、子育てや嫁姑問題で苦労した経験がありません。働き始めてからも、女性だからという理由で損をした経験がない。ですから本当は、女性のこうした問題についてあまり語る資格がないのかもしれない。ただ、たまたま女性であって、会社を経営している。経営者の本音はある程度わかりますから、それを踏まえてお話をします。

 まず言いたいのは、人事は会社運営の根幹だということです。ですからそれぞれの実績や実力に鑑みて適所適材に人材を配さないといけない。そこに曇りがあると非常にまずいことになります。曇りある人事を一度でもしてしまうと、昇進した人はそれが実力なのかどうなのか分からなくなりますから。

今後、多くの企業が増えるであろう女性管理職を増やすための“底上げ”人事はどう見ていますか。

南場智子(なんば・ともこ)氏
ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者、取締役。1986年に米マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。99年同社を退社してDeNAを設立し社長に就任。2011年、病気療養中の夫の看病のため、DeNA社長兼CEO(最高経営責任者)を退任。代表権のない取締役となる。(写真:山本 琢磨、以下同)

南場氏:頑張っている女性に失礼じゃないかと感じています。(一定の女性枠を作る)クオータ制のように、女性管理職を増やそうとして短絡的にそちらの方に行くのはあまり支持できませんし、女性にとっては悲しいことだと思います。

 「これは女性管理職や女性役員が浸透するまでの過渡期なんだ、仕方がない」という意見がありますよね。ですが、この過渡期に当たった女性はみんなが、そういう目で見られてしまいます。例えば、課長や部長レベルでは圧倒的に男性の多い企業の場合、女性が役員になれる確率はとても低い。それが今、何らかの思惑で(女性が)昇進できる確率が高まっているとしたら、本気で昇進を目指して頑張る女性にとっては、とても残念なことでしょう。「最後に下駄を履かされたのか」と思われてしまう。周りの男性からそういう目で見られるのは、どうかと思いますよね。

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「“底上げ”人事は女性に失礼」の著者

日野 なおみ

日野 なおみ(ひの・なおみ)

日経ビジネスクロスメディア編集長

月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・運輸業界や小売業界などを担当。2017年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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