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リアル「日本人消費者」は、15年でこんなに変わった

生活者1万人調査で見える「誰が、なぜ、何にカネを使っているか」

2013年8月23日(金)

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 野村総合研究所は1997年から3年ごとに、日本人1万人を対象とした消費動向調査を実施している。最新調査の結果から、リアルな消費者の意識と生活スタイルにおける興味深い変化が見えてきた。

(聞き手は、秋山知子)

野村総合研究所は1997年から、日本の消費者1万人を対象にした大規模な調査(生活者1万人アンケート調査)を3年ごとに実施しています。2012年の調査結果を最近、まとめられましたが(『なぜ、日本人はモノを買わないのか? 1万人の時系列データでわかる日本の消費者』(東洋経済新報社))、非常に興味深く拝見しました。
 97年から2012年までの様々な「日本人の平均データ」というものを見ていると、消費における「自分史」みたいなものを思い出したりもしました。例えばインターネット利用率ですが、97年は2.6%だったのが2000年には21.4%に跳ね上がっています。そういえば97年頃、我が家はまだパソコン通信だったけど、2000年には確かにインターネットになってたな、とか…。

松下 東子(まつした・もとこ)氏
野村総合研究所経営コンサルティング部主任コンサルタント。1996年東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻修了、野村総合研究所に入社。消費者動向の研究、企業マーケティング戦略立案・策定支援、ブランド戦略策定、需要予測、価値観・消費意識に関するコンサルテーションなどを担当。(写真:都築 雅人)

松下:私は96年入社なんですけれども、97年の第1回調査以来ずっと関わってきていますので、やはりある意味、自分史みたいなところがありますね。

まず、あらためて驚いたことがあるんですが。デフレの20年間で日本人は消費をしなくなった、とよく言われますけど、実際にはしっかりとお金は使っているんですね。
 1万人調査の母集団の平均世帯年収ですが、97年の713万円が2012年には583万円と、実に2割近く落ちこんでいます。一方で、1人当たり消費支出額(内閣府調査)は2001年が221万円、2010年は216万3000円で、わずか2%の減少。消費支出がピークだった2007年の224万8000円と比べても、3.8%しか減少していません。
 クルマや大型家電が売れない、新築住宅の着工戸数が減少しているといっても、収入の落ち込みに比べれば日本人はお金は使っている。

松下:「モノ」はあまり買ってはいないかもしれないけれど、日常生活にはお金をかけているし、むしろ人づき合いとか体験、思い出などへの投資額は、若い人中心に増えています。

 今回の出版に関連して、ネット上での反応も見ているのですが、その中で「モノを買わない理由」として「モノを消費することへの罪悪感・抵抗感がある」という議論がありました。もちろん、この先の収入が増える見込みがあまりないからモノを買わないという意見もあるのですが、何よりモノを買うこと、不要なモノを所有することへの罪悪感・抵抗感が増しているんですね。捨てるのにもお金がかかる時代ですし。

 さらに、今の若い人は、何を持っているかよりもどういう経験をしてきたとか、どんな人脈を持っているか、人間関係が充実しているか、自分の引き出しをいかにたくさん持っているかを重視する傾向が強く、そういうところにお金を使いたいという人が多いです。旅行に行ったり、人づき合いに使う方が実際の「モノ」は増えないし、自分の人間力として蓄積されていくので、「コト消費」については罪悪感・抵抗感は抱きにくい。

もう1つ、今回の調査は2012年7月から8月に実施されているので、アベノミクス相場以降のデータがありませんね。この先、消費は浮揚するのか、どのようにご覧になっていますか。

松下:確かにアベノミクス以降のデータはないのですが、参考になるのが2006年時点の調査です。「生活設計における収入の前提」について、つまりこの先収入が今以上に増えると見ているか、今より減ると見ているかを聞いているのですが、戦後最長の「いざなぎ越え」景気真っ最中だった2006年調査で、「今以上に増える」の比率が「今より減る」の比率にやや追いついたのです。つまり景況感は2006年に少し浮揚したのですが、一方で消費意識は特に変動しませんでした。

 つまり、よっぽど先の見通しがドラスティックに変わらない限り、消費意識が反転するということは起こらないでしょう。実際、アベノミクス相場の株高による資産効果で、高級品市場は活発に動きましたが、一般の消費者にとっては給料が急に上がるわけでもなく、むしろ円安でエネルギーや食料中心に値上げがあり、さらに来春の消費税増税の議論もあるという中では、なかなか財布の紐がゆるむことはないと考えています。

 さらに、バブルが弾けて20年経ち、その中で成長して堅実な消費スタイルを身につけた方々が、今後結婚して消費の担い手になっていくことを考えても、現在の傾向は今後も長く続くと見ています。

かといって、先ほども触れたように「カネを使わない」わけではない。これもちょっと驚きだったのですが、自分の気に入ったものには惜しまずお金を使うというスタイル、「プレミアム消費」と呼んでいますが、これが97年から現在まで一貫して比率が増えてきているんですね。たとえこの先収入が減っていくとしても、気に入ったところには使いたいと。

松下:より安いものを求める消費スタイルはむしろ減っていて、厳選した質の高い消費生活を送りたいという意識が高まっています。贅沢ではなくても自分が気に入った、自分らしいものを求める。これは老若男女問わず、そうです。

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「リアル「日本人消費者」は、15年でこんなに変わった」の著者

秋山 知子

秋山 知子(あきやま・ともこ)

日経ビジネス副編集長

1986年日経BP社入社。日経コンピュータ、日経情報ストラテジー、日経アドバンテージ、リアルシンプル・ジャパンの編集を担当。2006年から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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