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馬場康夫さん×澤本嘉光さん 第3回

2013年9月18日(水)

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(撮影:大槻純一、以下同)

(谷啓さんの話で盛り上がった前回からの続きです)

澤本:谷啓さんって、すごく面白いことを恥ずかしそうに言いますよね。

馬場:それこそが今の芸人さんには、まったく失われた資質だと思うんですね。

 ご本人はトロンボーン奏者として、日本で屈指の実力の持ち主で、その方がクレージーキャッツに参加してコメディアンになって、で、また最後までトロンボーンも吹かれていた。だからって、「俺はミュージシャンですごいんだぞ」みたいに、あっちこっちで演奏するわけでもなし、頼まれれば嫌々というスタンスでいらっしゃる。

 谷啓さんご本人から聞いた話で、面白い話はいっぱいあるんです。クレージーキャッツに入る前の、シャープス&フラッツ時代に日比谷の野音でコンサートをやったとき、つまりトロンボーンで人気ナンバーワンだったときですよ。とにかく人前に出るのが嫌で、恥ずかしくて、1人だけサングラスを掛けていたら、それが誰よりも目立っていた、とか(笑)。

50億円あったら、超大作を撮って、襖で上映する

澤本:本人は本当に恥ずかしくて、嫌で嫌でたまらないのに、同時に目立ちたいという方ですよね。

彼女が水着にきがえたら」(1989年、馬場康夫監督)

馬場:アンビバレントの極致のような方なんですよ。それで、そのことから来る、えもいわれぬおかしみ、というか、人間のスケールの大きさみたいなものがあった。谷啓さんって、本当にスケールの大きかった人だと思うんだけど、でも今、そういう人は僕の見る限り、皆無ですね。所ジョージさんにちょっと近いところがあるのかな、とは思うんだけど、でもあの軽妙洒脱というか、洗練されているというか、レストークというか、あの、何かすごい資質。

澤本:谷啓さんが出演された馬場さんの映画は、「彼女が水着にきがえたら」ですね。

ベン・ハー」(1959年、ウイリアム・ワイラー監督)

馬場:忘れもしない、あの映画は50億円の財宝を探しているという筋で、「もし50億円あったらどうしますか?」みたいな酒飲み話を谷啓さんとしたの。そうしたら、「俺は50億円を掛けて、『ベン・ハー』みたいな映画を作る」と。戦車とか闘いとか、だーっとすごいのを作って、クランクアップしたら、それを自分のうちの襖に小さく映写して、それを見ながら酒を飲みたい、と(笑)。

何じゃそりゃ。

馬場:面白い人ですよ。スケールが大きいんだか小さいんだかよく分からない。あと、自分には撮りたい映画がある、という話もしてくれました。

澤本:何か、それもすごそうですね。

感動の果てに待っているのは

馬場:それがまた谷啓さんらしいんだけど、ヒマラヤ登山隊の話なの。その登山隊の中には、殺人を犯して刑事の追手を逃れてきたやつがいて、そいつを追い掛けてきた潜入刑事もいる。愛憎と思惑が渦巻く中で、例えば刑事が滑落しそうなのを、犯人が助けたりするのね。谷啓さんは映画マニアだから、ここはセシル・B・デミルの「地上最大のショウ」という映画のパクりなんですけどね。

地上最大のショウ」(1952年、セシル・B・デミル監督)

 そういう、いろいろな愛憎を含みながら、最後にアタック隊が、シェルパも連れてエベレストに上っていくんですよ。それで2時間を超えた最後のクライマックスで、ついにエベレストの山頂に手を掛けた、というときに、山の向こう側から煙が見える。何かと思ったら、谷啓さんがねじり鉢巻きして焼き鳥を焼きながら、「へい、らっしゃい」と声をかける、という映画なんです。「どうですか、監督?」って聞かれたけど、もう、めちゃめちゃ面白くて(笑)。

どうですかも何も。

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澤本 嘉光

澤本 嘉光(さわもと・よしみつ)

CMプランナー

1966年、長崎県生まれ。東京大学文学部卒業後、電通に入社。カンヌ国際広告祭賞など内外の受賞多数。2007年に始まったソフトバンクモバイル「白戸家シリーズ」は5年目に突入し、いまや国民的CMに成長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師