日本企業の間で女性役員の数を引き上げることがにわかにブームとなり、実例もちらほらと増えている。日経ビジネス8月26日号「女性昇進バブル」では、その実態と今後の女性活用のあり方に迫った。
継続的な女性のキャリアアップを阻む「見えない壁」は日本だけの問題ではなく、世界共通の悩みでもある。一体、何が本当の障壁になっているのか。オーストラリアで女性の管理職登用が進まない理由などについての大規模な調査に携わり、自らも未就学児2人の母であるべイン・アンド・カンパニーのパートナーで、オーストラリア在住のメラニー・サンダース氏に話を聞いた。
(聞き手は広野 彩子)
べインで女性の管理職登用などについて大規模な調査を担当されました。サンダースさんご自身、まだお子さんが小さいそうですね。海外出張の間はどうされているんですか。
サンダース氏:5歳と2歳の子がいます。実は、我が家は夫が「専業主夫」なのです。5年前に長女が生まれ、夫が自ら仕事を辞めて家で育児に専念する決意をしたのです。以来、夫が育児を担っています。オーストラリアでは、私のような上級管理職の女性の場合、夫が専業主夫というケースは割とよくありますよ。
世界を見渡すと、あちこちで家庭の責任を夫婦で分かち合おうとする傾向が見られますね。互いに働いている場合も、男性がパートタイムで働くケースもあり、家庭内の仕事ももっと分かち合うようになっています。日本では文化的に、そういったことがあまり一般的でないことは知っています。でもそれが世界のトレンドですから、いつか日本もそうなってくるでしょう。
日本でも世代による子育て観が変化

べイン・アンド・カンパニー パートナー(写真:陶山勉、以下同)
確かに日本でも、7、8年前に比べれば、若い男性が街中で赤ちゃんを抱っこしている姿をよく見かけるようになりました。
サンダース氏:世代による意識の違いもあるでしょうね。現在の子育て世代がリーダーになるころの多くの日本人の子育て意識はおそらく、現在とはとても違ったものになっているでしょう。両親はどうあるべきか、どんな人間でありたいか、という点で、上の世代とは違った価値観で暮らしているだろうと思います。
>中学校での「家庭科・技術科」への男女振り分けを即時廃止現在20代後半で公立中学を卒業しましたが、当時から男女とも家庭科・技術科どちらも履修しましたね。その後指導要領が変わったのでしょうか?(2013/09/03)