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「映画『テルマエ』のヒットで、夫婦間が険悪になりました」

日本流運命共同体では解決できないこともある

2013年9月10日(火)

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当サイト連載中の、とり・みきさん、『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさん、このお二人の論客にしてマンガ家が、シチリアのマンガフェスティバルをきっかけに、世界の中での日本マンガの地位を絵解きし、当事者自らが本当の「クールジャパン戦略」を考える。というのがこの対談の趣旨なのですが、当初から話が方々に飛んでおります。

とり:僕はマンガ家になる前に、小松左京研究会というSFのファングループに入っていて、小松さんから受けた影響というのは大きいんです。それは物事を地球的視野から見るという視点や、自然科学・人文科学系の知識からマンガのギャグや音楽までを並列に結びつけて語る、ということなんですが、ヤマザキマリさんと本格的に知り合って最初に思ったのが「あ、小松さんっぽい人だ」ということでした。

マリ:いや、とりさんこそ、マンガ業界どころか日本全般で見ても、なかなかいないタイプですよ。例えばイタリアには、ルイジ・ピランデルロという、シチリア出身の作家がいるんです。私の大好きな作家なんですが。

誰ですか、それ?

マリ:というぐらい、ピランデルロって誰も知らないですよね。イタリア人作家だと、せいぜい知っていて、イタロ・カルヴィーノぐらいでしょう。

マルコヴァルトさんの四季』イタロ・カルヴィーノ著、絵:セルジオ・トーファノ、関口 英子訳(岩波少年少女文庫)

それは知ってます。『マルコヴァルトさんの四季』なんかを、小学生時代に愛読しました。

とり:カルヴィーノだって、名前を知っている人は少ないですよ。

マリ:私は18、19歳ぐらいでカルヴィーノに、めっちゃハマって、自分で翻訳とかして、挿絵まで描いてました。誰に頼まれたわけでもないのに

とり:どっかの出版社から出せないの、それ(笑)。変な高校生だなあ。

小松左京と、とりマリをつなぐ糸

マリ:そう。加減の分からないばかですよ(笑)。それが次にピランデルロに移って、ある時期、ピランデルロの作品は、小説から戯曲から、全部読みまくったんです。

 で、とりさんと何かの話をしていたときに、「実は私、タヴィアーニ兄弟が撮った映画の『カオス・シチリア物語』が大好きで、その原作がピランデルロという、これまた私の大好きな作家で。なのに誰も知らないんですよ」と切り出したら、「ピランデルロは小松左京さんが卒論で取りあげた作家ですね」って、とりさんが普通に返してきたので、驚いちゃって。

原作本はこちら。『ピランデッロ短編集 カオス・シチリア物語』ルイジ ピランデッロ著、白崎 容子、尾河 直哉訳(エクス・リブリス・クラシックス)

とり:僕は、そのタヴィアーニ兄弟の映画は観ていなかったんですけど、原作は、小松さんから入って読んでいたんですよ。カルヴィーノもSFのほうから入って読んでいた。

それも異常ですよね。

マリ:ピランデルロをご存じだったりするというのは、ちょっと私の中では意表を突かれたというか、スペシャルな感じで。

そんなとり先生がシチリアのマンガフェスティバルに招かれたというのも、何かの符合なんでしょうか。

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「「映画『テルマエ』のヒットで、夫婦間が険悪になりました」」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ヤマザキマリ

ヤマザキマリ(やまざき・まり)

漫画家

東京都出身。1984年にフィレンツェの美術学校で油絵を学び始める。1997年から漫画家として活動を開始。2010年、『テルマエ・ロマエ』で2010年度漫画大賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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