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「日本では、作家が連載するんですよ」「えええっ!?」

無理自慢から、補い合う関係に

2013年9月24日(火)

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この対談では、日本のマンガ家と編集者の、ドメスティックな関係性が明かされております。

マリ:関係性も特異だし、だいたいマンガ家の働き方というもの自体が常識外。土日も返上で、とにかく四六時中、マンガを描きまくっている。

とり:ヤマザキさんのように、こんなに売れているマンガを描いている人が、全然、悠々自適でなく、休みもなく、睡眠も取れず、へとへとになっているという状況は、外国人には考えられないことでしょうね。

ヤマザキマリ(やまざき・まり)氏
マンガ家。1967年東京都出身。1981年、ヨーロッパの一人旅で知り合ったイタリア人の陶芸家に招聘され、1984年に単身でイタリアへ。フィレンツェの美術学校で油絵の勉強を始める。1997年より漫画家として活動。エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカを経て、現在は北イタリア・パドヴァ市在住。2010年、古代ローマ人浴場技術者が主人公の『テルマエ・ロマエ』で2010年度漫画大賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。最新刊は『スティーブ・ジョブズ』(講談社)。公式ホームページはこちら。(写真:大槻純一 以下同)撮影協力:オステリア ヴィンチェロ

マリ:もともと欧米というのは、基本的には文芸にしても、絵画にしても、パトロンがいて、上流階級の支えがあって発達してきたものなのです。確かにそうじゃない例もあるけど、通常そういう歴史が当たり前だと思っているから、外国人の友人は、「土日は休んでくつろいで、平日に9時ぐらいから5時まで働けばいいじゃない」と言ってくるんだけど、「だから、日本のマンガ界というのはそういう世界じゃないの!」と私は受け答えしています。

 だいたい日本の場合、文芸全般が鶴屋南北、井原西鶴の時代から、商人文化の中で生まれてきたものでしょう。ヨーロッパのようなパトロンが付くのではなく、商売に長けた人たちが「金を払うからどんどん描けや」と言う中で発達した。その延線上に私たちはいるんですよね。それで、マンガ家から小説家に至るまで、新聞や雑誌に連載を持って、毎日書かなきゃいけない。「日本では作家が連載をしています」と言うだけでうちの旦那のような人文系の学者たちが騒ぎ出すのよ。

とり:「あの国では、作家やマンガ家が毎日毎週何枚と決められて、連載をさせられているらしい」、と。

マリ:「信じられません。どういうことなんでしょうか」と、それだけで一つの研究テーマになっちゃうんですよ。

スキャナなしには旅行も出来ない

海外には、連載小説ってないんですか。

とり・みき
熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春マンガ賞を受賞。劇場版アニメ「WXIII 機動警察パトレイバー」では脚本も担当。オジギビトと名づけた工事看板に関する著作や吹替に関するコラムも執筆(「吹替の帝王」サイトにて)。山下達郎オールタイムベストCD「OPUS」ではジャケットイラストを担当した。

マリ:少なくとも私が暮らしてきたヨーロッパやアメリカにおいて「文學界」とか「新潮」のような純文学系の月刊文芸誌は見た事がありません。

とり:新聞のコラムや日曜版のマンガみたいな連載はあるし、小説もSFやミステリなどの娯楽系のマガジンや、著作権が会社に属するようなタイプのアメコミには締切はあると思うんですが、純文やBDタイプのマンガまで月刊や週刊の雑誌への掲載が基本というのは、確かに驚かれるかもね。

マリ:大学の文学研究者をシカゴの三省堂に連れていったとき、彼らは文芸誌の棚を撮影していました。「この棚にあるのは、純文学の小説家が毎月毎月、牛馬のように働いて連載をしている雑誌なんだ。作家が一冊書くのに5年10年掛かるのがこの世界では当たり前だと思っていたのに、月刊連載なんて…信じられない」と口にしながら。

とり:奴隷みたいなもんだと(笑)。

マリ:マンガというものは、その文芸の延長線上にあるわけじゃないですか、結局。ものすごく市場と結び付いていて、自分のペースでゆっくり納得のいく作品を描きたくても、実写化などで巨額の利潤を生んでしまうと、経済の方が優先されてそれが叶わない場合がある。

とり:実際、毎週、マンガを20ページ、工業製品のように納品しなくちゃいけない、というのは、向こうの人からしたら、考えられないでしょうね。

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とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ヤマザキマリ

ヤマザキマリ(やまざき・まり)

漫画家

東京都出身。1984年にフィレンツェの美術学校で油絵を学び始める。1997年から漫画家として活動を開始。2010年、『テルマエ・ロマエ』で2010年度漫画大賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。現在、慶應義塾大学SDM(システムデザイン・マネジメント)研究科修士課程在学中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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