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アジアの権威、エズラ・ヴォーゲル名誉教授に聞く

著書『トウ小平』執筆を通して見えてきた中国

2013年9月20日(金)

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 1979年にベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を出版、中国研究でも知られる米ハーバード大学のエズラ・ヴォーゲル名誉教授。2000年に教職を退いた時に鄧小平の本を書くと決意、以来、10年強をかけて執筆し、2011年に『Deng Xiaoping and the Transformation of China』を出版した。同書は、外交関係書に贈られるライオネル・ゲルバー賞、全米出版社協会PROSE賞特別賞を受賞したほか、英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ、米ウォールとリート・ジャーナル、米ワシントン・ポストなどの「ブック・オブ・ザ・イヤー」などにも選ばれ、世界の注目を集めた。

 このほど、その日本語版『鄧小平 現代中国の父』が出版されたのに伴い来日したヴォーゲル氏に聞いた中国の捉え方、見方を2回に分けてお届けする。

このほど出版した『鄧小平』の冒頭で、「今ほど鄧小平を研究するのにいい時期はない」と記しています。その意味を改めてお聞かせください。

ヴォーゲル:僕を含めハーバード大学の先生は米政府や様々な財団に研究資金を出してもらっています。ですから、学生だけでなく、国民、社会全体にも知識を与える義務がある。民主主義国家では国民の水準が低いと、政治家がいい政策を取ることができない。その意味で僕らの責任は非常に大きいと考えています。

 1979年に僕が『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を書いたのも、日本の経済規模が米国を上回ると言いたかったのではありません。(貿易摩擦など)日米関係が軋む中、米国民は日本の競争力がなぜ強いのか理解し、日本から学ぶべきだということを伝えたかったのです。

 2000年に教職を離れた時、今後どんどん強くなっていく中国のことを米国民がよく理解しないと、米国の為政者は政治、外交を進めていくのが難しくなると考え、鄧小平の本を書こうと思いました。

 中国は当時も今も、鄧小平が打ち出した改革開放政策を基本としています。だから、開放政策をどういうふうにつくって、どう実現してきたのか、その背景と成長戦略を理解すれば、中国の根本的な考え方も理解できるはずだ、と考えたわけです。

ソ連で得た資本主義活用の発想

エズラ・F・ヴォーゲル(Ezra F. Vogel)
1930年7月9月米オハイオ州デラウェア生まれ。50年に米オハイオウェスリアン大学を卒業。アメリカ陸軍に2年間勤務した後、58年にハーバード大学で博士(社会学)を取得。その後、日本語と日本の家族関係の研究のために来日し、2年間滞在。61年秋から中国研究及び中国語の習得にも着手、広東省の社会変容の研究で顕著な功績を残す。67年ハーバード大学教授(社会学)、72~77年同大学東アジア研究所長、80~88年同大学日米関係プログラム所長、95~99年同大学フェアバンク東アジア研究センター長などを歴任。79年に出した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は日本でベストセラーになった。(撮影:的野弘路、以下同)

鄧小平は16歳で留学のためフランスに渡って、そこで中国共産党の活動に参加して、モスクワに移りました。その時に、共産党指導の下にあるソ連経済が活力に溢れているのを見たことが、後の鄧小平の経済政策の決定に大きな影響を及ぼしたようですね。

 

ヴォーゲル:そうです。当時、中国からは多くの学生が働きながら学ぼうとフランスへ渡りました。鄧小平もその1人でした。ただ、ちょうど第1次大戦からフランスの兵隊が戻ってきていたため中国人には重労働の低い賃金の仕事しかなく、鄧小平も望んでいたパリの大学に入学することはできませんでした。そんな失意にあった鄧小平が参加したのが、できたばかりの中国共産党パリ支部でした。そこには当時、後に首相になる周恩来もいました。

コメント3件コメント/レビュー

国力が増大した今は、国家としての中国を発展、膨張させることが最優先課題になって、リスクを冒しても・・・ですね。(2013/09/24)

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「アジアの権威、エズラ・ヴォーゲル名誉教授に聞く」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

国力が増大した今は、国家としての中国を発展、膨張させることが最優先課題になって、リスクを冒しても・・・ですね。(2013/09/24)

中国の指導者は、自分が後に歴史においてどう評価されるかということを大変重んじます とありますが、世界の主流は多様な価値観を受け入れることで競争力を保った半面、共産主義の中国は正反対の手法で競争力を身に付けた。好みの問題は別にして、50年後にどちらの勢力が正しかったのか。世界の歴史家がどう分析するかとても興味深いところです。(2013/09/20)

「国家としての中国を守ることが最優先課題」だから,チベット,ウイグル,南シナ海,尖閣,台湾,沖縄,日本と際限なく侵略を続けて行くわけですな.(2013/09/20)

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