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今夏、花火大会の急遽中止が続いた理由

花火写真家、花火研究家の冴木一馬氏に聞く

2013年9月26日(木)

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 2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催が決定した。56年振りの世界最大級イベントの招致は今後、日本経済にとって絶好の追い風になると共に、「観光立国」への扉を開く強力な起爆剤になるとも期待されている。訪日外国人を「おもてなし」するのは、最先端技術や日本食、富士山など自然遺産のみならず。それらに負けず劣らずキラーコンテンツになると見られているのが、日本が誇る夏の風物詩、花火大会だ。7~8月の2カ月間だけで約4000の花火大会が開催されるとも言われる日本は、世界に類を見ない花火大国。その世界最高水準の打ち上げ技術が、世界中から訪れる人々を魅了するのは間違いない。

 だが、そんな期待の花火大会に、今年は様々なトラブルが相次いだ。単なる偶然か、それとも歴史ある伝統業界に何かが起きているのか。国内屈指の花火写真家で花火研究家でもある冴木一馬氏に、真相を聞いた。

(聞き手は鈴木 信行)

とにかく今年の夏は花火大会のトラブルが相次ぎました。まず記憶に新しいのが7月27日の隅田川花火大会。開始まもなく中止になり、多くの来場客がずぶ濡れで最寄りの駅に殺到、テレビの生放送も大混乱に陥りました。

冴木 一馬(さえき・かずま)
山形県鶴岡市出身。報道カメラマンを経て1987年から花火の撮影を始める。97年花火師(煙火打揚従事者)の資格を取得。同時に肩書をハナビストとし、世界各地の花火を記録しながら歴史や文化の研究を始める。2002年から花火を題材にした版画の製作と同時に花火大会運営のプロデュースも開始。同年11月、1000大会の撮影を記録。写真の原版は2万点以上ストック。スチールに関してはワンシャッターにこだわり多重露出をおこなわず、花火本来の姿を追い求めている。世界各地の花火を始めあらゆる種類の花火写真があり、その解説も手掛ける。ホームページはこちら

冴木:確かに自分も、隅田川花火大会の中止は記憶がありません。

あの中止にはいくつかの疑問があります。まず当日は、素人が見ても大気の状態が不安定で、頻発していた「ゲリラ豪雨」が来る可能性が十分予測できた。なのに、なぜ主催者は、「開催見合わせ」という決断をもう少し早い時間帯に下せなかったのでしょう。

冴木:その辺りの事情を分かりやすく説明するには、花火ビジネスの構造からお話しすることになります。まず一般論として、行政主導の花火大会は、ビジネスモデル上、当日になっての開催見合わせは難しいという事情があります。おっしゃる通り、翌日などに急遽順延するとなると、花火師さんを2日拘束することになる。その場合、私の知る限り、手間賃はおよそ5割増、1.5倍になるはずです。ですが一方で当然ながら、行政主導の花火大会には厳密な予算枠というものがある。当日になってしまうと、担当者としても簡単に順延を決断するわけにはいきません。

順延でなく一気に中止にまで至る理由

なるほど。ならば数日前に順延を決定するしかない、と。

冴木:ですが、それも現実問題として難しい。こう天候が不安定だと数日後の天気予報は当てになりません。仮に順延を発表し、当日晴れてしまえばどうなりますか。日程変更の告知が行き渡らなければ、多くの来場者が現地に来てしまい、それはそれで大きな混乱が生じることになります。そうしたことを総合的に考えると、多少天候が不順でも強行した方がよいということにもなる。

花火大会が順延しにくい構造にあることはよく分かりました。ただ隅田川大会の場合、開始してすぐに中止に陥った結果、まだ花火も沢山余っていたはず。花火の製造コストなどが無駄になることを考えれば、せっかくの年に一度のイベントですし、特例的に、規模を縮小しながら日を改め、続きをやっても良かったのではと、素人は思ってしまうのですが。

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「今夏、花火大会の急遽中止が続いた理由」の著者

鈴木 信行

鈴木 信行(すずき・のぶゆき)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日本経済新聞産業部、日経エンタテインメント、日経ベンチャーを経て2011年1月から日経ビジネス副編集長。中小企業経営、製造業全般、事業承継、相続税制度、資産運用などが守備範囲。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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