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「数字の悪化」は問わないが、「時間軸のズレ」には雷を落とします!

第3回 藤井裕幸・サンドビック社長(中)

2013年10月9日(水)

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 日本人らしい、地に足の着いたリーダーシップで、会社を成長発展させている経営者には、何か共通点があるのではないか――。「現場力」の重要性を唱え、戦略とマネジメントにも精通する遠藤功・早稲田大学ビジネススクール教授(ローランドベルガー会長)が、いま注目の日本人リーダーに迫る。

 対談の3人目は、サンドビックの日本法人を率いる藤井裕幸社長。スウェーデンに本社を置くサンドビックは、知る人ぞ知る優良グローバル企業で、世界130カ国でハイテクエンジニアリング関連の事業を展開する。藤井氏はヘッドハントされて入社し、日本における販売の立て直しを託されたが、入社後に知らされたのは、日本にある工場を2年後には閉鎖する方針だった。

 それに「待った!」をかけた藤井氏は、本社を説得し、工場を改革。サンドビッググループの中でトップクラスの工場へと変身させて、中国移転を白紙に戻すことに成功した。

藤井:私は音楽が好きで、オーケストラによく例えるんですけれども、リーダーというのはまさに指揮者です。自分で弾いちゃいけないんです。あのバイオリンがダメだから俺があそこへ行って弾くとか、あのトランペットもダメだから俺がトランペットを吹く、ということをしてはいけない。

遠藤:自分で弾くんじゃなくて、オーケストレーティングをする。

指揮者バーンスタインに学んだ「部分最適から始める」

藤井 裕幸(ふじい・ひろゆき)
1949年奈良県生まれ。1971年慶應義塾大学商学部卒業。同年オークマ入社。製造、営業などを経て、米国現地法人の立ち上げに携わり、通算13年間米国に滞在。2000年サンドビックに入社し、副社長に。2007年から代表取締役社長。日本経済団体連合会(経団連)審議委員、日本超硬工具協会理事。(写真:大槻純一、以下同)

藤井:そうです。それからもう1つ、私がオーケストラから学んだのは、バーンスタインという有名な指揮者がいて、彼は練習で何をやったかというと、まずパートに分ける。

 例えば、第1バイオリン、第2バイオリン、ビオラ、トランペットと分けて、別々に練習させる。別室に分けて、音が聞こえないようにして、練習させる。それで最高の音が出るようにさせるわけです。僕たちはここまでやり切ったという音を出させる。そして完璧に弾けるようになったところで、みんなを集めると、すごい音が出せる。それがバーンスタインのやり方です。

 いつも一緒に練習するんじゃなくて、パートに分けて、そこでベストの音を作り出させて、それから集める。オーケストラというのはまさに響きの世界ですから、どこかの音が狂っていたり、リズムがずれていたりしたら、全体の足を引っ張ってしまう。あのパートが悪いから、全体が響かないと言われたくない。ほかのパートに負けたくないから、頑張るわけです。

遠藤:最初は「全体最適」なんて考えないわけですね。

藤井:そうです。部分最適を追求する。

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「「数字の悪化」は問わないが、「時間軸のズレ」には雷を落とします!」の著者

遠藤 功

遠藤 功(えんどう・いさお)

早稲田大学ビジネススクール教授

ローランド・ベルガー日本法人会長。1956年生まれ。79年早稲田大学商学部卒業、三菱電機入社。米系戦略コンサルティング会社を経て、2000年ローランド・ベルガー社長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授