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日本企業の“慰めの報酬”は「人間関係」だ

『スカイフォール』(2012年、サム・メンデス監督)【承前】

2013年10月10日(木)

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【発売開始!】映画から学ぶ「会社に使い倒されないための心得」

 組織の中でも、まず自らの「勝利条件」を設定し、達成のために何をどこまで犠牲にできるべきかを考える――。面白い映画の持つ要素と、それを撮る監督の思考・行動は、仕事にもほとんどそのまま引用可能。押井守監督が9本の映画を「中間管理職としての監督」目線から読み解いたこの連載が単行本になって本日発売開始です。

 タイトルは『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』。連載を全面的にリライトし、監督の語り降ろしの形で本として読みやすい形に再構成しました。もちろん、映画のウンチクや、ここに載っていない映画の「読み解き」にも大いに活用できます。押井ファンの経営者、梅澤高明さんとの対談も収録。よろしかったら、ポチッとどうぞ。(Y)

(前回はこちら

前回は007の所属するMI6が待遇の良くないブラック職場だ、と言うお話でした。

押井:007はなぜあんな最低の雇用条件を甘んじて受け入れてるんだろうと思うんですよ。撃たれて死んだことになってるんだから、あのままおネエちゃんと楽しく暮らせばいいのに。毎日バクチやって、酒飲んで、ひなたぼっこしてればいいんだから。そのほうが楽しいしはるかに人間らしく生きられるじゃん。冒険はないけど。だから僕は「なんでこいつMI6に帰ってきたの?」と思ったんだけど。

Mはそこで上司らしき振る舞いをちゃんと示してるんですか?

押井:全然。そんな生活を捨ててまでわざわざ帰ってきた見返りに、この上司は自己実現ための何を援助してくれるんだろうって、何ひとつしてないよ。あるとすればある種の母性だけ。要するに息子と同じだから。

 不思議なんだけど、シルヴァもジェームズ・ボンドも明らかに息子として、母親たるMに接してるんです。007は要するにいきなり帰ってきた放蕩息子で、母ちゃんに「家出したくせにいまごろ帰ってきやがって。なんでもっと早く帰ってこなかったんだ」と言われちゃう。「よく生きていたね」なんて言って抱きしめてくれるどころか、遅い、トゥーレイトだと。「どこで油売ってたんだこのバカ息子」というさ。自分で殺しかけといてよく言うよ。

この映画がヒットしたということは、そういう上司との人間関係を、観客の側が欲しがってるということなんでしょうか?

押井:たぶんそうじゃないかな。でなければあの作品が歓迎されるわけがないよ。

 007と、Mや組織との関係というのは、巨大な報酬をくれるどころかたぶん安月給だし、だいたいは「死地に行け」という任務ばっかり。じゃあなんで007はMとの関係を続けるのか、というと、それは親子だから。前編でお話したように、Mはボンドにとっての母親だからです。

そう考えるとちょっと怖い映画ですね(笑)。

理想の上司は父親&母親?

押井:もしかしたら現代の日本の雇用関係って、部下の側にとっての見返りは何かといったら、報酬じゃなくてそういう濃密な「人間的なつながり」が欲しいんじゃないかというのはあるんだよね。

そうかもしれません。

押井:アンケートで「一番欲しい上司は?」「理想の上司は?」みたいな調査をよくしますよね。あれは要するに父親だったり母親だったりするだけでしょ? 自分の言うことも聞いてくれて、任せてくれて、しかも責任をちゃんと取ってくれてという、それって一本立ちする前の息子や娘の心境と同じじゃん。

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「押井守監督の「勝つために見る映画」」のバックナンバー

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「日本企業の“慰めの報酬”は「人間関係」だ」の著者

押井 守

押井 守(おしい・まもる)

映画監督

1951年生まれ。東京都出身。大学卒業後、ラジオ番組制作会社等を経て、タツノコプロダクションに入社。84年「うる星やつら2」で映像作家として注目を集める。アニメの他に実写作品や小説も数多く手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官