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「それでも、秋入学は諦めない」

東京大学・濱田純一総長が抱く危機感とは

2013年10月16日(水)

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 経済のグローバル化が進み、世界の大学では優秀な教員や学生の争奪戦が国境を越えて繰り広げられている。そうした中、国内トップ大学である東京大学の濱田純一総長は、「優秀な人材を採れないのは、本当につらい」と、思うような教育ができないもどかしさを露呈する。濱田総長が、日本の大学教育に抱いている危機感とは何か、話を聞いた。

まず、東大の現状をどう評価しているか、教えてほしい

濱田:東大の素晴らしいところを挙げればきりがないが、ここでは危機感を抱いている点についてお話ししたい。

濱田 純一(はまだ・じゅんいち)
1950年兵庫県生まれ、63歳。東京大学法学部を卒業、修士、博士課程を経て東大新聞研究所で研究員に。助教授等を経て、東大社会情報研究所教授、所長などを歴任して2005年から理事・副学長を務める。2009年に第29代総長。(写真:村田和聡)

 まず、前提として、日本の国力は以前ほど力強くない。東日本大震災からの復興も急ぐ必要がある。これまでにない課題に直面する中、日本を代表する大学である東大として、十分な役割を果たせているのか。日本でトップの研究者や学生を抱えているのに、その潜在能力を十分に生かし切れていないのではないか。まだまだ力を発揮できるはず。そんな危機感がある。

 グローバル化への対応はもちろんしなければならないが、それ以前の問題として、まずは優秀な人材の潜在能力を引き出せるように、教育のあり方を改めなければならない。

具体的に、どのようなことを改めなければならないのか。

濱田:明治以降の日本は、先進的な欧米というお手本があった。それに、「追いつけ」「追い越せ」で頑張ってきた。やや乱暴な言い方になるが、海外から知識を取り入れ、国内で上手く使いこなせる人材を育てればいい、というような風潮があった。そのため、「いかに早く正解にたどりつくか」を教えるための知識を詰め込む教育が中心だった。

 しかし、今はそれでは通じない。東日本大震災のような自然災害や原子力発電所の爆発事故、高齢化や温暖化など、答えがなかなか見えない問題がたくさん起こっている。こうした問題に、世界を視野に入れて取り組む必要がある。常に正解がある問題の解き方や知識だけを教えても、もはや不十分だ。知識を生かし、自ら考えて動ける人材を育てていかなければならない。そのためには、従来とは異なる教育や研究の手法が求められている。一言で言えば、多様性から生まれる教育だ。

「たかがランキング、されどランキング」

世界の大学ランキングを見ると、米英の大学が上位を占めている。一方、東大の順位は英クアクアレリ・シモンズ(QS)のランキングでは32位、英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)では23位と低迷している。この結果をどのように評価しているか。

濱田:ランキングなど気にするな、という声もあるが、「たかがランキング、されどランキング」だ。この順位を見て進学先を決める優秀な学生もいるからである。幸い、THEのランキングでは、昨年、今年と、東大の順位は上昇している。THEの研究・教育に対する評判に限ったランキングでも9位だ。東大は、今もこの点では世界から高く評価されている。

 ただし、やはり、外部から東大がどのように評価されているのかを知るという点で、ランキングは参考になる。実際、弱いところもある。具体的には、論文の引用件数や国際化だ。ランキングの順位を上げるためだけに必死になることはしないが、ランキングから自分たちの弱点を認識し、それを大学の「質」の改善につなげていくことは大切だ。

コメント8件コメント/レビュー

>学部生の海外への留学比率、わずか0.6%これが十倍になったところで6%、その1割以下の為に全体を変更しなきゃいけないのでしょうか?あまりにも一部の利益を代表しているのではないですか?実際には、秋入学の定員枠を1割分設ければ済むことだと思います。グローバル、グローバルって煩いのですが、世界の大学が持っておらず、日本の大学だけが持ってる能力って日本語で高等教育が出来るって事なのを忘れちゃいけないと思います。英語による講義が大学の格を高めるみたいにおっしゃってますが、そりゃあ単に世界のどこにでもある大学に堕するのを勘違いしてます。(2013/10/16)

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「「それでも、秋入学は諦めない」」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>学部生の海外への留学比率、わずか0.6%これが十倍になったところで6%、その1割以下の為に全体を変更しなきゃいけないのでしょうか?あまりにも一部の利益を代表しているのではないですか?実際には、秋入学の定員枠を1割分設ければ済むことだと思います。グローバル、グローバルって煩いのですが、世界の大学が持っておらず、日本の大学だけが持ってる能力って日本語で高等教育が出来るって事なのを忘れちゃいけないと思います。英語による講義が大学の格を高めるみたいにおっしゃってますが、そりゃあ単に世界のどこにでもある大学に堕するのを勘違いしてます。(2013/10/16)

1.そんなに国際ランキングが心配なら、中国が上海交通大学による大学ランキングを作ったように、日本の大学にも有利な国際ランキングを作ればよいのです。/2.東大からハーバードやオックスフォードに移りたいという教授や学生はいても、逆はほとんどいないに等しいのが現状。英語は国際語だが、日本語はしょせん日本でしか使われていないマイナー言語です。(2013/10/16)

浜田さん、がんばれ。日本の社会システムの変更のための第一歩としての東大秋入学の提案(昨冬の日経シンポ・於東京)とのことだが、当然、東京大学、いや、大学だけでなく、小学校からの秋入学のプランを描き上げてほしい。日本全体が、これからの世界で生き残らなければならないのだから(昨冬の日経シンポで、浜田先生の口から、日本の青年たちが世界の青年たちに「伍して、つまり、劣らずに」新しい世界の構築に貢献することができるように、秋入学の提案をしているという趣旨の発言があれば、もっとよかった)。ところで、日本語の壁の件だが、英語に注力しすぎると、どうせなら「本場の」英米圏の大学で学んだ方がいいということになりかねない。大学の差別化は、英語授業で図られるものではない。飽くまでも、教育・研究内容の質が鍵である。この点の議論が混乱することがないように強くお願いしたい。(2013/10/16)

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