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シリア攻撃を“あきらめた”米国と日本

高まる新孤立主義

2013年10月16日(水)

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シリア攻撃を事実上諦めたオバマ米大統領は、米国民に対して弱気な素振りを見せるわけにはいかない。

このため財政を巡る議論では、デフォルト(債務不履行)直前まで強気の姿勢を崩さないだろう。

これは米国社会の一層の分裂につながる。オバマ政権の弱体化は日本にどのような影響をもたらすのか?

米国政治に詳しい川上高司拓殖大学教授に聞いた。(聞き手=森 永輔)

シリアへの攻撃について、バラク・オバマ米大統領が迷走しました。この背景をどのように分析していますか?
 そもそも、イラクやアフガニスタンからの米軍撤退を進めてきたオバマ大統領がなぜシリア攻撃に腰を上げたのか? そこからお伺いします。

川上 高司(かわかみ・たかし)氏
拓殖大学教授
1955年熊本県生まれ。拓殖大学教授。
大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。この間、ジョージタウン大学大学院留学。(写真:大槻純一)

川上:オバマ大統領は基本的にはやりたくなかったのだと思います。しかし、腰を上げざるを得なかった。理由は大きく2つあると考えています。

 第1の理由はオバマ氏が大統領であるとないとにかかわらず、米国が「アメリカだから」。良くも悪くも、米国はノーム(規範)を重視する国です。「化学兵器の使用」という人道に反する行為をしたシリア政府には懲罰を与えなければならない――と考えた。

 オバマ大統領の念頭にはイランがあったでしょう。ここで、シリアに寛容な態度を示せば、イランが核開発を進めた時に厳しい態度を取ることはできません。この意味でも、ノームを守る姿勢を示す必要があった。

 もう1つの理由はユダヤ・ロビーです。彼らが活発に動き、オバマ大統領を突き動かした。正確に言うと、オバマ大統領の決断に直接の影響を与えたのは、ジョン・ケリー国務長官でしょう。

ケリー長官はそもそもリベラル派で、対外干渉には消極的だったのでは。

川上:それほど、ユダヤ・ロビーが強力だったということでしょう。

 ケリー長官の父方の先祖はユダヤ人です。ユダヤ・ロビーはその執念とカネで同長官を説得した。ケリー長官は8月26日に「シリア政府に責任を取らせろ」と発言。ここから風向きが変わりました。

 オバマ大統領はケリー長官の言うことに真っ向から反対することはできない力関係にあります。そもそも、同長官が2004年の米大統領選挙に民主党候補として立候補した時に応援演説をしたことからオバマ氏の存在が世の中で知られるようになりました。2012年の大統領選挙では、共和党のロムニー候補との討論に臨むオバマ大統領のために、ケリー長官が練習相手を務めました。

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「シリア攻撃を“あきらめた”米国と日本」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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