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理工系国内トップ校でも「欧米基準では『講義の質が低い』」

東京工業大学・三島良直学長が切り込む教育改革

2013年10月23日(水)

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 国内理工系トップの東京工業大学が、2016年度からの全面実施を目指す教育改革の基本方針をまとめた。講義運営やカリキュラム、学生の成績評価などを抜本的に改め、「教育の質」で米マサチューセッツ工科大学(MIT)など欧米トップ校と肩を並べるのが目標だ。昨年秋に就任した三島良直学長は、「カリキュラムを変えるだけでは不十分。最大の課題は教員の意識を大きく変えること」と強調する。教員の教える意欲をどう高め、イノベーション人材をどう育てるのか、改革への意気込みを聞いた。

東京工業大学は10月上旬に教育の抜本的な刷新に向けた基本方針を発表した。学長に就任してから1年が経つが、教育改革に力を入れる最大の理由を教えてほしい。

三島良直(みしま・よしなお)
1975年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。米カリフォルニア大学バークレー校大学院博士課程を修了後、81年に東工大精密工学研究所助手。大学院総合理工学研究科材料物理学専攻教授、フロンティア研究機構長などを経て2011年に理事・副学長、2012年に学長就任。(写真:的野弘路)

三島:それは、東工大を、欧米トップ級の理工系大学と対等な実力を持ち、世界中から優秀な学生や研究者が集まってくるような大学にすることだ。英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)などが発表する世界大学ランキングを見ても、東京大学や京都大学を含め、日本の大学は総じて「教育」のスコアが米マサチューセッツ工科大学(MIT)や米カリフォルニア工科大学(CALTECH)に比べて低い。(連載第1回「日本の大学が世界ランキングで低迷するワケ」

 「教育」の評価項目には、講義を英語で行っているか、という要素も含まれる。それなら、「学部を含め今の講義を全部英語にすればいいじゃないか」という意見もあるが、そもそも教育の中身が良質でなければ、英語化したところで国際的には認めてもらえない。だから、講義を性急に英語にするよりも、まずは教育の質をしっかりと誇れる水準にする、というのが私の考えだ。

「高尚」な講義だけでは不十分

東工大にも世界的に有名な研究者は多く、教えている内容のレベル自体は十分に高いのでは。

三島:現在、東工大はMITやCALTECHを含め、多数の海外大学と協定を結んで学生や研究者の交流を進めている。

 2つの大学と協定を結ぶ際には、(受け入れた学生に対する)「授業料不徴収」と、(学生が派遣先大学で履修した講義を派遣元が単位認定する)「単位互換」について両大学が合意して初めて対等な協定といえる。東工大はアジアの有力大学とは対等な関係を築けているが、欧米のトップ大学とは最も肝心な単位互換を実現できていない。東工大としては学生が欧米校で取得した単位を認定しているが、逆に欧米の大学は東工大の単位を認めてくれていないのだ。

 これは、はっきり言えば、「東工大の講義は質が低い」と見なされていることを意味する。講義の中身がいくら高尚でも、教員が一方的に講義室で教えているのでは不十分だし、学生の理解度に関する評価も明確でなければならない。当然、これまでも中間試験や期末試験を課してはきたが、「学生がどこまで達成できたか」についての評価が、日本は欧米に比べると圧倒的にゆるかった。一見して同じ内容の講義でも、欧米の学生が単位を取得した場合と、日本の学生が単位を取得した場合では、かなり差があるのが実情だ。

 MITやCALTECH、欧州のトップ大学との単位互換ができれば、国際的に教育の質が保証できると考えている。講義の内容が欧米校とそっくりかという問題ではなく、「どれだけ質が揃っているか」ということが重要だ。

コメント6件コメント/レビュー

講義の内容の問題なんですかね。日本のほとんどの大学は(超難関校でも)入学したら授業に出ていれば卒業させてしまいますよね。それが信用されない理由ではないですか。学生が勉強したか評価すると一定量はついてこれないと欧米では考えているように感じます。どこまで面倒をみて学生を卒業させるかは大学の判断だとは思いますが、東工大のようなレベルが高い大学なら、ついてこれない学生はどんどん留年させるせればいいと思います。まあ、退学になるのがかわいそうならレベルの低い大学への編入を斡旋するなどの方策をとってもいいかと思います。就職率を上げるために受け入れる大学はあると思いますよ。(2013/10/23)

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「理工系国内トップ校でも「欧米基準では『講義の質が低い』」」の著者

田中 深一郎

田中 深一郎(たなか・しんいちろう)

日経ビジネス記者

日経新聞科学技術部、証券部を経て、2012年4月より日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

講義の内容の問題なんですかね。日本のほとんどの大学は(超難関校でも)入学したら授業に出ていれば卒業させてしまいますよね。それが信用されない理由ではないですか。学生が勉強したか評価すると一定量はついてこれないと欧米では考えているように感じます。どこまで面倒をみて学生を卒業させるかは大学の判断だとは思いますが、東工大のようなレベルが高い大学なら、ついてこれない学生はどんどん留年させるせればいいと思います。まあ、退学になるのがかわいそうならレベルの低い大学への編入を斡旋するなどの方策をとってもいいかと思います。就職率を上げるために受け入れる大学はあると思いますよ。(2013/10/23)

評価を厳しくすることは良いことだと思います。特にトップクラスの大学では。一方、生涯学習など教育の裾野を広げる意味で広く門戸を開放する大学や講座も残るべきだと思います。単位を取得して学位を認めることと、教育を受ける機会を与えることを分ける事になるかもしれませんが。(2013/10/23)

日本の大学はこのままでは座して死を待つのみ。東大の改革の機運といい、本件といいイバラの道が待ち受けているが、このような危機感あふれる大学人が続々と現れることを切望したい。うまくいくかどうかわからないが、とにかくやってみなければいけないところに来ているのは間違いない。(2013/10/23)

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