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「パトレイバー」実写版監督、押井守の勝敗論を暴く!

『欠席裁判~担当編集が語る押井守の真実』(2013年、野田真外、山下卓)【前編】

2013年10月28日(月)

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プロローグ:監督に振られた私たち


「あ、来ちゃったの。話せる時間は全然無いよ?」
 監督はいつもの笑顔ではありましたが、目は笑っておりません。


 「機動警察パトレイバー」実写版の記者発表を明日に控え、年内はその撮影でがっちがちのスケジュールの押井監督を、打ち合わせで新宿某所にいるという情報を聞きつけて、単行本告知企画のために収録をとお願いに参じたのですが、早々に迎撃されました。


「まあまあ、お、野田さんカップが空いてますね、もう一杯コーヒー如何ですか。監督も?」
「いや、僕はこのタバコ一本でもういかないと」


 いやあ、とりつく島がありません。敵前上陸作戦はやはり無謀だったか!? 


「連載でも話したけど、勝利条件をいくつも作っちゃダメなんです。僕に今必要なのは映画に賭ける時間であって、現場が厳しい戦いをしている中で、監督が他の仕事をしている余裕はないし、それを(スタッフに)見せるワケにはいかない。Yさんもそれは分かるでしょ?」


 はい、百も承知です。「勝利のためには優先順位を明確にしろ」ということですよね…。捨てられた子犬の側としては、連載スタッフが読み解く押井監督の「勝利術」、みたいな手も考えていたんですが、やっちゃってもいいですか?


「おっさん2人で何が子犬か(笑)。うん、それはもう好きにやってくださっていいですよ。何言われてもかまわないから」

 …言いましたね?

我々を“振って”監督が向かった映画の制作発表風景であります

 というわけで、野田さんと私、いたいけな二匹の子犬は、疾風のごとく監督が去った席でコーヒーを飲みながら、冷たい監督への復讐の爪を研いだのでありました。そして今回の『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』の告知販促企画になった次第です。

 連載をご担当頂いた野田真外さん、私、そして、「押井番」の大先輩にして作家の山下卓さんにもご協力頂いて、押井監督ご本人の実態、考え方、そして「勝利術」の正体をギリギリの線で解剖していきたいと思います。(連載担当編集Y)

山下卓(やました・たかし)、小説家/編集者。「WIRED」日本版記者などを経て小説家となる。押井守との付き合いは「WIRED」誌でのインタビュー。その後「WIRED」誌から「サイゾー」誌に至る押井守の連載を十年以上にわたって担当。手がけた押井守著作に『これが僕の回答である』(インフォバーン)『コミュニケーションは、要らない』(幻冬舎新書)。主な著作に『BLOODLINK』シリーズ(徳間文庫)、『ノーサイドじゃ終わらない』(幻冬舎文庫)、『近藤良平という生き方』(エンターブレイン)などがある。

**************************

野田さん、連載完結お疲れ様でした。

野田真外(以下野田):いえいえYさんこそ。しかし、監督冷たかったですねえ(笑)。事情は至極ごもっともだから仕方ないけれど。せめてあと1カ月、本が出るのが早ければなんとかなったと思うんですが。

担当の私の入院で、本の進行が遅れたせいか(涙)。だけど押井さん、いまや超売れっ子監督じゃないですか。現在は「パトレイバー実写版」のシリーズと劇場版、そしてカナダで制作中の「The Last Druid: Garm Wars」の作業が平行して進んでいるので大忙しです。

野田:連載を始めた頃は、割と監督も時間があったんですけれど、どんどんスケジュールがタイトになっていきましたから。

監督は、「監督の勝利条件は次回作が撮れるかどうかだ」と、この連載で語ってきたわけですが…

【数字を目標に戦えば、必ず負ける】

 映画監督というのは面白い商売で、自分が誰と勝負しているのかというのを絶えず考えていないと、映画が当たるという以前に仕事が成立しません。でも意外に僕のまわりの、特に若い監督ほどそれが分かっていません。

 観客とか、劇場動員数とか、DVDの売り上げとか、カンヌやアカデミー賞、あるいはハリウッドからオファーがくるとか、そういうものとは全然違います。数字や評価を目的に戦う監督はほぼ間違いなく敗北します。

 僕が30年間監督をやってこられたのは、ある意味で言えば「勝敗論」を持っていたからです。自分が勝敗論的にはかなり優れているというのが分かってからは、それを意識して勝負を始めました。

(『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』より、以下同)

今回は押井監督の発言、人となりを知るお二人をお招きして、現在売れっ子の押井監督の状況について、まぐれなのか本当に勝利条件を満たしたからうまくいったのかを分析したいと思います。

山下・野田:よろしくお願いいたします。

しかし野田さん、この連載、振り返ってみてぶっちゃけどうですか、疲れる企画だったんじゃないですか?

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「「パトレイバー」実写版監督、押井守の勝敗論を暴く!」の著者

押井 守

押井 守(おしい・まもる)

映画監督

1951年生まれ。東京都出身。大学卒業後、ラジオ番組制作会社等を経て、タツノコプロダクションに入社。84年「うる星やつら2」で映像作家として注目を集める。アニメの他に実写作品や小説も数多く手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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