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イノベーションはいつも危なっかしい

パーソナルデータどう使う?野原佐和子氏に聞く

2013年10月31日(木)

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 JR東日本の「suica」の乗車履歴がビックデータ活用に使われ、消費者の批判を浴びた「事件」は記憶に新しい。パーソナルデータは猟犬のようだ。信頼を裏切ると牙を剥くが、飼い慣らせば宝の山を探り当ててくれる。パーソナルデータ活用の最「積極派」と自認する野原佐和子イプシ・マーケティング研究所社長は、「感性さえ研ぎ澄ましていれば躊躇することはない。保守的、内向き、慎重、近視眼はイノベーションを妨げる」と主張する。

今日はパーソナルデータのビッグデータ活用についてお話を伺います。JR東日本の「suica(スイカ)」の乗降履歴の販売問題ですが、消費者が過敏すぎるのか、それともJRや日立製作所がいけなかったのか、まだなんとなく釈然としないところがあるんです。 

野原 佐和子
イプシ・マーケティング研究所社長。慶應義塾大学大学院特任教授。1980年名古屋大学理学部を卒業、三菱油化(現三菱化学)に入社。その後、お茶の水女子大学大学院修士課程を経て、生活科学研究所に入社。95年NTTグループの情報通信総合研究所に移り、ECビジネス開発室長。2000年イプシ・マーケティング研究所を設立。NEC社外取締役、損保ジャパン社外監査役、NKSJホールディングス社外取締役などを歴任。IT戦略本部、経産省産構審など多数の政府審議会、研究会に委員として参画している。(写真は都築雅人、以下同)

野原:まず事実をさらっておきましょう。6月27日に日立製作所がスイカデータをJR東日本から購入して、それに基づいて日立交通系ICカード情報提供サービスというのを7月から開始すると発表しました。それを知った人々から、JR東日本に苦情や問い合わせが約150件入ったというのが発端です。JRがそれを公表し、それまでの顛末が7月25日に記事になりました。

かなり批判的にメディアに取り上げられましたよね。

野原:私は、メディアが煽りすぎなのではないかと思います。日立に販売された情報は個人情報を取り除いてあり、完全にアノニマス化(匿名化)されたもので、個人情報とは言えません。たとえば朝日新聞の見出しは、「スイカ履歴をJR東が販売、利用者に事前説明なし」。間違ったことは書いてないのですが、事前説明をしなかったことが違法だと思わせるようなバイアスがかかっていると思います。

1ヶ月間批判に答えなかった

 私は問題は3つあったと思います。まずJRや日立は、事前にそういう情報の販売をすることを周知しておけばよかった。2つ目はスイカの利用者がデータの2次利用を拒否できる「オプトアウト」の仕組みを作っておくべきだった。これは批判されて後から導入しましたね。最後で最大のミスは、サービス公表から、記事になるまでの1カ月間、個人のブログやツイッターでたくさんの意見が出されていたのに、それに対してなにも行動を起こさなかったということです。

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「イノベーションはいつも危なっかしい」の著者

小板橋太郎

小板橋太郎(こいたばし・たろう)

前日経ビジネス編集委員兼副編集長

1991年立教大学文学部史学科卒、日本経済新聞社入社。整理部、社会部、産業部などを経て2011年から日経ビジネス編集委員。現在は日本経済新聞社企画報道部デスク

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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