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日本の伝統でガガを虜にした男

シューズデザイナー、舘鼻則孝が挑む新世界

2013年11月13日(水)

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撮影:鮫島亜希子

 子は親の言うようにはしない、親のするようになる――。舘鼻靖美は、高校時代、美術大学に強い憧れを持っていた。大好きな絵やモノ作りを大学に行って本格的にやりたい。しかし、ある日見かけた美大を目指す先輩浪人生を見て、「あっさりその思いは消えた」と言う。「たばこを吸いながらどんよりしている人たちを見て、なんだか冷めちゃったのよね」と笑う。

 美大進学こそ選ばなかったものの、靖美はその後も大好きなモノ作りを続けた。結婚後も、鎌倉の自宅で絵を描いたり、人形を作ったり、料理さえ靖美の「モノ作り」の一つだった。その姿をいつも隣で見ていたのが、息子の則孝だ。洋服を器用にリメイクしたり、オーストリアの教育者、ルドルフ・シュタイナーの思想から生まれた羊毛から作る「ウォルドルフ人形」を作ったりする母は、則孝が初めて見たクリエイターの姿だったのかもしれない。

幼稚園で教わった「自分の世界」

 則孝は、1985年東京都新宿区で生まれた。歌舞伎町で銭湯を営む家系だが、父親は厳格な銀行員。一方の母親の靖美は専業主婦ながら、「欲しいものは自分で作ってみなさい」という“クリエイター気質”のある女性だった。

 そんな母親が、気に入って則孝に通わせたのが神奈川県鎌倉市にある「長谷幼稚園」だ。子供に物作りをさせることを是とする長谷幼稚園では、園庭にある遊具は全部子供の手作り。のこぎりやトンカチも自由に使わせる。

 異なる年齢の園児が一緒になってデコボコの園庭を走り回るのも特徴だ。則孝が好んで「トラップ」と呼ぶこのデコボコは、転んだ園児を年上の園児が自然に助けるためにわざと平坦に整備されていないのだという。

長谷幼稚園の園庭には、子供が作った遊具が並ぶ

 一方、「作ること」を強制しないのも長谷幼稚園の教育ポリシーだ。園庭の隅っこでぼーっとしている子がいても、決して先生が「一緒に遊ぼうよ」と手を引っ張っていくようなことはない。先生は、子供の横に寄り添い、子供がやりたいことに集中できるように努める。「ここでの生活は子供が作るんです」と園長の横山仁雄はいう。

 園庭の隅っこでぼーっとしていた園児、それこそが則孝だ。「ノリくんは、『虫博士』だったのよ」と保育士だった横山まさ子は当時を振り返る。園庭の端っこで石の下から虫が出てくるのを、日がな待っているような子供だった。1つのことに集中すると、その場から離れない姿は、今の則孝の姿そのままだ。

 “虫博士”としてならした集中力と母親譲りのクリエイティビティは、則孝を徐々にアーティストの世界へと導いていく。中学時代には、からっきしだめだった勉強とは裏腹に「美術や音楽だけは成績が良かった」ことがさらに拍車をかける。

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「日本の伝統でガガを虜にした男」の著者

染原 睦美

染原 睦美(そめはら・むつみ)

日経ビジネス記者

日経パソコン、日経ウーマンオンラインを経て、2013年4月から日経ビジネス記者。ネットサービス、人物ルポ、などが得意分野。趣味は洗濯、昼酒、ピクニック。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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