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ラグビーにガッツポーズはいらない

日比野弘 日本ラグビーフットボール協会名誉会長に聞く

2013年11月27日(水)

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 五輪の正式種目に採用されたラグビーは、2020年の東京五輪でも注目競技の1つだ。早稲田大学や日本代表チームの監督を歴任し、数多くの選手や指導者を育成してきた日比野弘氏に、求められる指導者像や、ラグビーへの思いを聞いた。

(聞き手は宮澤 徹)

日比野 弘(ひびの・ひろし)氏
1934年生まれ。早稲田大学教育学部卒。在学中はラグビー部でウイングとして活躍。1970年に早大ラグビー部監督、日本選手権を制覇し、公式戦35連勝、関東大学対抗戦60連勝の立役者に。日本代表監督も務めた。現在は早稲田大学名誉教授・日本ラグビーフットボール協会名誉会長。(写真は中島 正之)

早稲田大学や日本代表チームの監督など、ラグビーの指導を長年続けてきました。指導者とはどうあるべきなのでしょうか。

日比野:指導者が心がけるべきことは、1つけなしたら3つほめる、ということではないでしょうか。べつに、5つほめてもいいのですが。

 もし、誰かのプレーが原因で負けたら、それをまずは反省させなければなりません。あのときこういう判断ができたら別の結果が出たとか、同じことを繰り返すなとか、そういうことは絶えず言わなければ向上しませんから。

 一方で、ほめないとやる気が出ません。選手が何気なくやったプレーでも、ゲームが終わって、お前あのプレーはよかったとか、あのとき何を考えてあのプレーを選んだのかとか、そういう声を掛けてやると、見てくれていると思うでしょう。

 2軍、3軍の選手にでも、直接声をかけることが大切です。部員が大勢いるわけだから、監督が細かいところまで目配りができているということを、選手に感じてほしいのです。

 もし、選手が「どうせ俺たちのことなんか見てくれていない」と感じると、練習がマンネリに陥ります。ほめるにしろけなすにしろ、ちょっと声を掛けるだけで、やる気が出てきます。選手が卒業してから、そういう話を私によくしてくれます。

指導していて手ごたえを感じるのはどんな時ですか。

日比野:試合に出ている選手が頑張ったときだけではありません。試合に出られないで卒業していく選手からも信頼されたと感じるときです。年を経てから、私のメンバー起用について納得し、腐らずにやってくれていたことなどを聞くと、うれしくなります。

 そして、そうした選手が伸びてきたときに、まだ本当の力が付いてなくても、思い切って試合に使うと、ほかの選手へのいい刺激にもなります。3軍だけど、そこでいいプレーをすれば認めてくれるという、やる気が生まれるのです。

 最終的にはベストの布陣で勝つことを目標にしているわけですから、あいつ頑張ったから、4年生だから試合に出してやろうというようなことはしません。ただ、早くから試合に出る15人を決めてしまうと、ほかの選手がやる気を失い、全体のレベルを底上げできません。最後まで皆が期待と希望を持ち、毎日の練習に励むように心掛けてきました。

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「ラグビーにガッツポーズはいらない」の著者

宮澤 徹

宮澤 徹(みやざわ・とおる)

日経ビジネス副編集長

日本経済新聞社産業部、中国総局、重慶支局長、2012年秋日経ビジネス副編集長。製造業とアジア担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士