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築百年の京町家、ネットで売ってます

中古住宅の再生・流通で新市場を拓く京都の不動産会社

2013年11月22日(金)

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 人口が減少に向かい、新築住宅の需要が落ち込む中、政府は全国で膨大なストックとなっている中古住宅の流通促進に向けた環境整備に着手している。
 手入れやリフォームによって資産価値が上がる欧米の中古住宅に対し、日本の中古住宅は築20年前後で担保価値ゼロとして扱われ、建物の寿命より前に解体されることも多い。環境への負荷が大きい上に、費用負担の重さが持ち家需要をさらに押し下げる。政府の取り組みはこうした状況の改善を目指すものだ。

 伝統的な街並みが残る京都でも、維持や流通が困難な古い建物は徐々に失われつつある。伝統的な住宅である「町家」など中古住宅の流通を手がける不動産会社の八清(はちせ)は、建物の持つ個性や文化的価値を生かしたリノベーションを行い、一般消費者や投資家向けの商品を積極的に開発している。顧客の4割は首都圏など京都府以外の在住者。1割が海外の顧客という。同社の“三代目”西村直己氏に、中古住宅が秘める可能性と、顧客に訴求する独自の「発信力」の秘訣を聞いた。

(聞き手は秋山知子)

西村 直己(にしむら・なおき)氏
1979年生まれ。八清・設計監理部建築プランナー。大手電機メーカーでSE(システムエンジニア)として勤務した後、実父の西村孝平氏が経営する八清に入社。業務の傍ら、社内改革にも勤しむ。(写真:菅野 勝男)

八清さんは町家のイメージが強いんですが、普通の中古住宅のリノベーション物件も増えているんですね。比率では今どれくらいですか。

西村:リノベーションでは町家が6割ぐらいですね。全体の売買物件のうち、当社がしっかり工事をして販売するのが7~8割。そのうち6~7割が町家です。

 町家といっても人によって捉え方が違います。狭義の町家とは「京都の街中にあって、職住一体で商売をしていた住宅で…」という定義なんですが、当社ではもう少し広く、戦前に作られた伝統工法の建物を町家として扱っています。

 バブルの時に当社はかなり苦労をしてまして、30人ぐらいだった社員を10人まで減らして再出発したんです。その時に、中古住宅を改装して「リ・ストック住宅」という名前でブランド化しようという取り組みを始めました。1995年頃ですね。当時、そういうことをやっている不動産業はほとんどありませんでした。

 ある時、町家を1軒仕入れて、特に何もせずにポンと出したら思わぬ反響があったんです。問い合わせが40~50件も来ました。当時の社長が、これは商品化したら面白いんじゃないかということで、それまで流通の会合などで町家の勉強をしてましたし、減っているとはいえ京都にはまだ4万8000軒もありますから、町家を使った面白い中古物件を手がける会社になろうと決めたんです。「町家買い取ります」という広告を出して、徐々に仕入れができるようになっていきました。

 ただ、あるところまで行くと伸び悩みの時期があり、社内でもなかなか新しいものが生まれてこなくなりました。そんな時、大手リフォーム会社から転職してきた社員が新しい文化をもたらしてくれたんです。例えばアンティークの照明器具を使うとか、外部の設計士さんとコラボレーションするといった自由な発想を入れることでまた社内が活性化してきました。コラボレーションによって僕らも勉強になるし、変わっていくきっかけにもなりますね。

町家以外では、「レトロ」なイメージに改装した物件が多いですね。

西村:昭和30年代、40年代の家でも面白いことができるんじゃないかと始めました。またそこで設計士さんや家具屋さんとのおつき合いが増えていろいろな発想が出てくるようになり、もっともっと新しいことを考えてやっていこうという感じになってきましたね。

中古住宅を活用した投資商品も開発されています。

西村:以前は貸家経営、一戸建てを賃貸して収益を上げるための物件販売に力を入れていました。2年前に社内で組織変更をしまして、賃貸管理をやっていた部門を、投資物件を専門に開発するライフネットワーク部という名前の部署に変えたんです。賃貸管理だけではすごく保守的なので、もっと攻めの態勢でいきたいと。

 例えば「京宿家」(下の写真)というブランドで、町家を一棟貸し切りの旅館に仕立て直して、旅館業の許可も取って販売しています。実際の旅館運営は外部委託します。購入したオーナーは旅館業からの収益を得られて、予約が入っていない時は自己使用もできます。現在23軒まで増えました。

一棟貸切型の宿泊施設「京宿家」の一軒、「開智あんず庵」(京都市下京区)
左:「開智あんず庵」外観。「京宿家」は現在、京都市内に23軒
右:「開智あんず庵」の改装前。昭和初期の建築と思われる町家だった

西村:さらに外国人向けの町家の宿も作りました。「暮らすように泊まる」というコンセプトで、外国人観光客が連泊することを想定しています。

昨年末から円安の流れになったせいで、今年は京都に来るたびに外国人観光客が増えている印象があります。タクシーの運転手さんも「外国人客が昨年から3割は増えている」と言っていました。オリンピックもあり、外国人向けの宿泊需要はまだ伸びそうですね。

西村:大型の町家を活用したシェアハウスも開発しました。これは以前からの課題だったんですが、70平米前後の小さい建物はニーズがあり比較的仕入れがしやすいですが、大きな建物は、強い魅力や出口戦略がないと売れにくく、強気な仕入れがしにくいです。大きな建物をそのまま貸しても京都は家賃の限界があって、東京のように1軒で月40万~50万円の家賃は取れませんから。ただ、大きい町家がちゃんと残っていかないとやはり街並みが変わってしまいます。そうした大型の町家をシェアハウスに仕立て直すという発想が浮かび、シェアハウスが出来始めの頃の東京にも勉強に行きました。2010年だったと思います。

若い人や外国人でシェアハウスに住む例は最近は珍しくないですね。

西村:シェアハウスもやはり不動産投資のスキームを組みました。投資家は手を煩わせることなく家賃収入が入ってきて、コミュニティー管理などの面倒な部分は当社が担当するという仕組みです。

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「築百年の京町家、ネットで売ってます」の著者

秋山 知子

秋山 知子(あきやま・ともこ)

日経ビジネス副編集長

1986年日経BP社入社。日経コンピュータ、日経情報ストラテジー、日経アドバンテージ、リアルシンプル・ジャパンの編集を担当。2006年から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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