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放射線を正しく怖がりましょう

被ばく者救護に携わる米国人医師、ロバート・ピーター・ゲイル氏に聞く

2013年12月13日(金)

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 放射線は冷静に怖がらなければいけない――。チェルノブイリや東海村の臨界事故、そして福島第一原発事故などの現場にいち早く駆けつけ、被ばく者の救援活動にあたった米国人医師ロバート・ピーター・ゲイル氏はそう訴える。骨髄移植と白血病治療の権威で、「日本では放射能汚染に対する警戒のスタンスに、誤解がある」と指摘する。このほど『放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ』(早川書房)を上梓し福島入りのため来日したゲイル氏に、執筆の動機などについて話を聞いた。

(聞き手は広野彩子)

福島第一原発の事故以来、放射能汚染に対する懸念が収束しません。ゲイルさんは、事故直後から現地で支援にあたり、外国人記者クラブで会見などもされていました。今年、『放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ』という本を上梓されましたが、原発容認派なんですか。

ゲイル:そうではありません。私は東日本大震災の約1週間後に現地入りして以来、2年以上、被災者救護に断続的にかかわってきました。日本中のコンビニやスーパーからペットボトルの水が消えた様子も直接見ましたし、一般の被災地の人々だけでなく、妊婦の方などからもお話を聞いてきました。そして、放射能汚染に対し、政府や人々の間に、実害から鑑みて必ずしも合理的ではない、現実的ではない恐怖にかられた反応があることに気づきました。

合理的ではない反応、ですか。

ロバート・ピーター・ゲイル(Robert Peter Gale)
1945年生まれ、医師。骨髄移植と白血病治療の世界的権威。英インペリアル・カレッジ客員教授(血液学)。米ニューヨーク州立大学バッファロー校で医学を学び、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で微生物学及び免疫学の博士号を取得。世界各地の核や放射線が絡む事故で30年以上にわたり医療支援活動に携わる。800以上の論文、22冊の医学関連著書がある。邦訳著書に『チェルノブイリ』(共著)がある。(写真:北山宏一)

ゲイル:科学的見地から、2つの全く正反対の反応があることからお話します。

 まず、我々はいずれにせよ常に放射線にさらされています。ものによって放射能の強さが違うだけなのです。富士山の近くに住む人は、恐らく東京に住む人より30%多く放射線にさらされている。中にはその差が200倍にのぼるところもある。しかし、放射線が多い場所の方が東京の人よりがんの発症が多いというわけではない。それでも、富士山近くの人に東京への移住を勧めたりはしません。ある程度の範囲内であれば、人は違った放射線量に対して適応できます。

 また私が米国でしばしば出くわすのが、空港でのケースです。空港の保安検査で通過するスキャンを嫌がる人がいます。そこで浴びる放射線よりも、機上で浴びる放射線量の方がはるかに大きい。しかし人はなぜか機上で浴びる放射線を怖がらない。そうしたちぐはぐな行動についてまず認識してほしいのです。

著書ではミリシーベルト、マイクロシーベルトの意味を知ることだ、と指摘されています。

すべてを同じ基準で捉える癖をつける

ゲイル:つまりすべてを同じ基準、例えばミリシーベルトで考える癖をつけてほしいということです。1年間に東京に住んで、建物、食事、コンピュータ、あらゆるものから受ける放射線量は3ミリシーベルトです。70歳まで生きたら210ミリシーベルト浴びることになります。一方で1度のCTスキャンで浴びるのが10ミリシーベルト。東京に3年住んで浴びる数値に等しいですね。個別の事象に反応するのではなく、そうやって比べながら考えてみることです。

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「放射線を正しく怖がりましょう」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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