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気候変動に対する適応力を身につけよ

歴史的観点から考える異常気象~田家康さんに聞く(下)

2014年1月8日(水)

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 人々は長い歴史の中で、幾たびも異常気象や気候変動に見舞われてきた。時の為政者たちはさまざまな対策をとり、人類は技術革新や危機への備えなどによって困難を乗り越えてきた。

 歴史と気候変動の関係を調べている気象予報士の田家康さんに、異常気象との向き合い方を聞くシリーズ。後編では、データと備えの軽視が大きな厄災を招いた歴史上の出来事と、避けられない異常気象や気候変動とどう向き合っていけばいいかについて聞いた。(聞き手は飯村かおり)

世界的に影響を与えた気候変動として、「1300年イベント」というものがあるそうですね。

田家康(たんげ・やすし)
1959年神奈川県生まれ。1981年横浜国立大学経済学部卒。農林中央金庫農林水産金融部部長(森林担当部長)を経て、2011年より農林漁業信用基金漁業部長。2001年気象予報士試験合格。日本気象学会会員。日本気象予報士会東京支部長。農林中金総合研究所客員研究員。著書に『気候文明史』『気候で読み解く日本の歴史』『世界史を変えた異常気象』(写真:鈴木 愛子、以下同様)

田家:「1300年イベント」という言葉は、フィジーのサウス・パシフィック大学海洋地球学部のパトリック・ナン教授が提唱したものです。もともとは南太平洋の島々に住む人びとの歴史から考察を始め、1250年から1350年にかけての100年間に社会システムが変わった。島においても高い場所から海辺に集落が移った。他の島との抗争があった、といったものです。こうした社会の変化から、この時期を温暖期から寒冷期への移行期ととらえました。ナンは議論をアジア諸国にまで広げています。

 確かに、日本でも1250年代後半に北半球中緯度では寒冷な時代が続いたことが、正嘉の飢饉を始めとして歴史的な記録にあります。これは、1256年(建長8年)の大雨と洪水に始まるもので、1259年(正嘉3年)になっても全国規模の飢饉が続きました。日蓮は、1260年(文応元年)の7月16日、「立正安国論」の冒頭で、飢饉の惨状を書いています。

 この時期、太陽活動が低下期に入るとともに、1250年代と1270年代に巨大噴火があったことが氷床コアに残る火山性エアロゾルで確かめられています。また、欧州では1313年~1317年にかけて、後世に「the Great Famine」と伝えられる厳しい飢饉が訪れました。

古気候から新田義貞の鎌倉攻めを考えると

この気候変動が、新田義貞の鎌倉攻めに影響を与えたそうです。

田家:新田義貞による稲村ケ崎の海岸突破については、2002年に歴史学者で中央大学の磯貝富士男教授が、気候変動によって海面水位が低下したためではないかとの説を提唱していました。

 神奈川県の三浦半島は地震による地盤の上下動がある地ですから、古気候サイドでの研究論文で検証を行いました。ロシアの研究者による国後島での海面水位の変動と島根大学の三瓶良和教授らによる鳥取県中海での湖水面の変動から、1300年頃に海面水位の低下があったとことが確認されました。こうした古気候面での研究成果から、磯貝教授の仮説はより有力になったと考えられます。

 前回、飢饉といった非常時の対応が見事だった先人として、徳川家光と北条泰時についてお話を伺いましたが、反対に、為政者や人々が気象にかんする情報を重要視しなかったために危機対応に失敗した事例というのは歴史上、ありますか。

田家:ナチスドイツがモスクワを攻めた時があります。1941年の冬です。これは10月から始まって12月に頓挫します。

 ベルリンにいたドイツ気象学会の大御所であったフランツ・バウアーは、1941年から1942年にかけては絶対暖冬だと予想しました。2年続けて寒かったから今年は暖かいに違いないと。ところが、その年はエルニーニョ現象が発生し、東ヨーロッパは寒くなりました。前線からは零下30度だという声が聞こえてくる。参謀本部も暖冬予想をしたフランツ・バウアーに問い合わせました。

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「気候変動に対する適応力を身につけよ」の著者

飯村 かおり

飯村 かおり(いいむら・かおり)

日経トップリーダー副編集長

2007年より「日経ビジネスオンライン」編集部に在籍。信頼できるおもしろいコラムを世に送り出すことを楽しみにやってきましたが、2015年よりクロスメディア編集長となり、ネットから紙の世界へ転身。書籍などの編集に携わっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師